チェコ好きの日記

もしかしたら木曜日の22時に更新されるかもしれないブログ

なんでも検索できる時代だから、検索できないものの価値が高まるのだろう。と「灯台もと暮らし」のイベントで考えた

3月1日(日)に、上野にある「いいオフィス」で開催された「灯台もと暮らし」のイベントに参加してきてみましたよ。

イベント「はじめまして、『灯台もと暮らし』です〜旅と味噌から考えるこれからの暮らし〜」 | 隠居系男子

「灯台もと暮らし」とは、株式会社Waseiさんが運営している、「もう一度暮らしを見つめ直すためのきっかけが載っているかもしれないメディア」。サイトを訪れてみると、なんだかウェブメディアっぽくない、素朴で変わったデザインをしているなあという印象を受けます。

灯台もと暮らし[もとくら]|これからの暮らしを考える情報ウェブメディア

いったいどんな話が聞けたのかということで、今回はこちらのイベントの感想を書いていこうかと思います。

なんでも検索できる時代だから、検索できないものの価値が高まるのだろう。

まず、当日のタイムスケジュールは以下のようなかんじだったのですが、とりあえず味噌作りは楽しかったですよね。

14:30〜14:40 主催挨拶・企画趣旨説明
14:40〜15:00 はじめまして「灯台もと暮らし」です。
15:00〜15:20 僕たちがみた「徳島県神山町
15:20〜15:50 小倉ヒラク「発酵・手前みその魅力」トーク
15:50〜16:30 味噌作りワークショップ
16:30〜17:30 懇親会

しかし、私がいちばん面白かったなーと思ったのは、発酵デザイナーの小倉ヒラクさん、Wasei代表の鳥井弘文さん、「灯台もと暮らし」編集長の佐野知美さんによるトークでした。

先に書いたように、「灯台もと暮らし」はちょっと変わったデザインをしていて、ウェブメディアにしては広告とかないし、すっきりし過ぎているというかあっさりし過ぎているというか、あんまり「ウェブを見ている」っていうかんじがしないサイトですね。どちらかというと、「紙の雑誌」を読んでいるときの感覚に近いと思います。このあたりは実際、とても意識して作られているようで、検索流入とかをそんなに気にしてないんですよっていうお話が印象に残りました。

個人ブログとウェブメディアではまた全然ちがうだろうという話ではあるのですが、私はあと数ヶ月で、この「(チェコ好き)の日記」という偏執狂的なブログを始めて3年になります。それで、いわゆる「ブロガー」みたいな方々に比べると、もともとそんなにPV(ページビュー)とかにこだわらないでやっていた面はあるのですが、それでもやっぱり気にするところはしていたと思うんですね。

でも、昨年の秋頃から、PV的な意味ではもうこのブログの天井が見えちゃったなーと、かんじ始めていたんですよね。私はライフハックとか書けないし、流行にも疎いし、パッと目を引くようなキャッチーなことも書けないので、記事がどばっと拡散されたり検索がどかんと来たりすることってあんまりないわけです。

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※世界でいちばん簡単にできるという噂の手作り味噌キット

だけど、PVが伸びないからブログに飽きるとかつまらなくなっちゃったとかいうことは全然なくて、むしろブログがもっと楽しくなったのも昨年の秋頃だったりします。なんか、PVを追うのとはまた別の楽しみ方を見つけられたなという気がしていて、それが何かというとあんまり上手く言語化できない上にちょっと照れくさいので嫌なんですけど、そういう意味では「灯台もと暮らし」と同じ方向を見ることができているのかな、と僭越ながらかんじました。なんというか、「役に立つ情報」を探しにこのブログに来ているわけじゃなくて(私のブログに役に立つ情報なんかないですからね)、「私の話」を聞きにこのブログに来てくれているんだろうなっていうのを、読んでくれている方に私はかんじているんですね。そして、それはとってもとっても嬉しいことです。

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※麹。これと煮た大豆をつぶしたやつを混ぜる

今の時代って本当に便利で、必要な情報ってほとんどインターネットで無料で調べられちゃうわけですけども、本当に面白いもの、心に響くようなものってどこにあるかというと、やっぱりそこはお金を払わないといけないところにあったり、リアルの場にあったり、ネット上であっても「検索」で引っかかるようなものではないんですよね。ずーっと1年以上購読している個人ブログだったり、旅先で見つけたヘンなものだったり、そういうところに「本当に面白いもの」があるような気が、私はします。インターネットの検索機能は、そこにたどり着く手助けはしてくれるけど、最後はやっぱり自分の手と足で森をかき分けていかないと、神殿には到達できない印象がありますよね。

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※麹と大豆を混ぜたところ。こういう作業苦手ですごく雑なんですけどこれで大丈夫なんでしょうか。1ヶ月ほど本棚とかに放置しておくと味噌ができるそうです

なんでそういうことが起こるのかというと、別にみんな出し惜しみしているわけではなくて、やっぱり「公開できない」ことって一定数あるんですよ。それは単に炎上を怖れているとかではなくて、上手く言語化できないだとか、「文脈」を共有できていない人にそのまま公開すると大きな誤解を招く危険があるとか、すごく抽象的なものだったりとか。あとそもそも言語でない、写真とかは検索できないですね。「犬」とか検索すれば「犬の写真」は出てくるけど、そういうことじゃなくて、「なんかいいなあ」と思えるような雰囲気のある写真って検索のしようがないから、ずっと1人の人を追い続けたりだとか、だれかの情報をたどっていくとか、そういう方法でないと出会えないですよね。

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※「いいオフィス」

というわけで、とってもイベントレポートっぽくないイベントレポートを書いてしまったのですけど、一言でいうとタイトルのとおりで、「なんでも検索できる時代だから、検索できないものの価値が高まる」し、そもそも検索窓に特定のキーワードを入れて情報を探すというその行為自体に、ある種の限界があるのだと私は考えちゃいましたね、大豆をこねながら。だからどうするのかというと、「文脈」を共有できるような仲間を探したり、検索するんじゃなくて信頼している人が発信している情報をたどっていったり、そういう原始的な感覚をやっぱり大切にしようということです。

それでしつこいですが、「灯台もと暮らし」と私がやっていることは全然共通点がないけれども、ちょっとだけ同じ方向を見ることができているのかなあと思って、でもそれはちょっと言語化できないかんじで、このイベントレポートでも全然核心に触れられていない感があるんですけども。

だから何がいいたいのかというと、リアルイベント楽しいよっていうことです。3月にもう1回「灯台もと暮らし」はイベントを開催されるそうなので、みなさん是非のぞいてみてはいかがでしょうか。

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