チェコ好きの日記

もしかしたら木曜日の22時に更新されるかもしれないブログ

ビジネスやマスコミではなく、アートが新しい町を作る

昨年の夏、私はロンドンに行ったのですが、最終日に訪れたせいか、テート・モダンは強く印象に残っています。

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テート・モダンは、ロンドンのテムズ河を越えたところにある、現代アートを中心にコレクションしている美術館です。でも、上記の写真を見るとわかる通り、一見美術館には見えません。それもそのはず、テート・モダンはもともと「パンクサイド発電所」という建物だったものを、改築したものらしいのです。

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テート・モダンは正面に立つとセント・ポール大聖堂が見えて、風通りも良くて気持ちのいいエリアなんですが、何でもこの辺りは長年、工場や倉庫が立ち並ぶロンドンの裏方的な存在だったといいます。治安もあまりよろしくなかったそうですが、テート・モダンの周辺は、以前に比べて改善されたと聞きます。

意味がわからなくても人を集める現代アート

日本だと直島とかがそれにあたるのかもしれませんが、さびれた工場街や島などに美術作品を持ってくることで、町が活性化し人が集まってきた、なんて話はよく聞きます。しかし、キャンプ場を持ってきたり、新しい工場を作って再生しようとしたケースでは、一時的に人は集まるものの、景気の変動でまたすぐにもとの状態にもどってしまったりなんかするそうで、そのあたりは面白いなーと思います*1

また、おそらく「美術館」ではなく「美術作品」というところがポイントで、ハコではなくていかに面白い作品を持ってくるか、というところがキモになっている気がします。というか、ハコ自体はその土地にもともとあったものを改装したりなんかするほうが、新しい美術館を作るよりも面白いでしょう。個人的なシュミですが、私は工場や倉庫や古い民家を改装した建物ってすごく好きなんですよね。一度人が去った場所が、もう一度人の手によって再生されるという生命力溢れるストーリーを、そこに見ることができるからかもしれません。あとはやっぱり新しいものを1から作るよりも、長い年月をその土地と一緒に過ごしてきた建物のほうが、その土地の空気をよく吸って、人を惹き付けるものになると思います。

テート・モダンも直島もそうですが、現代アートと観光というのはとても相性がいいのでしょう。現代アートも旅も“非日常”を体験するものなので、普段の町中や行き慣れた美術館では「?」と思ってしまうような作品でも、旅先で見るとけっこうすんなり面白がることができます。「何コレ?」と首を傾げてしまったり、見た瞬間に思わず笑っちゃったり、人間てやっぱりそういうのが好きな生き物なんだと思います。

最近、プロブロガーのイケダハヤトさんの高知移住などがあって、地方へ生活拠点を移すことが話題になっているようです。おそらくアートも一緒で、東京では見慣れたアートも、地方へ行くと新たな価値が生まれたりするのかもしれません。私はいわゆる「ファスト風土」みたいな風景ってすごく嫌いなので、直島みたいな成功例が地方にもっと増えればいいのにな、と思っています。ショッピングモールを改装した美術館とかあったら面白そうじゃないですか。

夏の予定(余談)

私がこの夏に訪れる予定の場所にも、中心街を外れたベッドタウンが含まれています。中心街の地価が高いので若手のクリエイターやアーティストが移り住むようになったのが発展の始まり? のようで、もともとの工場跡などがどんなふうに改装されているのか、町を見るのが楽しみです。近年は逆に注目が高まりすぎて、家賃がぐんぐん急上昇しているみたいですが。

面白いものと美味しいものは正義です。気が付いたら7月ですっかり夏らしくなっているので、そうめんでも食べようと思います。

ちょっとまとまりがないですが、今回はこのへんで!

*1:アートで町おこしをしようとして失敗した例ってあるんでしょうか。あったら1つのケーススタディとして知りたいです。