チェコ好きの日記

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文章を書くのに、たぶんあんまりコツとかない

作家の村上春樹氏が、読者からの質問を受け付けるサイトを開設して話題になっていますが(私も質問してみましたドキドキ)、そのなかでも特に最近大きく注目を浴びていたのが、下記の質問でしたね。

文章を書くのが苦手です - 村上さんのところ/村上春樹 期間限定公式サイト

基本的にはもって生まれたもので決まります。まあ、とにかくがんばってください。」って、ちょっと、ちょっと冷たくない村上さん? 

まあそれはいいとして、今これを書いている私は20代後半なんですが、いったん20歳を過ぎてしまうともう、純粋な意味での「文章力」っていうのは、もうどうにもならないんじゃないかっていうのは思いますね。そういう意味では確かに「もって生まれたもので決まる」のでしょう。

じゃあ20歳を過ぎるともうどうにもこうにも手は加えられないのか、ずっとそのままいくしかないのか、というとそんなこともなくて、たぶん少しだけ改良の余地はある気がします。

今回はそんな、私が考えた「改良の余地」について話をしようかと思います。

外でおもしろいことをする

純粋な意味での「文章力」はもって生まれたものというか、20歳を過ぎるともうどうにもならないんじゃないかなーと私は思います。なので、面白い文章を書きたいなと思ったらあんまり机にかじりついていないで、どこか外へ出かけて面白いことを探してきたほうがいいんじゃないかなって気がするんですよね。文章だけでどうこうすることは諦めて、書いている内容の面白さで戦うしかないと思うんです。実際に体験したことを書くわけじゃなくても、外で遊んでくるといろいろなことが栄養分としてしみわたって、文章にいい風味を加えてくれる気がします。ちょっと言葉遣いがヘンでも、日本語として若干おかしい部分があっても、そこはもう「味」ということにして、あんまり文章力だけを鍛えるという方向に、意識を向けないほうがいいのではないでしょうか。書いてある内容自体が面白ければ、文章力がなくてもけっこう読んでて面白い場合があります。

どうしてこんなふうに思うのかというと、ありがたいことに最近ブログを通じて知り合った方と直接お会いすることがけっこうあるのですが、文章が面白い方は実際に会っても面白いんですね。「その人自身」が面白ければ、文章も引っ張られて面白くなるということを実感したりするのです。

たまに、実際に会えばとても面白い方なのに、文章が壊滅的に下手クソでどうにもならんという人もいますが、そういった方はおそらくこのブログを読んでいないと思うので、割愛します。逆に「文章はすごく面白いのに実際に会ってみたらあまり面白い人じゃなかった」っていう方は、私はちょっと思い当たらないですね。

自分を殺す言葉を集める

そしてここからが本題ですが、なんかいいかんじの文章を書きたいと思ったら、本を読んだり映画を観たり、何かの評論を読んだりするときに少しずつ意識して、「自分を殺す言葉を集める」と、いざ自分で文章を書くときも「トドメを刺す」ことが容易になる気がします。

「自分を殺す言葉」とはまさしくその字の通りですが、読んだだけで酔えるフレーズとか、座右の銘的なやつとか、なんかそういうやつですね。私の文章が「いい」かどうかはまた別の話ですが、自分は気がついたらそういうのをたくさん集めていました。

たとえば、村上春樹の話から始めたので村上春樹の言葉で引っ張ると、彼のインタビュー集のタイトルになっている、「夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです」。これ好きですね。私は学生時代にシュルレアリスムの研究をしていたので、シュルレアリスムと関係の深い「夢」に関するフレーズは、理由もなく頭に残ってしまいます。

あとはこれも「夢」に関する言葉ですが、ヤン・シュヴァンクマイエルの『アリス』という映画に登場する、「目を閉じなきゃ。さもないと、何も見えないわよ」っていう言葉も大好きですね。「目」だけでは見えないものがこの世界にはあるのです。


ヤン・シュヴァンクマイエルのアリス 予告編 - YouTube


大好きな小説のお気に入りの一節を集めたり、エッセイや評論で刺さった言葉を覚えておいたり、そんなふうにしてしか、20歳を過ぎてしまった人の文章は改良されないと思います。あとはとにかく、外で遊ぶことですね。

★★★

最後に余談ですが、いまのところ今回の「村上さんのところ」でいちばん笑ったのは、下記の質問への回答でした。

せっかくの勇気が - 村上さんのところ/村上春樹 期間限定公式サイト

いや、笑ってる場合じゃないんですけどね。世の中にはもっともっと悲痛なことがいっぱいあるそうなので、私ももう少ししっかりしようと思いました。

いったい「人生」というやつは、いつになったらわかるのでしょうか……。