チェコ好きの日記

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『ワーク・シフト』 自分の未来を考える方法

『ワーク・シフト』という本を読みました。

この本、「読んだだけ」でもそれなりにおもしろいですが、以下のように「で、自分はどうなる? どうする?」を考えるとおもしろさ倍増です。

パッチワークキルトを作るように読んでみる (作成例も参考に)

著者のリンダ・グラットンは、この本の執筆を「パッチワークキルト作り」にたとえています。膨大な要素のなかから適切なものをピックアップし、図柄を考えて並び替え、縫い合わせていく。そして、読者にも同じように、「パッチワークキルト」を作るように読んで欲しい、といっています。著者にしたがって、ここはぜひ「パッチワークキルト」を作るように読んでみましょう。

前回のまとめエントリにも書きましたが、2025年の世界の変化は、以下の5つの要因からおこるとリンダは予測しています。

要因1 テクノロジーの進化
要因2 グローバル化の進展
要因3 人口構成の変化と長寿化
要因4 社会の変化
要因5 エネルギー・環境問題の深刻化

この5つの要因は、本書でさらにこまかな要素に分解され、計32の要素が紹介されています。その中から、自分に最も関係が深そうな要素を、いくつか直感で選んでみる。私も、32の要素のなかから9個の要素を選びました。何を選んだかは長くなるので省略しますが。

次に、選んだ要素を並び替え、1つの図柄になるように縫い合わせて、自分の未来のストーリーをつくっていく。ですが、いきなりこれをやろうとするとちょっと難しい。

そこで、本書にはご丁寧にも「作成例」が載っています。この作成例のなかから、自分に近そうなストーリーを選んでみましょう。これなら難しくない。

「作成例」には、2種類あります。2025年のネガティブな側面を打ち出したストーリーと、ポジティブな側面を打ち出したストーリー。ネガティブストーリー、・ポジティブストーリーから自分に近そうなものを、それぞれから1つずつ選び出すのがいいと思います。

私が選んだネガティブ・ストーリーは、ベルギー南部リエージュに住む、アンドレのストーリー。アンドレは、ファストフード店でハンバーガーを焼いたり、ガソリンスタンドで給油をしたりするのが仕事です。いわゆる「フリーター」で、短期のアルバイトでぎりぎりの生活をおくっています。でも2025年では、こういった低賃金労働を、世界中の人と奪い合うことになります。せめて自給1000円で働きたいアンドレと、600円でもいいから働かせて欲しい途上国の意欲ある若者。企業が選ぶのは当然ですが後者です。アンドレは、先進国に生まれたにも関わらず、グローバル化した労働市場では取り残されて貧困層になってしまうかもしれません。私は、塾講師という特別な技能や資格がなくてもできる仕事をしているので、「もしかしたらこうなっちゃうかも?」と思いました。

一方、私が選んだポジティブ・ストーリーは、バングラデシュ南東部でボランティア活動にはげむジョンとスーザンのストーリー。ジョンは大学卒業後、大手小売企業に就職します。この会社、給料はそこまで高くないのですが、社員が自分で仕事のスケジュールを決められるという制度を導入しています。おかげで、ジョンは家族と過ごす時間をたっぷりとったり、数年休職してバングラデシュでボランティア活動をすることができるのです。しかし、ジョンはこの自由な働き方を手に入れるために、マイカーとマイホームを諦めたといいます。2025年はジョンのように、自分の選択について、またその選択がもたらす結果について、真剣に考える人が増えるらしいです。私も65歳まで“ずっと”働くのではなく、ところどころで休職してボ〜っとニートになってみたり、長期の旅行や留学・ボランティア活動のため海外にでかけてみたり、資格の勉強をしてみたりしたいんですよね。そのために年収が下がっても、生きていく上での最低コストさえ稼げればかまわないと思っています。

