チェコ好きの日記

もしかしたら木曜日の22時に更新されるかもしれないブログ

【中東旅行記/5】ヨルダン・ペトラ遺跡の砂漠感

中東を中心に旅していた旅行記の続きです。前回分は以下。

aniram-czech.hatenablog.com

リアルタイムの旅行記はnoteで書いていました。

旅の製図法|チェコ好き|note

下記のようなルートで旅行をしていたのですが、タンジェ→シャウエン→マラケシュと進んだモロッコ編が終わり、カサブランカの空港からアブダビの空港へ飛び、そこからヨルダンの首都アンマンに到着したところからが今回です。

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アンマンの空港からバスで4時間くらい? ペトラ遺跡のあるワディ・ムーサへ向かいます。アンマンの空港からバスステーションまでの行き方に関する情報がネット上はもちろん地球の歩き方などを読んでもよくわからず、どうなることやらと思っていたのですが、空港から出ているタクシーの運転手さんに「ペトラ行きのバスが停まるとこ! ジェットバス!」みたいなことをいえば連れてってくれました。バスは早朝6時の出発で空港を出たのは5時くらいだったのですが、早朝のアンマンは霧がもくもくしていて幻想的……といえば聞こえはいいですがめっちゃ怖かったです。

はい、というわけで着きました。

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私のなかでペトラ遺跡は「手付かずの自然!」みたいなイメージがあったのですが、幸か不幸かそんなことはなく、きちんと管理された「自然公園」的なかんじでした。広すぎるので管理の手が届かないエリアはもちろんありますが、正規ルートを外れなければ観光地観光地したところです。正規ルートを外れなければね。

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ペトラに来て思ったことは、こういう光景には日本ではまずお目にかかれないだろうなということです。なぜかというと、地質がちがうというか自然条件がちがうというか、私は地学的なことはよくわかりませんが、とりあえず日本の地層でこういう深い渓谷はできないんじゃないかと思います。ここ、雨が降ったら水が雪崩のように降り注いできて水死しそうです。

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谷間を歩いていくと宝物殿(エル・ハズネ)が出てきます。

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私は大学のときに読んだ『オリエント夢幻紀行』って本がすごい好きなのですが、エル・ハズネはこれの表紙になっています。同じものを見れて感激。ちなみにこの本は、巖谷國士氏によるエジプト、シリア、トルコ、ヨルダンの旅行記です。今行くには危ないエリアが多いですが、もし治安が回復したら、私はいつかシリアのアレッポダマスクスパルミラ遺跡に行ってみたいなと思っています。

図説 オリエント夢幻紀行 (ふくろうの本)

図説 オリエント夢幻紀行 (ふくろうの本)

ちなみに、ペトラペトラといいますが、ペトラは紀元前1世紀以降にナバタイ王国の首都として栄えていたという記録が残っているそうです。が、それ以外のことに関してはよくわからないんだとか。途中、ローマ帝国に併合されたそうです。

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1812年、スイス人の探検家ヨハン・ルートヴィッヒ・ブルクハルトが地元民族のベドウィンに案内してもらい、この場所を「再発見」したらしいです。首都としての機能を失った7世紀中頃からこの19世紀まで、1000年以上ペトラは廃墟だったんですね。カンボジアのアンコール遺跡も歴史の表舞台から姿を消し廃墟化した時期がありますが、一度人々に忘れ去られた場所を訪れてみるというのはちょっと不思議な心地がします。

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エル・ハズネは比較的すぐ見られる場所にあるのですが、正規ルート最奥の修道院(エド・ディル)に行くまでは超大変。険しい山道を1時間くらい登っていかなくてはいけないからです。

ここまで行くのめっちゃ大変だったので途中を省略せねばならぬのが非常に惜しいのですが、延々と1時間灼熱の太陽の下を歩いた話をしてもしょうがないので、こちらがエド・ディルです。

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これから行きたい場所

私がこれまで訪ねた国は、14カ国。20歳のときに初めてパスポートを取得して1人で台湾に行ったときから、ほぼ毎年どこか海外を旅行していました。ただ、時間とお金の制約があって毎回1カ国とか2カ国しか訪れられなかったので、そこまで数は多くないなと自分では思っています。

この旅行をする前、私が行ってみたい行ってみたいと夢に焦がれていた国はイスラエルでした。なぜイスラエルだったのかというと、3つの宗教の聖地として常に歴史上欠かせない土地であったその場所に行けば、自分のなかの人間観みたいなものが変わるのではないかと思っていたからです。なんか、「人間の本質」みたいなものに迫れるのでは!? と思っていました。

で、結果はどうだったかというと、迫れたといえば迫れたし、迫れなかったといえば迫れませんでした。迫れなかった理由を簡単にいうと、イスラエルというのは西欧社会に文化の基盤があるので、中東にあって問題も多いけれど雰囲気はヨーロッパとあんまり変わらないと思ったからです。つまり、東京やニューヨークやロンドンやパリやソウルと同じだった。少なくとも私はそういう印象を受けました。

じゃあ「人間の本質」とやらに迫るため、次に私が目指さなければならないのはどこかというと、それはおそらく、我々と文化の基盤をより共有していない地になると思うのです。たとえば、パプアニューギニア。南米でもいいかもしれない。今回の旅でいえば、イスラエルよりはモロッコのほうが「文化のズレ」があったので発見は大きかったです。

しかし、そういう地に赴くのはハードルがすごく高いです。アフリカ、パプアニューギニア、南米、より治安が悪いところ、よりインフラが整っていないところ。そういうところに行くためには、もっと語学ができないといけないし、もっと体が丈夫でないといけません。いざというときに逃げる能力とか、危険を察知する能力とか、全体的なサバイバル能力を上げないといけません。えー、だから私は頑張ろうと思います。

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ペトラは砂漠じゃないけど砂漠感が凄かったです。ラクダがいっぱいいるし、歩いていると砂まみれです。