チェコ好きの日記

もしかしたら木曜日の22時に更新されるかもしれないブログ

「あの頃は本当に楽しかった」と語るパタゴニア原住民のこと(後編)

前編はこちら。アルゼンチン・チリのパタゴニア地方について書いている途中である。aniram-czech.hatenablog.com 「一人ぼっちで闇の中に放り出されたとき、大切なのは焦らずに、まず心に大きな白地図を描くこと。そこに知識をひとつずつ当てはめていく。そ…

「わたしのネット」に寄稿しました/現代における皮肉と冷笑について

「わたしのネット」さんに寄稿した記事が公開されました。最近SNSでよく見る写真の傾向が変わってきたな……というようなことを書いていて、以前このブログで公開した「新海誠化していくこの世界 - チェコ好きの日記」の続編だと思ってもらえると幸いです。記…

「あの頃は本当に楽しかった」と語るパタゴニア原住民のこと(前編)

前回、ブエノスアイレスのキリスト教テーマパーク「ティエラ・サンタ」について書いた。今回は南へ下り、アルゼンチン・チリのパタゴニアという地方について。なお南半球なので、当然ながら南下するほど気温は下がっていく。 私たちの祖先は、約10万年前にア…

愛が暴走するカトリック系テーマパーク「ティエラ・サンタ」in ブエノスアイレス

4月にアルゼンチンとチリに行っていたことはすでに書いているけれど、今回はその中でも、ブエノスアイレスにあるカトリック系テーマパーク(という名称はたぶん存在しないが、そうとしか呼びようがないので)「ティエラ・サンタ」について個人的メモを兼ねて…

アルゼンチン・チリの旅情報 南米初心者におすすめかもしれない?

4月、アルゼンチンとチリを旅行していました。GW前に2週間以上のお休みをもらってしまったので、世間と入れ違いのように、このGWはほぼ毎日働いております。世間とズレると多少の孤独感はあるけど、まあでも、このほうがいいなと改めて。 南米は治安が悪いイ…

世界の果てには何があると思う?

Netflixでやっている『ビハインド・ザ・カーブ』を、見よう見ようと思っているうちに出発の日となってしまい、結局この番組を、旅行中にちまちまと見ている。『ビハインド・ザ・カーブ』は、「地球は実は球体ではなく、平面なのではないか?」と考える人たち…

Dybe!に寄稿しました/お祝いリソースは無限ではない

Dybe!に寄稿しました。 誰かのことがうらやましくて悲しくなったら、一度そのことを忘れてみて|チェコ好き | Dybe! 本文で「人の幸せを上手く喜べない」ことについて書いたのだけど、もちろん嫉妬の場合もあるけど、私の場合は単に共感力が低いってのもあり…

AMの連載でとり上げた本のまとめ(No.11〜20)おすすめ優先度付き

AMでやっている連載がたまってきたので、紹介した本のまとめ。第1回から10回までは前に書いたので、今回は11〜20回分の連載をまとめます。 aniram-czech.hatenablog.com ところで、私がAMで取り上げている本は、そのほとんどが「新規で読んだ本」です。昔か…

DRESSに寄稿しました/百合短編集イベントの御礼「女を楽しんで生きる」とは

DRESSに寄稿しました DRESSで「平成の終わりに捨てたいもの」をテーマにエッセイを寄稿しました。なお、サムネで風にそよいでいるジャケットはイメージ画像ではなく、編集部で撮っていただいたわたくしの私物です(ちょっとシワがよってますね、恥ずかし〜〜…

アルゼンチンタンゴの体験レッスンに行った

日記です。 2019.3.23 トペに憧れて トペといったら南米、南米といったらトペ。「こいつは何を言ってるんだ」と思われるかもしれないが、私にとってはとにかく、長らくそうだった。 トペとは何か。私は、トペなるものに書物の中で2回ほど出くわしたことがあ…

【3/29夜】女が語る魅力的な女の子 “百合短編集” 出版記念イベントをやります

百合短編集『Le cinq "S"』が先月のコミティアで無事に頒布できたことを記念して、創作メルティングポッドの東京メンバー(私、よぴこさん、オサナイさん)で、バーでしゃべるイベントをやります。詳細は以下。 note.mu 事前予約などは特にいらないので、当…

人に優しくすること

1. 最近になって、自分の書いたものを「優しい」と評価されることが増えた。バカだのアホだのサイコパスだの言われていた頃に比べると、す、すごい進歩だ。 ただ、では私はバカでアホでサイコパスな人間から、人に優しくできる素晴らしい人間に成長を遂げた…

階級社会とスノッブ:『バーニング』と『納屋を焼く』

イ・チャンドンが村上春樹の『納屋を焼く』を映画化した『バーニング』を観てきたので、感想メモ。 ちなみにアップリンク吉祥寺で観たのですが、「伊良コーラ」なるクラフトコーラも美味しかったし、「ミニシアター・コンプレックス」というコンセプトも、ミ…

「tayorini」に寄稿しました/雑誌を久しぶりに大量に読んだけど

「tayorini」に寄稿しました 介護等に関するウェブメディア「tayorini」に、認知症についてのコラムを寄稿しました。私と「介護」「認知症」はなかなか結びつきにくいと思いますが、昨年ちょっとだけ、認知症についてブログに書いたことがあった。 kaigo.hom…

「わたしのネット」に寄稿しました/コミティア御礼

「わたしのネット」に寄稿しました 「わたしのネット」さんに寄稿した記事が公開になりました。いただいたお題が「インターネット」だったので、最近のSNSで、モヤモヤ〜っとしていたことを書いた。 flets.hikakunet.jp ちなみに冒頭で取り上げた小説は、ウ…

2/17(日)コミティア【て50b】で出展します。テーマは「百合」!

