チェコ好きの日記

だいたい木曜日の22時に更新されるブログ

世界のルールを知らないままで/最近読んだ宗教に関するコミックエッセイのまとめ

最近というかここ半年くらいで、宗教に関するコミックエッセイを何冊か読んだのがたまったので現時点でのまとめ。この手のエッセイはまだまだあると思うのでまだまだ読むと思う。


今回扱うものは「宗教二世」の方のものばかりのだけど、手記ではなくコミックエッセイという形が多いのは、Twitterでバズって出版へみたいな流れが多いからなんだろうか……。

『カルト村で育ちました』『さよなら、カルト村』高田かや

カルト村で生まれました。

カルト村で生まれました。

さよなら、カルト村。 思春期から村を出るまで

さよなら、カルト村。 思春期から村を出るまで

両親ともに「ヤマギシ会」の信者で、幼少時代から「カルト村」……コミューンのような場所で集団生活を送っていた著者・高田かやさんのエッセイ。小学生時代の話がメインの『カルト村で育ちました』と、中高生以降そして脱会までを描いた『さよなら、カルト村』が上下巻のようになっている。どちらもとても興味深いのだけど、私は中高生以降の話のほうが好きだった。


なぜかというと、これはすべての子供がそうだと思うんだけど、小学生以下の子供は「世界のルール」がまだわからない。「世界のルール」は、言語化しにくいのだけど、理不尽なことが身に降りかかってきたときの、メンタル面・スキル面での対処の仕方みたいなものだ。自分自身の小学生時代を思い出してみてもそうだったな〜と思うのだけど、小学生以下のときって「世界のルール」がわからないから、起きた出来事をまるっと受け入れてしまう。スルーできない。だから、上巻は読んでいてキツく感じることも多くて、反対に下巻は1つ1つのエピソードが重くなく、救いがあった。高田さんが指導係のいうことを上手い具合にかわし、スルーしているから。


それからちょっとズレた感想になるのだけど、この『カルト村』の上下を読んでいるとき、なぜかノスタルジーを刺激された。私は宗教コミューンのような場に足を踏み入れたことはないのだけど、なんとなく、自分にも昔、こういうことがあったような気がしてならない。子供のときの辛さと大人になってからの辛さって別ジャンルだなと思う。子供のときの辛さは、「世界のルールを知らないキツさ」だ。大人になってからも辛いことはあるけど、子供のときの辛さに比べたら、私は全然マシ。これは個人差があると思うけど。


小学生のとき、生きるの辛かったな……と思った。宗教関係ないが。

『よく宗教勧誘に来る人の家に生まれた子の話』いしいさや

母親が「エホバの証人」の信者だったいしいさやさんのエッセイ。こちらは小学生から大学生までの話が1冊にまとまっているのだけど、やっぱり年齢が幼い頃のエピソードのほうがキツイ。


『カルト村』にもこの『よく宗教勧誘に来る〜』にも、中高生以降に自分の宗教への批判本や告発本を筆者が手にする場面がある。適切な表現かはわからないが、そのときの「やっぱり自分の違和感はまちがってなかった!」となるときの感じ、世界をおおっていたモヤが1つ晴れる感じ、何かに似ているなと思ったら『わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)』だった。この小説の「世界のルールがわからない感」すごい。

『カルト宗教信じてました。 「エホバの証人2世」の私が25年間の信仰を捨てた理由』たもさん

カルト宗教信じてました。 「エホバの証人2世」の私が25年間の信仰を捨てた理由

カルト宗教信じてました。 「エホバの証人2世」の私が25年間の信仰を捨てた理由

こちらも、母親が「エホバの証人」の信者だったという方のエッセイ。前出のいしいさんと少し異なるのは、母がどのようにして「エホバ」の信者になったのかが、軽くではあるが描かれていること。田舎からたった1人で嫁いできたお母さんは、子育ての相談をできる人もだれもいなくて、きっと孤独で寂しかったのだ。


今だったらどうか……なんてことをつい考えてしまう。今はインターネットがある。SNSで旧友と近況報告しあったりメッセージのやりとりもできるし、そもそもTwitterで新しい趣味の友達も無限に探せる。この「上京してから心を許せる人がだれもまわりにおらず宗教へ」パターンの人、ある時代までは相当数いたんじゃないかなと推測している*1んだけど、今はこういう人は減っているんじゃないだろうか。


その代わり、新しいタイプの孤独を抱えている人が宗教を必要としている気もするけれど。

『愛と呪い』ふみふみこ

愛と呪い 1 (BUNCH COMICS)

愛と呪い 1 (BUNCH COMICS)

最後に、これはエッセイではなくフィクションだけど、「半自伝的」とのことなので一応加えておく。第1話はネットで読める。両親がとある宗教の信者で、さらにそこに性的虐待を受けていた日常が重なる。舞台は「90年代」だ。

kuragebunch.com


私の90年代といえば、小学生だったので、時代の空気みたいなものの記憶があまりない。ただ、あとになって読んだこういったマンガやサブカル批評などのせいで、めちゃめちゃ陰鬱で暗い時代だった……というイメージがどうしても付きまとっている。しかし当時20代前半くらいだった人に話を聞くと、必ずしもそんなことはなくて、むしろ崩壊したとはいえバブルの名残が強く、時代がどんどんよくなっていく空気と、あっけらかんとした明るさがあったのだそうだ(これ、90年代前半の話なんだろうか。地下鉄サリン事件以降はまた別なのかも)。


タイトルの意味がまだよくわからないけれど、1巻なのでこれから徐々に明らかになっていくのかもしれない。続きを早く読みたいな〜と思う。「愛」は、「呪い」と紙一重だ。


とりあえず、今日はそんなところで……

*1:創価学会などがそういう人を勧誘していたという話をどこかで読んだのだけど、ソース忘れました