もし、明日で人生がおわってしまうとしたら、何をしますか?
私は、1年くらい猶予があればもちろんまた別に考えますが、もし、明日で人生がおわってしまうとしたら、
アンドレイ・タルコフスキーの『ノスタルジア』を見ます。『ノスタルジア』には、この世界の美しさが濃縮されている。そう、思うからです。
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ヨーロッパでは、そこらじゅうに糸杉が植えられています。まっすぐに刈られたものから、手入れされずにあっちこちにのびたものまで、さまざま。
さて、フィレンツェを出発後、われわれはシエナを目指しました。しかし、そこで、この旅の最も重要な目的地である、サン・ガルガーノ修道院に、早くもたどり着いてしまいます。
ガルガーノは、1185年に聖人として認められました。サン・ガルガーノ修道院は、現在はご覧のとおり廃墟となっていますが、
廃墟となってもなお、厳かな雰囲気がただよっており、息を呑んで、眼に見えない何かにひざまずいてしまいます。
かつて、何人もの人々が、ここで祈りをささげていたんでしょう。
サン・ガルガーノ修道院の廃墟は、『ノスタルジア』のラストシーンに登場します。
Tarkovsky, Nostalghia (1983)
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サン・ガルガーノ修道院にて、不思議な雰囲気にのみこまれ頭がフラフラしてきたところで、
次の目的地、シエナに到着。街の中央には、カンポ広場が広がっています。
カンポ広場から少し歩くと、シエナのドゥオーモ。イタリアン・ゴシックの建築です。
中に入ると、あまりの荘厳さに言葉を失います。
気が狂ってるとしか思えない美しさ。
圧倒され、ボ~っとした頭で、プッブリコ宮(市庁舎)をのぼります。
ここから見るシエナの街並み、トスカーナの風景は、中世そのもの。赤いレンガの色で、街が染まっています。
日本の街は日本の街で、サイケデリックでクールだとも思うのですが、
わけのわからない建造物を建てる前に、もう少し情緒というものを重んじていただきたい……
まぁ、東京の場合は空襲で焼けちゃったから、仕方ないんでしょうか。
とにかく、シエナに来ると、「美しい色彩」とはこういうものだ、というのがわかります。
さぁ次は、聖フランチェスコの街、アッシジです。続く。
旅をすることで人生は変わる アッシジ編 - チェコ好きの日記
第1回目のエントリはこちら
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