チェコ好きの日記

もしかしたら木曜日の22時に更新されるかもしれないブログ

2018年でいちばん嬉しかった「書く」ことについての話

こんばんは。2018年のブログ更新は今日が最後です。来年は1月3日から、また木曜日に更新する予定です。

1.

思い返すと、今年の初めは原因不明のもやもやに包まれていて、「もう書くことないんだよね」とか言っていたところから始まり、そこからなぜか「小説を書く」という謎ゴールに向けて突っ走ってしまった1年であった。私はコラムやエッセイを書くことを仕事の一部としているが、今のところ小説を書くと大赤字なので、こっちは全然仕事ではない。でも、今思うと、「仕事」じゃないことがきっとしたかったんだろうな。もちろん、コラムやエッセイを書いてお金をもらえることは身にあまる光栄であって、そっちもっと頑張ってから「仕事じゃないことがしたい」とか言えよって話ではあるんだが、それはともかく。

2.

ところで、私は天然の「煽り体質」である。人間関係がめちゃめちゃになるので普段はもちろんそんなことしないけど、いい感じに流れていた空気を乱すのが好きだし、テーブルをひっくり返してまとまりかけていた議論を白紙に戻すのが好きである。人を怒らせるのが好きだし、こちらが煽って相手がムキになってくると、アドレナリンがドバドバ出てしまう。夏頃に、とある文筆家さんにそのことを告白したら、「チェコ好きさんは、トリックスターだなあ」と言われてしまった。でも、そうなの。神話とかに出てくるトリックスターなキャラ、私めちゃくちゃ好きなの。「和やかなパーティーをみんなで楽しんでいるところに、突如赤ワインのボトルを柱に思いっきり叩きつけてブチ割る」を、本当にずっとやりたいと思っている。


aniram-czech.hatenablog.com

3.

一方で、「チェコさんは『赤ワインのボトルを柱に叩きつけてブチ割りたい』とか言ってるけど、AMの連載は優しいですよね」と言われたことは、今年いちばん嬉しかったかもしれない。AMは私の中ではっきりと書き方を変えているので、それに気が付いてくれた人がちらほらいてくれたことは、ありがたかった。


私は女性だけど、「女性だから女性の味方だ」なんてこれっぽっちも思っていない。もちろん男の味方でもない。男だろうと女だろうと、その他様々なジェンダーの人たちだろうと、くだらねえ奴はくだらねえからである。ただそれでもAMは、「女性のために」というか、「悩んでいる人のために」書こうと思った。理由は、まあこのご時世だからである。Me Tooから始まり、東京医科大の件があったりして、「女性が現代社会で生きること」について、公私ともにけっこう考えた1年でもあった。

4.

それはそうと、恋愛系の読み物で面白いものといえば「お悩み相談」は鉄板である。恋愛の悩みに限らず、私はお悩み相談は全般的に読んでて楽しいから好き。シリアスな悩みも回答者の人間力が試されるので面白いが、クソどうでもいいくだらない悩みも、「人間だなあ」という感じがして憎めない。


だけど「読み物として面白い」という枠をこえると、基本的に、相手の気持ちは相手にしかわからないので、いくら回答者の人間力が凄まじかろうと、第三者にわかるわけがない。占いやお悩み相談ではいくらなんでも限界がある。だからまあ、「聞きたいことは直接本人に聞け・言え」というのが、ぶっちゃけすべての人間関係のお悩みの身も蓋もない解決方法になる(と、私は思う)。


am-our.com


馬鹿野郎、直接は聞きにくいから他の人に聞いてるんじゃ、というご意見はごもっともだ。私も身に覚えがないわけではない。「あの人に言いたいことが言えない、聞けない」は人間にとって永遠に解決しない実に根深い問題であり、夏目漱石なんてそれだけで何作も小説を書いている。


aniram-czech.hatenablog.com


今年の2月頃に風邪で喉をやられて、1ヶ月近く咳が治らなかったことがあって、「咳 治す」とかで検索しまくっていたら、「喉をやられる人は、言いたいことが言えていない傾向がある」みたいなスピ系のサイトを見つけて、思わず憤慨した。言いたいことが100%言えてる人間なんて、いるわけないだろうが。また誰にでも当てはまるくだらねえこと書きやがってクソが、と私はその日中ずっと悪態をついていた。ちなみに咳は、ずっと言えなかったことをあの人に勇気を出して伝えたら治った……わけはもちろんなく、医者に行って薬をもらって飲んでたらケロッと治りました。西洋医学万歳!

5.

というわけで、喉がやられて辛い人は、ずっと言えなかったことをあの人に勇気を出して伝えても別に治らないと思うので、長引くようであれば医者に行こう。しかしそれはそうと、言いたいことはなかなか言えないからこそ、伝えられたときに価値があるんだよなとも思う。本人に直接言うのも難しいし、「言葉にするのが難しい」って場合もある。前者で悩む人は多いが、後者で悩む人の一部は、だからこそ、物語を紡ぐしかないのだろう。



小説は来年も発表するし、今もそれに向けて書いています。どこかで、みなさんの目に入る機会があれば。良いお年を。