もうちょっと前に告知すればよかったかな……? と後悔しつつ、今週末ですがコミティアで出展します。メンバーは、昨年文学フリマに出た「創作メルティングポッド」の5人。私以外は、立花実咲さん、あとーすさん、ミキオサナイさん、御旅屋琥珀さんです。 告知…

トントン拍子に進むことは幸先がいい

昨年の秋、ものすごく落ち込むことがあって、「ちくしょう、もう全部どうでもいいや。全部どうでもいいから、私が今行ける場所でもっとも遠いところまで行こう……」と思い立ち、決心したのがアルゼンチンへの旅だった。今ここが「日本・東京」だとすると、も…

お気に入りの映画音楽でプレイリスト作った

Spotifyで私がたまに通勤電車の中とかで聴いているお気に入りの映画音楽のリストを作りました。でもIT企業に出入りしているわりにはクソほど情弱なのでちゃんと公開できているのかわかりません。「見られない!」とかあったら教えてください。あとめちゃ本名…

「だんらん日和」「DIGITALIST」「りっすん」「AM」に寄稿しました

昨年末にせっせせっせと書いていた記事が、最近まとめて公開になりました。どれも自分的にはとても気に入っているやつなので、ぜひご一読いただけると嬉しいです。 1.だんらん日和 www.danlan.jp私にしては珍しく(?)あまり語ることのない家族(特に父)に…

私小説とSNSで「どこまで」書くか

年末年始に『死の棘』を読んでいたのだけど、どちらかというとこの私小説の登場人物である島尾ミホに焦点を当てた『狂うひと』のほうが読みたかった。『死の棘』は『狂うひと』を読むにあたっての、いってみれば前座である。(ただ前座といっても600ページ以…

個人的なオールタイムベスト10の映画

「好きな映画を10本あげてくれ」といわれたらそのときどきで気分によって3〜4本入れ替わったりするのだけど、2019年1月時点だと私はこれらの映画が好きだ、と思うやつを10本まとめました。何のために? 自己満足のために……。なお、上位の作品は本当に好きな…

2019年の「におい」について。あるいは、ボルヘス『伝奇集』

2019年に読んだ最初の本は、J.L.ボルヘスの『伝奇集』だった。南米の文学といったら私の中ではガルシア=マルケスかマリオ・バルガス・リョサだけど、実は他はそんなに読んだことがない。「シュルレアリスムより〈ヤバイ〉のがマジックリアリズムである」と…

2018年でいちばん嬉しかった「書く」ことについての話

こんばんは。2018年のブログ更新は今日が最後です。来年は1月3日から、また木曜日に更新する予定です。 1. 思い返すと、今年の初めは原因不明のもやもやに包まれていて、「もう書くことないんだよね」とか言っていたところから始まり、そこからなぜか「小説…

2018年に読んで、面白かった本ベスト10

毎年恒例のアレ。なお、年間のまとめなので一部、2018年上半期編と重複しております。 aniram-czech.hatenablog.com 2017年編はこちら。 aniram-czech.hatenablog.com 10位『水木しげるのラバウル戦記』水木しげる 水木しげるのラバウル戦記 (ちくま文庫)作…

インプットの季節

文フリも終わったし、公私ともに落ち着いたし、寒いし、来年の春に旅する場所も決まったしで、本を大量に買い込んでいる。来年のはじめに発表する予定の短編小説の準備などもしているのだけど、それはそれとして、しばらくは落ち着いて映画や本からインプッ…

【感想】『ありがとうもごめんなさいもいらない森の民と暮らして人類学者が考えたこと』

これは前々から思っていたことだけど、実は「カルチャーショック」よりも、「逆カルチャーショック」のほうが、3倍くらいショッキングだったりしませんか? 自分が他の文化圏を旅して異なる文化に触れたそのときよりも、異なる文化に数週間浸かってみて自国…

文学フリマという本気度100%の遊び

25日、参加した文学フリマを終えました。来てくださった方々、本当にありがとうございました。 20部刷ってすべて完売したのですが、先日書いたとおり、絶対に売れ残ると思っていたし、むしろ1冊も売れない覚悟すらしていました……。 ところでこの20冊、1冊500…

ハズレのくじを引く

僕がまだ年若く、心に傷を負いやすかったころ、父親がひとつ忠告を与えてくれた。その言葉について僕は、ことあるごとに考えをめぐらせてきた。「誰かのことを批判したくなったときは、こう考えるようにするんだよ」と父は言った。「世間のすべての人が、お…

【お知らせ】11/25 文学フリマ東京会場 ブースは オ-35〜36 です。

タイトルの通りなのですが、11/25(日)の文学フリマ東京会場で、創作小説を出品します。「行く!」という人がいたら、ぜひオ-35〜36のブースにお立ち寄りくださいませ……。note.mu ちなみに部数は20部作ったんですが、いかんせん弱気なので、「絶対刷りすぎ…

ジョン・レノンを殺した男

日々生活を送ったり、いろいろな映画や文学作品に触れていると、「あ、私、まあまあ頭やばいな」と思う瞬間がある。この文脈における「やばい」にはポジティブな意味は1ミリも含まれていなくて、ネガティブ100%の、「法に触れる罪を犯しちゃいそう」という意…