「好きな映画を10本あげてくれ」といわれたらそのときどきで気分によって3〜4本入れ替わったりするのだけど、2019年1月時点だと私はこれらの映画が好きだ、と思うやつを10本まとめました。何のために? 自己満足のために……。なお、上位の作品は本当に好きなやつなのであまり気分によって入れ替わったりせず、下に行くほど次にまとめるときは消えていたりします。
一部視聴が難しい作品もあるのだけど、この1年でどの作品も1回ずつくらい見直せたらいいなと思っている。
1.『ノスタルジア』アンドレイ・タルコフスキー
私はこの地球上のすべての映画の中でこれがいちばん好きで、初めて観た18歳のときから不動の1位をキープし続けている。たぶんもう、生涯でこれを超える作品には出会えないんだろうな。すべてのシーンに既視感があって、「私の頭の中をこんなに知っている人がいるなんて、嘘だ」と最初は思いました。その後、この映画のロケ地をまわるためにイタリアのトスカーナ地方を旅行。その旅行をきっかけに海外によく行くようになり、会社辞めたりしているので、私の人生に多大な影響を及ぼしすぎである。
2.『庭園』ヤン・シュヴァンクマイエル
ヤン・シュヴァンクマイエル コンプリート・ボックス [DVD]
- 出版社/メーカー: コロムビアミュージックエンタテインメント
- 発売日: 2008/08/10
- メディア: DVD
- 購入: 6人 クリック: 278回
- この商品を含むブログ (35件) を見る
コンプリートBOXの値段を見たらクソみたいに高かった……。また日本でシュヴァンクマイエル人気が再熱して、いろいろな作品が視聴しやすくなるといいな。昨年引退を表明した彼の作品の中で私がいちばん好きなのは、実は『オテサーネク』でも『悦楽共犯者』でもなくこの『庭園』という15分程度の短編なのだった。ちなみにチェコ語のタイトルは『Zahrada』。
ネタバレになるから詳しくは語らないけど、全編を通してものすごく意地悪だなと思うし、ブラックユーモアと悪意に満ちている。虚無であり、絶望である。生きているのが嫌になる。人を食ったような映画である。
3.『世紀の光』アピチャッポン・ウィーラセタクン
アピチャッポンの映画はだいたい好きなのだけど、いちばん好きなのはこれ。ちょっとネタバレをしてしまうと、前半と後半で「くり返し」が起こる。自分が幽霊になってしまったような感じになって、すごく気持ち悪いので好き。
4.『世界』ジャ・ジャンクー
中国・北京にある"世界"を模した小さなテーマパークで働く主人公たち。パリの凱旋門もタージ・マハルもピラミッドもあるのに、どこにも行けない、ここから出られない。予告編にもあるけど、凱旋門から噴水がふぁ〜〜〜と出てくるところが綺麗すぎていつも鳥肌が立ってしまう。鬱屈としている感じや閉塞感が何ともいえない。
5.『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』若松孝二
山本直樹のマンガ『レッド』を昨年読んだのだけど、この映画を観たときと同じヒヤヒヤ感というか、「他人事じゃない感」があったな。現状が不満で、何かを変えたくて、でも地に足はついていなくて、ただ頭の中の理想だけが暴走していく。私もわりとそういうところがあるので、これらの作品に触れて「気を付けよう……」といつも思っています。
6.『神々のたそがれ』アレクセイ・ゲルマン
この映画、まず長い。3時間くらいある。3時間ずっと面白いか飽きないかといわれると、正直途中ちょっとウトウトしちゃうところもある。でも、ラストシーンが好きすぎてすべて吹っ飛ぶ。私たちはこういうところからやってきたし、いつかこういうところへ還っていくんじゃないかなあと思う。
7.『パラダイス・ナウ』ハニ・アブ・アサド
自爆テロに挑むパレスチナの若者が主人公。パレスチナという土地に生まれ、ムスリムとして生きるとはどういうことなのか、本当に考えさせられる。アサド監督の作品を人に勧めるなら恋愛モノの『オマールの壁』なんだけど、個人的に好きなのはこっち。
8.『アイズ・ワイド・シャット』スタンリー・キューブリック
- 発売日: 2013/11/26
- メディア: Prime Video
- この商品を含むブログを見る
今回まとめた中でいちばん視聴しやすい作品はこれ、なぜならAmazonプライムビデオにあるから。他のはDVDを買うとかそもそもDVDが入手しづらいとかなのだけど、これだけはいつでも観られます! 私はキューブリックの中でこれがいちばん好き。というか『時計じかけのオレンジ』別に全然好きじゃないし、なんなら『2001年宇宙の旅』についてはどこがいいのかよくわかっていません。
前もこのブログのどこかで書いたけど、この映画の乱交パーティーのシーンが美しくてエロいのでめっちゃ好き!
9.『イレイザー・ヘッド』デヴィッド・リンチ
去年アップリンクで観て、好きが再熱した作品。すごく簡単に説明すると、ガールフレンドを妊娠させちゃったので彼女とその家族に結婚を迫られ、「俺の人生、終わった」となっている映画。つまり最低である。でもなんかすごく好きなんだよな。きっと私がガキだからだろう。主人公の消しゴム頭くんは、ちょっとホールデン・コールフィールドみがある。
10.『去年マリエンバードで』アラン・レネ
脚本はアラン・ロブ=グリエ。豪華な館で出会った男が、女に「去年マリエンバードで会いましたよね」という。だけど、女は男に会った覚えがない。軽率なナンパだろうか。だけど、「去年会いましたよね」「私たちは愛し合った」とくり返しいわれるたび、それらしい根拠を見つけるたび、女は自分の記憶に確信が持てなくなっていく……という話。こういう話がもともとすごく好きなのと、映像は白黒ながら構図がとても美しくてうっとりする。
ーーーーーーーーーーーーーーー
2019年最初に映画館で観たのは特集上映をやってたアラン・ロブ=グリエ 『囚われの美女』。
— チェコ好き (@aniram_czech) 2019年1月10日
「街を歩いている人間の半分は、死者だ」とセリフにある通り、登場人物の誰が生きてて誰が死んでるのかよくわからない。
死者と生者がともに存在している感じ、私はとても好きhttps://t.co/qYsZrZJCdb
今年は、2018年より少し多めに映画を観られるといいな。
とりあえず、いちばん観やすいのはプライムビデオに入ってる『アイズ・ワイド・シャット』なので、みんな乱交パーティーのシーンを観て〜!