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チェコ好きの日記

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「全部信じる必要はない」を教えてくれる高城剛

私のまわりの気になる方々で、ハイパーメディアクリエイター? の高城剛氏にシンパシーを感じているらしい人が多かったので、「どれどれ」と彼の本を数冊手にとってみました。読んでみたのは、『白本』、『私の名前は、高城剛。住所不定、職業不明』、『モノを捨てよ世界へ出よう』、『LIFE PACKING(ライフパッキング)【未来を生きるためのモノと知恵】』の4冊。「どれどれ」とかいっている割には、けっこうがっつり読んでしまいました。

今回は、そんな高城剛氏の本の感想です。いちばん面白かったのが『LIFE PACKING』だったので、そのあたりの話が多くなるような予感です。

うさんくさい人、高城剛

高城剛氏といえば、私のなかでは「沢尻エリカと結婚した人」であり、それ以上でも以下でもありませんでした。で、本を数冊読み終わった今でも、「とりあえずものすごい先を行っちゃってる人」だということは理解しましたが、結局何の人なのかはよくわかっていないし、あの独特のうさんくささは拭えません。とりあえず、映像とかを作る仕事をして世界中を飛び回っているらしい。

どのあたりが「ものすごい先を行っちゃってる」のかというと、いろいろなものに対する価値観です。お金とか、仕事とか、あとは自分の持ち物を99%処分したといっているので、断捨離とか。ある程度年齢が上の人にとっては、彼の考え方はきっと受け入れがたいのだろうなぁ、と思います。しかし、20代〜30代くらいの世代にとっては、彼の考え方はそこまで突飛なものではないというか、「なるほど確かにそうかもしれないなぁ」と共感するところがあるのではないでしょうか。

たとえば、Q&A方式で話が進む『私の名前は高城剛〜』で、「収入や貯金はあるほうですか?」という質問に対して、彼はこう答えています。

僕の経験則で申し訳ありませんが、自分がお金を持っていることを言い立てる人は不健康で、お金を持っていないのに欲する人も、とても不健康です。なぜなら、お金がなくなったらどうしようとか、搾取されているという情念のようなものを常に持っているからです。
(中略)
この質問のように、「いまの収入や貯金額」を聞くことほど、二十世紀のダメさを露呈していることに気がつかねばなりません。その無意味なとらわれから脱出することが、第一歩なのかもしれませんね。

★★★

いっていることはそこまでぶっ飛んでいるわけでもないし、こういった価値観を生活に刷り込んで実践していくための処方箋が「日本を出て海外へ行け」であることも、自分が行動を起こせるかは別にして、納得はできます。しかし、それなのになお彼に対するうさんくささが消えない理由が、持ち物の99%を処分し、最後に残った1%の品を紹介しているという『LIFE PACKING』を読むとわかります。

自分の持ち物や愛用品を紹介することはそれほど珍しいことではありませんが、有名人がこういうことをやるとしたら、「あの人が使っているものを自分も使ってみよう」という、そういう気持ちを起こさせる必要があると思うんですね。が、『LIFE PACKING』にはそれがありません。いや、最初の「1日程度の外出時に」編くらいならまぁ参考にしようかなという気になるんですが、後半の「タイトな2週間の旅に」編とか、「ほぼ引越しな1ヶ月の旅に」編とか、うしろに行くたびに「ついていけんわ、これ」という感じになってきます。ビワの葉とか、過酷な天候でも着火できるように開発された現代版火打ち石とか、身体にたまった悪い血を排出するための医療用の針とか(これは瀉血というやつなんでしょうか)。このあたりを読むと、彼が他の書籍でお金や仕事について語っていることなんて、ほんの一部なんだろうなぁという気がしてきます。

でも、この「ついていけんわ、これ」が、案外彼の思想を読み解くうえで重要なのではないかとも思いました。

「全部信じる必要はない」を教えてくれる高城剛

「この人のいうことだから信じてみよう、自分も考え方を変えてみよう」と思わせるような力がある人は古今東西(?)どこにでもいると思うのですが、それをまるっと信じてしまうこと、盲目的になってしまうこと、ロールモデルを過信しすぎてしまうことは、高城剛氏の言葉を借りていうなら「二十世紀のダメさを露呈している」ということになるのではないか、と彼の著書を読んでいて思いました。いろいろな人の、ある部分は信じるけれど、ある部分は絶対に信じない。ある部分は共感するけど、ある部分は断固として否定する。”いろいろな人”というのはもちろん有名人でもそうだし、友人や家族など、自分の身近な人にも当てはまる話です。高城剛氏の主張の本筋とはかけ離れてしまう気もするのですが、彼の書籍を読んでいるとそういう感覚を大切にしたいなー、と私は思ってきました。

同時に、自分も他人に対してそう思われるような存在にならなきゃいけないな、という気もします。「あいつのいっていることは、一部はわかるけど、一部はどうしても納得いかん」という、他人に受け入れられなくても自分は絶対にこれを手放さないし守る! という、強い部分がないといけないなと。

高城剛氏の本を読んでみると、「まぁ結局は自分で考えなきゃダメなのよね」という、そんな当たり前の事実を思い知らされもするのでした。

とりあえず私は、『LIFE PACKING』に載っていた、パッケージがダサいので敬遠していた毛穴撫子重曹つるつる石鹸を今度買おうかと思います。

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