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チェコ好きの日記

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ロンドンひとり旅 オフィーリアに会いに行く!

前回は、ロンドン・ヒースロー空港に到着し、iPhoneの地図を見ながらアールズ・コートという駅にあるホテルにたどり着いたところまでと、ロンドンを旅行する上での基本情報などを書きました。
ロンドンひとり旅 イギリス旅行のキホン! - チェコ好きの日記

さて、翌朝から、いよいよ行動開始です。地下鉄で、ロンドンの中心部に向かいます。
目指すはもちろん、ロンドンのシンボル、ビッグ・ベン

地下鉄がとまる。

意気揚々と出かけた私だったのですが、アールズ・コートの駅に来てみると、何やらおかしな表示が。
「ピカデリーラインは、週末工事のため、今週土日は走行しておりません」……?

一瞬、私の英語の解釈がおかしいのかと思いましたが、確かに、ピカデリーラインに行く通路が柵で封鎖されています。ロンドンの地下鉄はよくとまると噂には聞いていたものの、まさか本当に、こんなに普通にとまるとは。

仕方なく、ピカデリーラインではなく、ディストリクトラインという別の路線を使って、中心部を目指すことにしました。気楽なひとり旅、別に時間に縛られているわけではないので、これくらいのトラブルなら楽しめます。ちなみに、「よくとまる」ということを除けば、ロンドンの地下鉄はとっても便利でわかりやすく、旅行者でもすぐに乗りこなすことができます。

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紫のピカデリーラインがとまっていたので、グリーンのディストリクトラインに乗る。


中心部へ!

ディストリクトラインのウェストミンスターという駅で降り、出口から階段を上がると、すぐそこにもう、ビッグ・ベンがお出ましです!
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ですが、駅を出てすぐだと近すぎて、我々がよく知っている“あの”ロンドンのビッグ・ベンには見えません。すぐ正面のウェストミンスター橋をわたって、大きな観覧車ロンドン・アイのほうに歩いていくと、ようやく“あの”ロンドンを見ることができます。

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あれ? 写真の天気がちがくない? と思った方。

実は、初日は「近すぎると“あの”ロンドンに見えない」ということに気付かず、「えー、これがビッグ・ベン?」と若干がっかりしていた私。

後日もう一度、よく見る“あの”写真のアングルなどを考え直し、「橋をわたればいいんじゃないか?」ということに気が付いて、再訪したというわけなのです。“あの”ロンドンが見たい方は、橋をわたるのを忘れずに!


気を取り直して、そのまま国会議事堂に沿って歩き、信号をわたると、ウィリアム王子とキャサリン妃が結婚式をあげた、ウェストミンスター寺院にたどり着きます。
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国会議事堂

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ウェストミンスター寺院

ウェストミンスター寺院の内部に入るには、教会が開く9時半ちょうどをねらっていっても、相当な時間、列にならぶ覚悟をしなくてはなりません。私は9時10分くらいから、がんばって行列にならんでいました。行列は途中で、拝観料を現金で支払う列と、カードで支払う列とに分かれます。

ちなみに、ウェストミンスター寺院内部は撮影禁止。中の写真が欲しければ、すぐ近くにあるお土産屋さんでポストカードを探しましょう。

というわけで、中はこんな感じです。byポストカード
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ところで、この後も私はいくつかのロンドンの教会をめぐってみたのですが、私が見たところ、ロンドンの教会はほぼ100%がゴシック様式でした。
ゴシック様式というのは、ロマネスク様式と対比させてみると、特徴がわかりやすいです。

ウェストミンスター寺院ゴシック様式なら、ロマネスク様式っていうのはこういう感じ。
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これはイタリアの教会です。

要するに、ゴツゴツしていていかついのがゴシックで、丸っこくてやわらかいのがロマネスクだと思っていただければいいです。

時代的には、ゴシックはロマネスクの後に位置する様式です。時代を経て建築技術が発達し、天井をたかーく、たかーく、設計できるようになり、細くてとんがった形の聖堂を造れるようになったことで、「ゴシック」という様式が生まれたというわけ。そして、窓の美しいステンドグラスも、ゴシック様式の特徴です。
ロンドンや近郊の教会を訪れる機会がある方は、ぜひ注目してみてくださいね。


さて、ウェストミンスター寺院を出て交差点をもどり、ビッグ・ベンを背にして通りを進んでいくと……
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見えてくるのが、バッキンガム宮殿です。
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が、ここはとにかくすごい人だかり。人の頭が写っていない写真を1枚も撮ることができませんでした。人混みが苦手な私は、有名な衛兵交代を見ることなく、早々に退散。

ちなみに、“おもちゃのチャチャチャ”から飛び出してきたようなあの兵隊さんを見たい方は、バッキンガム宮殿までの通り(Birdcage Walk)の途中にある博物館? で、運がいいと遭遇できるかもしれません!
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練習中? で、太鼓をドンドンたたいておりました

オフィーリアに会いに行く!

一通りロンドンの名所を見たところで、今回の旅の最大の目的、ミレイの『オフィーリア』に会うために、テムズ河に沿って歩きながら、イギリス美術の一大コレクションを有するあのテート・ブリテンを目指すことに。

朝は曇っていた空も、この時間から少し晴れ間が見えてきて、
暑くもなく寒くもなく、散歩するには絶好の天気。

お散歩のBGMも、UKロックと行こうじゃないか!

