チェコ好きの日記

もしかしたら木曜日の22時に更新されるかもしれないブログ

「あの頃は本当に楽しかった」と語るパタゴニア原住民のこと(前編)

前回、ブエノスアイレスキリスト教テーマパーク「ティエラ・サンタ」について書いた。今回は南へ下り、アルゼンチン・チリのパタゴニアという地方について。なお南半球なので、当然ながら南下するほど気温は下がっていく。


私たちの祖先は、約10万年前にアフリカ大陸で誕生したホモ・サピエンスだということになっている。ホモ・サピエンスはアフリカ大陸からユーラシア大陸へと移り住み、そこからベーリング海峡をこえて、北アメリカ大陸に到達した。そしてそのあとも、アメリカ大陸をどんどん南下していった。つまり、南米大陸の最南部であるパタゴニアは、「人類が最後に到達した場所」なのだ……ということになっている。現在わかっている限りでは。



このパタゴニア、現在はアルゼンチンに属する地域とチリに属する地域があるのだけど、19世紀中頃までは、国境線がぐちゃぐちゃだったらしい。1856年頃から「ちゃんとしましょう」と話し始め、1881年に両国の合意がなされた。


そんなくらいなので、おそらく多くの旅行者はアルゼンチンとチリの間を、ジグザグと行ったり来たりしながら進むことになるだろう。その度にいちいちバスを降りて国境でスタンプを押してもらわないといけないので、これがけっこうめんどくさい。ちなみに長距離バスで移動している間、窓の外の景色は……なーんもない。まじで、なーんもなく、地平線のみがある……。


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エルカラファテとプエルト・ナタレス


まず、ブエノスアイレスから飛行機で2時間半ほど行った先にあるのがエルカラファテ。ペリト・モレノ氷河を見に行く際の拠点となる町なのだけど、野犬が多い。人間で怖い人はいなかったが、まじで、野犬が怖い。食べ物を持って歩くと匂いを嗅ぎつけてくるのか近寄ってきて吠えられます。


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パタゴニアにある氷河は、南極、そしてグリーンランドについで世界で3番目に大きいのだそうだ。船に乗って近くで見たり展望台にのぼって遠くから見たりできるのだけど、見えている部分はほんのわずかで、その約7倍が水中にあるという。話で聞いてもでかいが実際に見るととにかくでかい。あまりにもでかいので脳がバグるくらいでかい。つまりすごくでかい。しかも、温暖化の影響で毎年小さくなってるんですぅ〜とか言われるのかと思いきや、なんと、毎年でかくなり続けているという……。


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そして、エルカラファテからバスで7〜8時間行くと着くのがチリのプエルト・ナタレス。ここからパイネ国立公園に山を見に行くのだけど、この地域の原住民テウェルチェ族は、パイネの山々を「神の山」と崇めていたのだとか。私もまったく同じ「神様が棲んでそう」という感想を抱いたので、人類、そういう感覚は普遍的なんだなーと思ったりした。



そしてフエゴ島、ウシュアイア

そして世界最南端にある都市が、アルゼンチンのウシュアイアである。ここにはかつて「セルクナム」と呼ばれる人々が住んでいたが、その最後の生き残りの1人であったビルヒニア・コニンキ氏が、1999年にこの世を去っている。孤独とアルコール中毒に悩む日々の中で、死因は心臓発作だったそうだ。

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上の写真は前述したチリのプエルト・ナタレスの観光案内所? を撮ったものだけど、「セルクナム」と呼ばれる人々は、「ハイン」という儀式を行なう際に、写真のような珍妙なペインティングを体に施した。


ハイン 地の果ての祭典: 南米フエゴ諸島先住民セルクナムの生と死

ハイン 地の果ての祭典: 南米フエゴ諸島先住民セルクナムの生と死


「ハイン」はどのような儀式だったのか。珍妙なペインティングを体に施すのは主に男たちで、彼らはこれによって「精霊」に扮装する。そして、クロケテンと呼ばれる成人候補者たちが、この精霊たちに拷問を受ける。それが、男性が成人になるための通過儀礼だったらしい。


面白いのは、これが人間の体にボディペインティングを施したものであることは一目瞭然なのだけど、その儀式を見守る女性たちは、そのことについて「知らないふり」をし続けていたらしい。そして男性たちは、女性たちは本当に精霊の正体を知らないと思い込んでいた。


と、ここで時間切れになってしまったので、続きは来週にします。かつてない中途半端ブログだ!