ネガティブ・ストーリーをポジティブ・ストーリーに近付ける

私は、ボ〜っとしてるとアンドレになってしまう…。少しでもジョンに近付くためにはどうすればいいのか? リンダは働き方において、3つのシフトを行なえ、といいます。

1つは、「広く浅く」なゼネラリストではなく、高度な専門技能をもつスペシャリストになること。“高度な専門技能”として有望な分野として、リンダは生命科学・健康関連、再生エネルギー関連、創造性・イノベーション関連、コーチング・ケア関連などをあげています。理系の大学院でエネルギー関連の研究をした人とかが最強ってこと? 私ムリじゃん…と一瞬泣きそうになりましたが、リンダは「でも、あくまでも好きな仕事を選ばないと意味ない」といいます。好きな仕事を選んだうえで、たとえばジョンのようにマイカーとマイホームを諦めるなどの、“選択”をしろと。

もしくは、たとえその技能に特別な資格や大学院での研究成果など“目に見える”高度さがなくても、それが価値を生み出せ、希少性があり、まねされにくい技能であれば、立派な「高度な専門技能」になるはず。なので、時代を先読みし、ニーズを考え、自分で工夫して努力するしかありません。私はここで、自分が今もっている能力がどのようにすれば「高度な専門技能」と呼べるレベルになるのかを考えて、手帳に書き記しました。

2つは、孤独な競争から「協力して起こすイノベーション」へ、考え方をシフトすること。リンダは、自分を取り巻く人間関係を3種類持つべき、といいます。その3種類は、少人数で仕事に関して同程度の知識・価値観を持つ盟友「ポッセ」と、SNStwitterなどでつながる多様な価値観の大人数コミュニティ「ビッグ・アイディアクラウド」、そして家族や親しい友人、恋人など利害関係なく付き合える「自己再生コミュニティ」。組織の歯車として孤独な競争をするのではなく、1人1人が主体的に考え選択する社会では、ポッセやビッグ・アイディアクラウドから互いの知識や力を持ち寄って協力してイノベーションを起こす、という価値観が必要みたいです。

そして3つは、大量消費から「情熱を傾けられる経験」へ、価値観をシフトすること。この3つ目のシフトが一番難しい、とリンダはいいます。2025年の世界では、主体的に何かを選択し、何かを捨て(諦め)られない人間は、ハイスピードで駆け巡る情報の渦でおぼれてしまいます。

テレビも冷蔵庫も洗濯機もなかった時代には、一生懸命働いてそれらを手に入れることに、生活が豊かになっていく実感が伴い、幸せでした。消費が幸せだった。

でも、テレビも冷蔵庫も洗濯機も「あるのが普通」の現代では、もう消費によって人々は幸せを感じられない。なので、情熱を傾けられる仕事をするでも、ボランティア活動にはげむでも、死ぬほど本を読むでもいいのだけど、「経験」に価値をおく考え方に変えないと幸せになれない。そういうことみたいです。

結論。

3つのシフトを行なっていくうえで、「これはできそう」「これは難しそう…」と感じる部分が人によって異なると思います。

たとえば私は、第3のシフトは比較的容易に行えるような気がします。でも、第1のシフトがうまくいくかとても不安です。高度な専門技能ってなに…

でも、本書にヒントはたくさん載っています。そしてヒントをひろって考えれば考えるほど、2025年が何だか楽しそうに思えてきます。

1人1人が考え、勇気をもって実践していくことによって、ワーク・シフトは加速する、とリンダはいっています。

この本、エントリを読んでくれる人のために、要約をしてみたり読み方を考えたりいろいろ試してみましたが、一番いいのはやっぱり「自分で読んで、考えて、考えたことを紙に書いて、実践する」。自分で読まないとつまんないです。

とにかくヒントがたくさん詰まっている本なので、付箋を貼りまくって読んだのですが、ほとんど全部「私にとってのヒント」なので、それを人と共有することにはあまり意味がなさそう。

以上で、何だか不完全燃焼な感じはありますが『ワーク・シフト』についてはおしまいです。

ご清聴ありがとうございました。