チェコ好きの日記

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読書

渋谷直角『奥田民生になりたいボーイ 出会う男すべて狂わせるガール』のわりと本気な感想

実は8月上旬に読み終わっていたのですが、旅行等々でバタバタしていたらすっかり感想を書くのを忘れていました。というわけで本日は『奥田民生になりたいボーイ 出会う男すべて狂わせるガール』の感想文を書きますが、きっとネタバレするので未読の方はご注…

過去の呪縛から逃れられない男 『おやすみプンプン』感想文

サブカル界隈で槍玉にあげられることの多い浅野いにおという漫画家がいますが、私も昔、よく読んでいました。映画化した『ソラニン』のほか、『素晴らしい世界』とか『虹ヶ原ホログラフ』とかも持ってましたね。素晴らしい世界(1) (サンデーGXコミックス)…

『クラブカルチャー!』/「意味」から「強度」へ、音韻から音圧へ

私は昔から音楽の話をするのが苦手で、理由の1つはたぶん、歴史がわからないからです。文学史は高校の世界史とか日本史でやるし、映画史は本を数冊読めば事足りるし、美術史もどっかから出てる「西洋美術史」と「日本美術史」ってタイトルがついている2冊を…

日本の「インターネット的」はテレクラから?

先日Kindl版が出た出た宮台真司の『世紀末の作法 終ワリナキ日常ヲ生キル知恵』を読み終わりました。本書は宮台真司が主に90年代に雑誌などに書いた文章をまとめたもので、全体から90年代のかおりがムンムンするのですが、2015年の今になって読むとまるで「…

アイディアは移動距離に比例しない/ユクスキュルのダニ

今回は、いつも以上にわけのわからない話をしようと思うので、お忙しい方は回れ右をおすすめします。しかも私自身あまり理解していないので、なんか解釈を誤っている可能性があります。 ユクスキュルのダニ ユクスキュル[1864-1944]という人はエストニア生ま…

ショッピングモールは嫌われ者?

批評系の人たちの間では、ショッピングモールという存在はひどく嫌われています。かくいう私もこの施設に対して、今まではあまり良い印象を持っていませんでした。便利だし、実際はなんだかんだいって利用しているんですけどね。ショッピングモールが一部の…

「ポスト・インターネット」の時代と情報の濃度

「ポスト・インターネット」とは、「インターネットとリアルがもはや区別されない、シームレスとなった環境」*1のことだそうです。6月号の美術手帖の特集が「ポスト・インターネット」だったので、今回はこれの感想を書きます。美術手帖 2015年 06月号作者: …

ほかのものは消えていい。なぜなら醜いから。

なんかどうかしてる小説っていうのは、とにかく冒頭とラストの破壊力がとんでもないものだと私は思っています。 大切なことは二つだけ。どんな流儀であれ、きれいな女の子相手の恋愛、そしてニューオ ーリンズの音楽、つまりデュ ーク・エリントンの音楽。 …

私たちはどうしたら“イケてる人”になれるのか?

イケてる人とダサい人、どちらでありたいかと問われたら、よほどひねた回答をするのでなければ、ほとんどの人は前者でありたい、と答えると思うんですよね。しかし問題はここからで、では“イケてる人”とはどのような人なのか、という話になります。何におい…

フィッツジェラルド『ベイビー・パーティー』についてのノート

スコット・フィッツジェラルドの著作を着々と開拓している私。とりあえず日本語で読めるものを完全制覇しようと思い、地味にいろいろ買い集めています。いつか完全制覇をするその日の前に、印象に残った短編小説の感想をメモしておきます。『冬の夢』に収録…

消費じゃない「上質な暮らし」と、解釈じゃない批評

先日読んだこちらの記事が話題になっているようだったので、少しばかり私見をメモしておこうかと思います。【第61回】ネタ化される「上質な暮らし」と盲信する「サードウェーブ系男子」 | すべてのニュースは賞味期限切れである | おぐらりゅうじ/速水健朗 |…

ハッピーエンドか、地獄の始まりか『ザ・ゲーム』感想文

どうしてお前がそれを読むんだ、という前提については省きますが、『ザ・ゲーム 退屈な人生を変える究極のナンパバイブル』という本を読みました。アメリカのPUA(ピックアップアーティスト、ナンパを常習的に行なっている人たちのこと)たちのコミュニティ…

岡崎京子の描いた”ガールズ”はどこへ消えたのか?

どこで読んだだれの文章なのか忘れましたが、「岡崎京子の漫画に出てくる女の子っていうのは、男と恋愛するのが好きなんじゃなくて、男と恋愛した話を女同士でするのが好きなんだよね」ということをいっていた人がいて、なんて的確な岡崎京子評なんだ! と思…

『オトコのカラダはキモチいい』は腐女子のための本ではなくて

発売するやいなや早々に重版が決定したとのことで話題になっている、『オトコのカラダはキモチいい』という本を読みました。AV監督の二村ヒトシさん・文筆家の岡田育さん・腐女子文化の研究者である金田淳子さんの3名による共著です。オトコのカラダはキモチ…

本気で好きだと、ちょっと気持ち悪い。

当ブログをある程度継続的に読んでくださっている方は、私が昨年の夏頃から、スコット・フィッツジェラルドの『グレート・ギャツビー』の話をしつこく繰り返していることをご存知かと思います。 退屈は人を殺す『グレート・ギャツビー』と『ザ・スコット・フ…