と、ノリノリな私。
この後、最大の悲劇が待っているとも知らずに……


着いた! テート・ブリテンです。
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ギャラリー前のカフェ・スペースもいい感じ。
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このテート・ブリテンを始め、ナショナル・ギャラリー、大英博物館、テート・モダンなどなど、イギリスでは有名な博物館・美術館の多くを、何と無料で楽しむことができます。特別展は有料ですが、常設展を見るならば、タダ!

国家が芸術の重要性と、それを広く開放することの意味を理解しているのだと思います。おそるべし大英帝国。そして、少し見習いたい姿勢でもありますね。

ちなみに、タダで楽しむのもいいですが、どの博物館・美術館も、中に募金箱があります。英国の懐の広さに感服した方は、少額でいいので、チャリンとお金を落としていくのもいいかもしれません。私も感謝の気持ちを込めて、少しですが寄付をしてきました。
決して、日本に小銭を持って帰っても両替できないから細かいお金を整理していたとか、そういうわけではありませんよ。


さて、中に入ってから、まず確認しないといけないのが、内部の地図です。
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テート・ブリテンでは、作品が制作された年代ごとに、展示されている部屋が分かれています。見方は人それぞれですが、1540年の部屋から入り、徐々に時代を追っていくのが、最もスタンダードな方法でしょうか。お目当ての作品がある方は、必ず作品の制作年を確認していきましょう。

ミレイの『オフィーリア』が制作されたのは、1852年です。なので、きっとこの「1840」の部屋に、あるはず!
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あるはず!
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ない!!!

もしかして私、制作年まちがえてる? と思い、1540年から2000年、別館に至るまで探し回ったものの、どこを探しても『オフィーリア』が見当たりません。どこかの国に貸し出されていたのか、倉庫にしまいこまれていたのかはわかりませんが、とりあえず『オフィーリア』に出会うことはできず、挫折。感動の対面!!! となるはずだったのに……!


と思ったら、2014年1月に、ミレイの『オフィーリア』を含むラファエル前派の作品群が、六本木ヒルズの森アーツセンターギャラリーにやってくるという情報をキャッチ。はいつくばってでも六本木に行って、今度こそ『オフィーリア』に会いたいものですが、できれば本国イギリスで、テート・ブリテンで、彼女にお会いしたかった。仕方ないので、10年後くらいにもう一度ロンドンに行って、リベンジするとしましょう。

しかし、『オフィーリア』に会えなくても、テート・ブリテンのコレクションが見ごたえたっぷりなことは、いうまでもありません。

特にここの自慢は、もちろんウィリアム・ターナー
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イギリスは、ヨーロッパで最も存在感のある国の1つであるにも関わらず、「美術」という観点で見てしまうと、フランスやイタリアに比べて、少なからず見劣りしてしまう存在です。テート・ブリテンもナショナル・ギャラリーも、そのコレクションは「フランスやイタリアから買い取った」ものがほとんどで、本国イギリスの作品は、実は存在感が薄い。

そんななかで、唯一イギリス国産(?)の画家として称揚され、たくさんの充実したコレクションを見ることができるのが、ターナーなのです。

ターナーの作品は、あの夏目漱石の『坊ちゃん』の会話の中に登場することでも有名です。漱石がイギリスに留学した頃(1900~1902)、このテート・ブリテンは、まだ出来たばかりの美術館でした。完成したばかりの美術館で、漱石ターナーの作品に出会い、何を思ったのでしょうか。

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ターナーの作品を数点見ていただくとその特徴がよくわかると思いますが、きらびやかな宗教画や重厚な歴史画がたくさん制作された他のヨーロッパの国々に対して、イギリスで多く制作されたのは、何とも素朴な風景画です。

なので、何というか地味というか、諸外国の圧倒的な存在感の絵画を見てしまうと、ちょっとウトウト……という感じではあります。私も、ターナーの絵画はまぁまぁ好きなほうだと思うのですが、正直どの作品も同じに見えるというか、「これを見た!」「これを見たかった!」っていう強烈な絵のイメージがないんですよね。「たぶんこれは見た」「たぶんこれ知ってる」みたいな、ふあふあ~っとした印象しか残りません。

でもだからといって、イギリスの美術やターナーの作品の評価を低く考えていいかというと、もちろんそんなことはありません。同じヨーロッパの大国でありながら、フランスやイタリアとは別の方法で、美術の発展をとげたイギリス。島国だったことが影響したのか、元々の国民の気質だったのか、私は専門外なのでよくわかりませんが、調べてみたら面白そう! ですよね。

それに、この何ともふあふあ~っとしたターナーの絵画も、ずっと見ていると、何だか心が落ち着いて来ます。光の描き方が繊細で、どこかで見たことがあるような、記憶の片隅に眠っているような、かつて自分が見たかもしれない、そんな風景と呼応しませんか? かつて漱石が感銘を受けたように、「わび・さび」を美意識とする日本人とは、なかなか相性がいいようにも感じます。

そんなわけで、ロンドンでテート・ブリテンに行かれる方は、「ターナー・コレクション」を見てくることをお忘れなく!

そして何と、このターナー・コレクションも、もうすぐ日本にやってきます。
http://www.turner2013-14.jp/
場所は、東京都美術館。首都圏にお住まいの方は、ぜひ足を運んでみてください。
もちろん、私も見に行きます。

★★★

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旅行記は、次回に続きます。
ロンドンひとり旅 ストーンヘンジと、ローマ人の温泉 - チェコ好きの日記