前回は、イギリスの代表料理(?)フィッシュ・アンド・チップスや、エールビールについてのエントリを書きました。
ロンドンひとり旅 イギリスの料理は本当にまずいのか? - チェコ好きの日記
さて、イギリスといえばもう1つ、「食」と聞いて忘れてはいけないものがありますよね。
それはそう……紅茶です。
日本でもおなじみの紅茶メーカーである「リプトン」や「トワイニング」も、発祥の地はイギリスです。
イギリスで紅茶を飲まずしては、日本に帰れない!
そして、どうせ紅茶を飲むならば、あの3段重ねのセレブリティ―なお皿にスコーンやマカロンをのせて一緒にいただく、「アフタヌーン・ティー」を楽しんでみたいと思うのが人間ではないですか。(そうか……?)
というわけで、行ってみたわけです。ロンドンの超高級百貨店、ハロッズに!
目指すは、id:hachiyuuさんのブログのなかで、以前紹介されていたティールーム。ここ、ブログを見て、ずっと「行ってみたい!」と目を付けていた場所なのです。
アフタヌーン・ティー(ハロッズ) - 八雲の国から末広がり
しかし、その昔、ドレスコードがあったとかいわれているこの百貨店。私のような汚い旅行者が(いや、そんなに汚くないけど)平然と入っていいものなのかと懸念しておりましたが、杞憂でした。ガイドブックによると、穴のあいたジーンズはNGらしいですが、私はスキニージーンズにスニーカーで、余裕で入ることができまいした。お客さんの雰囲気も、見たところ日本の百貨店とちがいはありません。
きらびやかな店内を、ティールームを探しながら、うろうろする私。しかし店のなかは広く、適当なフロアマップ的なものも見当たりません。
自力で上から下までティールームを探しまわったもののなかなか見つからず、ここまできてアフタヌーン・ティー断念か!? とあきらめかけたそのとき……
ようやく見つけました。大きなシャンデリアがきらきら輝く、ハロッズのティールームを!
勇気をふり絞ってなかに入り、どぎまぎしながら席につく私。
おもむろにメニューを開いて注文を考えるフリをしつつも、もう頼むものは決まっています。あの、3段重ねのやつ。3段重ねのやつです。
ケーキとスコーンと、クリームの種類を決めてキョロキョロしていると、店員さんらしきエレガントな老紳士が、音を立てずにすっと現れ、注文を聞いてくれました。
(※以下の会話は一応すべて英語です、もちろん)
私「(メニューを見ながら)これと、このクリームと、この紅茶と……」
老紳士「ほっほっほ。“アフタヌーン・ティー”は、このケーキもスコーンもクリームも、すべてセットなのですよ、マダム。紅茶を1種類だけお選び下さい」
私「あれー? そうなんですか。じゃあ(1番上に書いてあった)この紅茶で……」
老紳士「かしこまりました。ノープロブレムです、マダム。ほっほっほ!」
にこやかな笑顔で、メニューをパタンとしめ、去っていく老紳士。
危うく惚れるところでした。
生きてきて26年、かつて私に、こんなにエレガントに注文を聞いてくれた人がいただろうか?
そうだ、ここは紳士の国、英国だった……と店員さんの対応に感動しているうちに、
来ました。「3段重ねのやつ」。
美味しそう! かわいい!
が、見た目はとってもスイートなこいつですが、イギリスに来て数日経ち、何となくこの国の要領を得てきた私には、わかっていました。「こいつは、戦略的に食べないと頂上にたどり着かない」と。
アフタヌーン・ティーは、一番下のサンドイッチのお皿から始め、順に上段にあがって食べていきます。しかし、この大量のサンドイッチ、もっちもちスコーン、あまあまケーキを1人ですべて食べきることは、日本人女性にはほぼ不可能です。
なので、サンドイッチを食べつつも、それを適度なところで切り上げ、上段に向かわなければならない。この「適度」をどう見極めるか、それこそが戦略になってきます。
(こんなところで真剣に頭を使う私)
計算に計算を重ね、見事に難所を切り抜け、ついにゴールへ!
なかなか手強かった……
で、肝心の「味」ですが、これはもう、本当に美味しかったです。
「美味しい=完食」ではないので、食べきることはできませんでしたが、スコーンと紅茶の概念が、軽く覆りました。
スコーンはもっちもちで、クリームやジャムと一緒に、口のなかで濃厚に広がります。そして写真では陰に隠れて脇役的な存在になっている紅茶ですが、ハロッズの紅茶は、砂糖を入れていないのに、フルーティーで甘かった。
私は実はかなりの甘党でして、コーヒーも紅茶も砂糖をドブドブ入れて飲むのが好きなのですが(糖尿になるよっていわないで)、ここの紅茶は、砂糖がなくても、香りが豊かで、味が単調でないんですね。ミルクと砂糖も一緒についてきましたが、そんなものは必要なかったです。本当に、美味しかった!
そしてここハロッズは、もう1つ、「食」とは関係ないですが、意外なことに気が付いた場所でもあったのです。
イギリス旅行の最初のほうのエントリに、空港の入国審査で、黒いベールで全身を覆ったアラブ系の女性がたくさんいた、というようなことを書きました。
ロンドンひとり旅 イギリス旅行のキホン! - チェコ好きの日記
ところが、このアラブ系女性、ひとたび空港を出ると、パタッといなくなってしまったんですね。街中にもいないし、ストーンヘンジやバースにも、オックスフォードにも、美術館にもいない。
彼女たちは、いったいどこに消えてしまったのか?
ということが旅行中ずっと疑問だったのですが、いたのです、たくさん。
ここ、ハロッズに!
そうか、あの人たちは市内観光なんて貧乏くさいことはせず、高級百貨店でひたすらブランド物を買っていたのか! と、思わず膝を打った瞬間でした。
帰国後、ちょっと調べてみたのですが、現在のハロッズはカタール政府系の投資ファンドに約2000億円で買収されてしまっているそうです。アラブ系女性がおしよせていた理由も、これで納得がいきますね。オイルマネー、恐るべし。世界経済が垣間見えた瞬間でした……。
総論
ハロッズ以外にも、ロンドンで紅茶やケーキ、スコーンを楽しめるお店は、たくさんあります。
ずら~っとクッキーやケーキが並べられたナショナル・ギャラリーのカフェなんて、いるだけでわくわくします。
料理はいまいちなイギリスですが、
紅茶やスコーンやケーキは本当に美味しい!
ただし、胃にずっしりと重く、ダメージを喰らわせるところは、フィッシュ・アンド・チップスと同じなので、
いくら見た目がかわいくても油断してはいけません。
ハロッズで見事頂上にたどり着き、「勝った……!」と勝利を確信してお会計を済ませた10分後、やっぱりお腹が痛くなり、胃の重さに気持ち悪くなり、青ざめた顔でしばらく店内を徘徊していたのはそう、私です。
みなさまも、ロンドンを訪れる際はくれぐれもご注意を。
次回はいよいよ、ロンドン最終日!
ロンドンひとり旅 テート・モダンへ、そして日本へ - チェコ好きの日記