チェコ好きの日記

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「しりあがり寿型」という働き方の可能性について考える

私はこれまでの人生で、「すごいマンガ読む期」と「ほとんどマンガ読まない期」を不定期にくり返してきた人間です。「すごい読む期」の第1次は小学生〜中学生のときで、当時はなかよし・りぼん・ジャンプなどなどのマンガが幅を利かせていました。そこから高校生になると「読まない期」に突入し、大学入学後もしばらく「読まない期」が続いたものの、大学2年生の夏休み頃になぜか突如「すごい読む期」が復活して、サブカル系のマンガを読みあさりました。その第2次「すごい読む期」に愛読していたマンガ家の1人がしりあがり寿で、彼のマンガのなかでいちばん好きな作品はこれかな。

ゲロゲロプースカ 新装版 (ビームコミックス)

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あと私は朝倉世界一も、私が中学生のとき進研ゼミの『パパはプロレスラー』ってマンガを描いていた頃からファンで……と、今回はマンガの話をしたいわけじゃないんでした。閑話休題

現在でもしりあがり寿のマンガはもちろん好きなのですが、就職して以来再び「読まない期」に突入している今となっては、『ゲロゲロプースカ』よりも『真夜中の弥次さん喜多さん』よりも、もっともっといろいろな人にすすめたいしりあがり寿の本がありまして、それがマンガではなく新書の『マンガ入門』なんです。

マンガ入門 (講談社現代新書)

マンガ入門 (講談社現代新書)

『マンガ入門』っていわれてもアンタ……というかんじでしょうが、この本は別の意味でのタイトル詐欺(?)をしていて、マンガ家を目指す・目指さない、マンガもしくはしりあがり寿に興味がある・ないの垣根をこえて、もっといろいろな人に読まれていい本だと私は思っているんですね。内容は「マンガ家になって食っていくには」という体裁で話が進むものの、それは昨今注目の「働き方」の話題に直結しています。適切なたとえじゃないかもしれませんが、ちょうどちきりんさんの『未来の働き方を考えよう 人生は二回、生きられる』を読んでいるときのような気分を味わえます。

最近ふとこの『マンガ入門』に書いてあった内容を思い出すきっかけがあったので、今回は「しりあがり寿」と私が勝手に呼んでいる働き方についてちょっと書きます。なお、残念ながら諸事情により本が手元にないので、正確な引用はナシで記憶をもとに話を進めます。

しりあがり寿型」

しりあがり寿という人は、現在では有名な専業マンガ家ですが、当然ながら売れなかった時期というのもあって、大学卒業後はキリンビールに入社しています。この時期の就活のエピソードも本には書いてあるのですが、「どうやって就活すればいいのかわからなかった(=どうやったら会社に応募できるのかわからなかった)」という理由で、同級生に比べてかなり遅れてのスタートを切っていたそうです。しかし、こだわりがあまりなく「入れてくれるならどこでも」というスタンスで就活したことが手伝って(?)、遅れてスタートしたのにも関わらず内定を得たのは同級生より早かったのだとか何とか。入社後は、キリンビールでマーケティングなどを担当していたそうです。

しかし、入社後もずっとマンガは書き続けていて、雑誌にもちょくちょく載るようになっており、しばらくは会社員とマンガ家という2足のわらじ生活が続いたそうです。私が「しりあがり寿」と呼んでいるのは、この2足のわらじ時代のエピソードです。

正確な引用ができなくてもどかしいのですが、記憶をもとに再現すると、「会社の仕事が上手くいかないときは『オレってマンガ家だから〜』と考え、マンガが上手くいかないときは『オレって会社員だから〜』と考える」ことで、この2足のわらじ時代を精一杯頑張ったと書いてあったのです。

「何だその言い訳じみた思考は……」と一見すごいダメな考え方に思えますが、その本を読んだ当時の私は「そうか、そうやって考えていいんだ!」と目から鱗の思いで、以来こういった思考法を「しりあがり寿型」と呼び、自分が生きるなかで積極的に活用してきました。

頑張りたいことが複数ある人に向いてます

もちろんこの働き方に関する思考法は諸刃の剣でもあって、下手を打つと本当に「ダメな考え方」になっちゃうので取り扱い注意ではあります。しかし、何か1つのことに打ち込んでいる人ではなく、頑張りたいことが複数ある人が、いざというときに精神のバランスをとるために、この考え方はけっこう有効なんじゃないかと私は思っています。「どっちも手を抜かずに頑張る」ことが前提で、きつくなったときの調整弁として利用する感覚です。2つ以上の仕事をしている人とか、仕事と家庭とか、そういうののバランスを取りたい人に向いていると思います。

プロフェッショナルのマンガ家として活躍しているしりあがり寿のような人でも、何か1つのことをがむしゃらに極めていったのではなく、自分をコントロールしながらうまいことやってきたんだな〜と思うと、わりと安心する人が多いのではないでしょうか。もちろん言うは易し行なうは難しで、おいそれと真似できるもんではないかもしれませんが、私はこの「しりあがり寿型」の思考法にずいぶん助けられていると思います。

息抜きの息抜きで息抜き

しりあがり寿とはちょっと離れますが、もうだいぶ前に放送していた何の番組かまるで思い出せないテレビで、「キャバクラ嬢と会社経営の2足のわらじで生活している」という女性が登場してたんですね。それで、彼女の働き方がすごくいいな〜と思って、その内容は今でも覚えています。

彼女はよく人に「2つも仕事してるなんて、大変でしょ」といわれるらしいのですが、本人はぜんぜんそんなことはなくて、「キャバクラは会社経営の息抜きで、会社経営はキャバクラの息抜きなんですよ」とインタビューに答えていたんです。で、おそらく2足のわらじ時代のしりあがり寿も似たようなところがあったんじゃないかと思うんですよね。「会社はマンガの息抜きで、マンガは会社の息抜き」みたいなかんじで。そして、私はそういう感覚を持った人生にすごく憧れていて、2つ以上の軸を自分のなかに持つのって何かいいなーってずっと思っています。どっちかがダメになってもどっちかが残っているっていうのは、心強くもあります。

そしてさらに付け足すと、私のなかでこのブログはだんだんそういう場に育ってきていて、ブログを書くことは会社の仕事の息抜きなんですけど、会社の仕事はブログの息抜きみたいになっています。何というか、今年のGWは終わるのがぜんぜん嫌じゃなかったんですよ。「本読んだりブログ書いたり人に会ったりするのも飽きてきたし、会社行くか」みたいなタイミングでGWが終わったので、そのことは私のなかで地味に嬉しい出来事でした。


おそらくこういう考え方が決定的に合わない人というのもいるので、万人におすすめというわけではないんですけど、「なんか共感できるかも」と思う人がいたら、一緒に「しりあがり寿型」を目指しませんか、という話です。

地獄のサラミちゃん (祥伝社コミック文庫)

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朝倉世界一の『パパはプロレスラー』単行本化してほしい