チェコ好きの日記

だいたい木曜日の22時に更新されるブログ

何をしたら癒されるのか、についての仮説

「麻薬」「幻覚」「変性意識状態」みたいな単語を目にすると、知らず知らずのうちに顔がニッコニコになっているので、んもう私って本当にそういうのが好きなんだな、と思う(違法なことはしておりません)。現実逃避がしたいのだろうか。


それはいいとして、こういう話を突き詰めると、カウンター/アングラカルチャーみたいな方向に進む人と、人類学的な方向に進む人とが両方いる気がするんだけど、私に関していえば後者だ。ただ、カウンター/アングラカルチャーも詳しくないだけで好きではある。というか、本当の底の底まで突き詰めると、アングラカルチャーと人類学の繋がりみたいなものも発見できる。浅い感想で恐縮だけど、10月25日の「クレイジージャーニー」のケロッピー前田さんの回はすごかった。私は痛いのだけはまじのまじで無理なので絶対やらないけど、アフリカとかアメリカの少数民族とかけっこう身体改造やってるし、古代の人はボディサスペンションみたいなことも普通にやってたのかもな、と思った。


スウェット・ロッジ


話は変わって、アメリカの南西部に、ナバホ族という先住民族がいる。このナバホ族は、「スウェット・ロッジ」という悪を追い出すための儀式を行なうことがあるんだそうだ。スウェット・ロッジは、一言で言うと、「くっそ熱いサウナ」である。雪のかまくらみたいに土を盛った中の、中心部分に焼けた真っ赤な溶岩を置く。準備ができたら入り口を封鎖して、溶岩がジュージュー焼ける音を聞きながら、熱い水蒸気を吸い込むのだそうだ。代表者が、祈りの言葉を唱えながら溶岩に追加で水をばしゃばしゃかけるので、だんだん喉が焼けるような感覚に陥ってくる。そして時間が経つごとに、熱過ぎて意識が朦朧としてくる。本来であれば数時間この状態を保つらしいが、話を聞いただけでも相当につらそうなので、初心者はたぶん数十分が限界だろう。


ナバホへの旅 たましいの風景

ナバホへの旅 たましいの風景

(※参考文献)


繰り返すが、この「くっそ熱いサウナ」は悪を追い出すための儀式だ。何か問題を持った人とその家族などがスウェット・ロッジをやると、意識変容とともにものすごい一体感が生まれるらしい。めちゃくちゃつらそうなのでにわかには信じがたいが、実際に体験した人によると、「すごく癒される」という。っていうか、にわかには信じがたいって言っちゃったけど、一緒に意識変容を体験する・一体感を経て変性意識状態に入るっていうのは、ようするにセックスと同じだ。だから、そういうこともありうるんだろうなと思う。雑にいやらしい文脈にしてしまって申し訳ないが、昨今、一部の人の間で起きているサウナブームの原因も、「ゆるスウェット・ロッジ」として考えると私はけっこう納得できる。

「人間を越えたい」


10月25日放送回の「クレイジージャーニー」に出ていたロルフさんという男性は、身体改造をしまくっている(上のツイート、写真右上)。頭にインプラントを埋め込んでツノみたいにしたり、何十?何百?箇所もピアスを空けて、全身に刺青をしている。「わーお!」っていう感じの外見ではあるが、私は、ロルフさんの言っていた「人間を越えたい」という思いを聞いて、なぜ彼がこんなに身体改造をするのかすごく納得がいった。


さきほど参考文献としてあげた本によると、ナバホ族に伝わる神話を読み解いていくと、人間と他の生物をあまり区別しておらず、連続性を持たせていることがわかるという。まあ、ナバホ族に伝わる神話が〜とかわざわざ言わなくても、日本にだって竹を切ったら人間が出てきましたとか、桃を切ったら人間が出てきましたとかいう話はたくさんあるので、神話とか民話ってのはどこのだってある程度そういうもんなのだろう。ロルフさんは「人間を越えたい」と言っていたけれど、古代の人々はたぶんほとんどが人間を越えた世界に生きていたし、ロルフさんがそういう欲望に目覚めたのはまったく不思議なことではない。


これは推測だけど、ロルフさんは身体改造をするたびに、自分の身体が人間らしきものから離れていくたびに、「癒されて」いたはずだ。ボディサスペンションで、お尻にフックを刺してぶら下がるのも「癒し」である。スウェット・ロッジやサウナも「癒し」だ。セックス、風俗、マッサージも「癒し」である。人間を越えて他の生物や自然と繋がる、あるいは変性意識状態を経て他者と繋がる。


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こう書くと「当たり前じゃんか」という気がしてきたけど、ようは、自己と他者の境界が曖昧になると、人間はすごく癒されるのだと思う。


それくらい、私たち一人一人は孤独なのだ。