『笑ゥせぇるすまん』で喪黒福造にドーン!ってやられた人はビフォーとアフターどっちが幸せなのかな

少々思うところがあって、2月に入ってから『笑ゥせぇるすまん』をまとめて読んでいたのですが、実はわたくし、幼稚園時代に夢のなかで喪黒福造に追いかけ回されたことがあり、以来こちらの漫画は若干トラウマになっています。あの夢怖かったなあ。笑ゥせぇる…

アートよ、私を受けいれて 『アート・ヒステリー』その他

「自分を好きになろう」「自分を肯定しよう」という話は、いろいろな界隈で頻繁に見かけます。私自身としてはこのことに特に異論があるわけではなく、「まあ結局そこよね」と納得はするのですが、それにしたってよく見かけるので、「またその話か」と耳タコ…

読書会を終えて『なぜあなたは「愛してくれない人」を好きになるのか』

2月15日に、二村ヒトシさん著『すべてはモテるためである』を課題図書にした、Skype読書会に参加しました。 第5回Skype読書会「女子目線で語る『すべてはモテるためである』(二村ヒトシ)」開催のお知らせ - 太陽がまぶしかったからというわけで、今回はその…

狂わせ、狂う能力はあるか 橋下治『恋愛論』感想文

1年以上前に、二村ヒトシさん著『すべてはモテるためである』を読んだのですが、その二村さんが影響を受けた本であるという話を聞き、橋下治の『恋愛論』を手に取ってみました。『すべモテ』のほうの感想文はこちら。 二村ヒトシ『すべてはモテるためである…

『文化系女子という生き方』は、21世紀の人間の生き方かもね

「語りえぬものについては沈黙しなければならない」とはよくいったものですが、人にとって最大の「語りえぬもの」とは何でしょう。私が思うに、それは「自分」です。生まれてから24時間、365日一緒にいるにも関わらず、永遠の謎であり、永遠のブラックボック…

女性は2人でつるむのが吉 『るきさん』『ハルチン』ほか

以前私はこのブログで、「15歳前後の少女は、2人でいると閉鎖的で狂信的な世界を築き上げてしまうことがあるので、要注意」という主旨のエントリを書きました。スレンダーマン事件と『小さな悪の華』に見る、“少女2人”の狂信性 - (チェコ好き)の日記ですが今…

綱島温泉と『つげ義春の温泉』ほか

先日、ちょっと時間が空いていたので*1、綱島温泉で開催されていたイベントに行ってきました。綱島に温泉があるなんて知らなかったです。リンク先などを読むと、どうやらサブカル好きにはたまらないディープスポットらしい。何より、下記の記事で会田誠がい…

刺激と不幸を求めてしまうのはなぜ? 國分功一郎『暇と退屈の倫理学』

「なんとなく退屈だ」。これは最近の私の感想でも地方の若者の感想でも東京のOLや女子大生の感想でもなく、ドイツの哲学者マルティン・ハイデガーが「退屈の第三形式」として提示した、最も深い「退屈」の形態です。しかしそう難しく考えなくても、「なんと…

ホリー・ゴライトリーのように善きことをしたい2015年、『ティファニーで朝食を』。

あけましておめでとうございます。2015年も張り切って更新していこうと思ってますので、今年も当ブログをみなさんよろしくお願いいたします。さて、私が毎年1月1日に行なう作業といえば、愛用しているほぼ日手帳の入れ替え・予定及び目標の更新です。が、ず…

2014年に読んで良かった本ベスト7を発表します。

2014年、まだ半月くらい残っているので自分のなかでは早いかなって気もするのですが、とりあえず今年も残りわずかなことに変わりはないので、2014年に読んだ本のまとめをやろうかと思います。私は読んだ本の記録を「読書メーター - あなたの読書量をグラフで…

もうすぐ絶滅するという芸術の未来について

岡田斗司夫さんのメルマガがけっこう好きで、毎朝配信されるたびに読むのが日課になっているんですけど、今回はそのメルマガと、最近読んだ本の感想です。私が考えた「芸術」というものの未来について、ぐだぐだと語ってみようかなと思います。というわけで…

『即系物件』の感想と、都市の魔力について

『即系物件』という本を読んでみました。著者は、カリスマナンパ師であったという、サンジ氏という方。なぜ私がこの本を読んでみようと思ったのかというと、「退屈で死にそうって、この気持ち…分かる?」という表紙のインパクトがすごくて、忘れられなかった…

『レールの外ってこんな景色:若手ブロガーから見える新しい生き方』の感想

たくさんのブロガーさんの共著本である、『レールの外ってこんな景色:若手ブロガーから見える新しい生き方』という書籍を読みました。20代から30代前半までの若手ブロガーが、自身のブログを使って情報発信をすることで、既存の生き方や働き方にとらわれな…

村上隆『芸術闘争論』から転じて、文章の”圧力”の話。

先日、現代美術家の村上隆の『芸術闘争論』という本を読んだらとても面白かったよーという内容の話を先走って書いてしまったのですが、今回はこの本の感想を、もう少しがっつり書いてみようかと思います。 語らなければ、伝わらない。のか? - (チェコ好き)…

もう一度読む、村上春樹『風の歌を聴け』感想文

もはやパロディになってしまっている感のある村上春樹の小説の様々な言い回しですが、デビュー作の、それも最初の1行が、まるで彼の作品を象徴するような一節になってしまっているということは、良くも悪くもそれだけこの最初の1行が読者にあたえたインパク…