チェコ好きの日記

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2012年 読んでよかった本ベスト10を発表します。(後編)

2012年、私が読んでよかったなぁと思う本の5位~1位を発表します!

10位~6位はこちら。
2012年 読んでよかった本ベスト10を発表します。(前編) - (チェコ好き)の日記

★★★

第5位 『楢山節考』 深沢七郎

楢山節考 (新潮文庫)

楢山節考 (新潮文庫)


ブログ未紹介本です。学生時代、『楢山節考』の映画は見たことがあったのですが、
実は原作を読んでいなかったのでした。

本書は「姥捨て」の物語です。
村のしきたりで、自分の母親を山に捨てにいく青年の話が書かれています。
山へのぼる途中に出会う、死体、骸骨、そしてカラス。

これを読むと、いくら不景気でも、日本の先行きが見えなくても、
「昔はよかった」なんていえなくなります。

何の法整備もされず、人間というものがむき出しになった社会が、
いかにグロテスクで、おそろしいか。

「姥捨て」だけでなく、夫婦は子供を捨てる話を、まるでソファを捨ててくるかのように語りますし、

ほかにも、ある日突然知らない人のところへ嫁にいくことが決まったり、
食べ物を盗んだ者に対する仕打ちが惨すぎたり……。

この物語を読むと、
人間とは本来こういうものである、というグロテスクな真実を、知ってしまいます。

寒いお正月、ますます背筋が寒くなること間違いなしな作品です。

第4位 『A―マスコミが報道しなかったオウムの素顔』森達也

「A」―マスコミが報道しなかったオウムの素顔 (角川文庫)

「A」―マスコミが報道しなかったオウムの素顔 (角川文庫)

こちらは以前、エントリを書いています。
どうしても気になるアレコレ オウム真理教について(前編) - (チェコ好き)の日記
どうしても気になるアレコレ オウム真理教について(後編) - (チェコ好き)の日記

カルト宗教にハマる人と、ハマらない人。
生活保護を受ける人と、受けない人。
起業する人と、しない人……。

これらの2者の間には、厚い壁があり、
両者が混ざり合ったり、行き来したりすることはない。

……そういった考えをお持ちの方がもしいたら、残念ですが、
私とあなたは、仲良くなれないでしょう。
別に私と仲良くなっても何の利益もないですけど(汗)

本書を読んでも、また、村上春樹の『約束された場所で』を読んでも、
私は、カルト宗教にハマる人とハマらない人のちがいが、よくわかりませんでした。

おそらく、両者を分けているものは、
「ふとした“きっかけ”」が、あったか、なかったか……くらいのことなのでしょう。

お正月、日本社会についてマジメに考えてみたい人にすごくおすすめです。

第3位 『月と六ペンス』 サマセット・モーム

月と六ペンス (新潮文庫)

月と六ペンス (新潮文庫)

こちらは以前ブログで紹介した、「タヒチ本」です。
会社を辞めたいときに効く!? すっきりストレス解消法! その2 - (チェコ好き)の日記

総合では3位ですが、「小説」では、今年いちばん読んでよかったと思う本です。

画家のゴーギャンをモデルにしたストリックランドという男が、芸術に狂い、
周囲の人たちを傷つけられるだけ傷つけて、タヒチにわたってその生涯をとじる話。

芸術とは、美術館や映画館で鑑賞する「お行儀のよいもの」ではなく、
私たちのすぐ隣にあって、ときに残酷で、人を狂わせるもの。

でも、だからこそ美しく、ときに人を救うこともできる。

そんな、私の芸術観にマッチした作品で、タヒチやゴーギャンの絵画を思い描きながら読むと、
心の視界がぱっと開けます。

お正月、タヒチに旅行した気分になりたい人はこの本を読みましょう!

第2位 『銃・病原菌・鉄』 ジャレド・ダイアモンド


この本は、去年のお正月に読んだ本だったりします。
上下巻があり、ボリュームもなかなかでしたが、3日間家にひきこもって読むには(えっ)最適でした。

なぜ、アジアやアフリカでなく、ヨーロッパが、西洋文明が世界をリードするようになったのか?
そんな素朴な疑問を解決しようとする、画期的な本です。

ヨーロッパが世界をリードする……という構図は近年、徐々に崩れてきている感はありますが、
それでも私たちは未だ、エルメスやヴィトンに憧れ、
せっせと髪の毛を茶色に染め、肌を白く保とうとしています。

なぜ西洋が、これまでの歴史において、世界をリードしてきたのか。

それは、白人とよばれる人種が、民族的にすぐれていたから……ではもちろんなく、
ただ単に、西洋文明が生まれた大陸が、
地理的に有利な条件をもっていた」からにすぎない、というのです。

ではその“有利な条件”って何なのよ? というのは、本書で確認してみてください。

人類史の謎にせまる、ロマンあふれるお正月を過ごしたい方におすすめです。

第1位 『ワーク・シフト』 リンダ・グラットン

ワーク・シフト ― 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉

ワーク・シフト ― 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉

1位には、やはりこの本を選びました。
『ワーク・シフト』 読み途中ですが…働き方について考えたい人へ。 - (チェコ好き)の日記
『ワーク・シフト』 読み終わりました。 - (チェコ好き)の日記
まだまだ『ワーク・シフト』 自分の未来を考える方法 - (チェコ好き)の日記

本の内容自体が衝撃的だったのはもちろんですが、この本を通じてさまざまな人と知り合うことができ、
私の世界をぐっとひろげてくれた本なのです。

私たちの働き方が、変わる。

その変化が、産業革命に匹敵するくらいのレベルなのか、
それとも、歴史のなかで見たらごくごく小さな変化なのか。

それは、後から振り返ってみないとわからないことです。

でも、前者だと思って未来を予見し、動いたほうが、
何となく楽しそうです。

自分の将来に関しては不安でいっぱいですが、
この本を読むと、ふしぎとわくわくしてきます。

新年をむかえるにあたって、2013年をどう動こうか真剣に検討してみる手引書になるはずです。

『ワーク・シフト』は、
いろいろな意味で、私の2012年を象徴してくれる本でした。おすすめ。

★★★

そういえば今日は、クリスマス・イブだったんですね。

日本にクリスマスがここまで定着したのは、直後に年末年始がひかえているからだと思います。
街で輝くイルミネーションは、イエス・キリストの生誕を祝っているわけではなく、

「今年も1年お疲れさま!」と、日本人の心を慰めているのでしょう。

何となく浮き足立つ12月です。
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という、完全な余談で、何のオチもなく、このエントリは終わります(笑)