チェコ好きの日記

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「山中教授、ノーベル賞おめでとう!」 今このタイミングで読みたい本。

京都大学山中伸弥教授が、ノーベル生理学・医学賞を受賞されたニュースで、ここ最近は賑わっていますね!
すごいですねー。

なのに私ときたら、iPS細胞とES細胞とクローン技術のちがいすらよくわかっていなかった……ので、今更ながらネットで調べました。

iPS細胞→患者本人の体細胞から臓器を作ることができる。倫理的な問題がない(少ない)。

ES細胞→受精卵から臓器を作る。受精卵を1人の人間(子供)と見なす考え方もあるので、それを潰して臓器を作ることに、倫理的な問題がある。

クローン技術→体細胞から1人の人間(動物)のコピーを作り上げること。

※iPS細胞とES細胞は臓器を作る技術で、クローンは人間(動物)自体を作る技術だと解釈しました。

ネットで調べただけなのでまちがってるかもしれません。まちがってたら教えてください。笑
いずれにしろ、超ド文系の私が技術の話をすることはできないので、今回は細かいことは置いておきます。

といいつつ、倫理の話も難しいので、できません。

今回は、「今このタイミングで読んでおくと、おもしろいかもしれない」と思った、ある1冊の本の話をするだけです。

★★★

わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)

わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)


ある1冊の本とは、カズオ・イシグロの『わたしを離さないで』です。
私が、すごく好きな小説です。

なぜこのタイミングで『わたしを離さないで』なのかというと、詳しくは本を読んで、としかいえないのですが……。
というのも、この小説の性質上、ネタバレは絶対にしないほうがいいからです。

主人公はキャシーという女性で、物語はそのキャシーが生まれ育った施設、ヘールシャムでの思い出を語るところから始まります。
ヘールシャムは、特に変わった施設ではありません。歴史の授業があり、国語の授業があり、絵を描く授業がある。
そこで描かれる生活も、誰もが子供時代に経験したことがあるような、ありふれた、懐かしい、でもちょっと胸の痛い思い出ばかりです。

でも、少しずつ物語に“奇妙な点”が出現し始めます。はじめはそれが奇妙であることにすら気が付かない、ほんのちょっとしたことなのですが、次第にそれは、無視できないレベルのものになっていきます。

私たちは皆、生まれてくる場所を選ぶことはできません。しかし、実はこの世に産み落とされたその瞬間から、皆、あるルールに則ったゲームに参加させられています。
はじめのうちは、ルールがよくわかりません。しかし、ルールなんて知らなくても、もうゲームには参加しているので、いきなり強烈なパスがまわってくることがあります。まわりを見ると、どうやらこのボールを自分1人で持ちすぎているのはダメらしい。だからよくわからないけど、とりあえず自分がパスをもらったように、次の人へもパスをまわしてみる。そうこう繰り返しているうちに、やっと、おぼろげながら「ルール」のようなものが見えてきます。

この小説は、主人公たちがその「ルール」をどうにか見つけ出してつかみ、抵抗し、挫折し、受け入れていく過程が描かれています。
(ネタバレができないので、超・オブラートにつつんで書いています。)

★★★

iPS細胞も、ES細胞も、クローン技術も、実用化なんて夢のまた夢で、自分が生きているうちはその恩恵に与ることなんてないのだろうと思っていましたが、
そんなこともないみたいですね。実用化まであと十数年? ってテレビでいっていました。(曖昧でごめんなさい……)

iPS細胞による臓器移植が“十分にありうる選択肢”として人々のなかで考えられるようになったとき、


この小説を人々はどう思うだろう。
何か教訓を得るでしょうか。過去の物語だといって、エンターテイメントとしてのみ享受するのでしょうか。

個人的には、すごく好きな小説なので、前者だと思うのですが、

今このタイミングでこの本を読むと、科学技術の発展が小説を追い越してしまう、という珍しい体験ができます。

事実は小説より奇なり。