バリ島旅行記の続き(しかし、繰り返すが正確にいうともう「バリ島旅行記」ではない)。バリ島から船で2時間のところにあるギリ・アイルという島に行き、そこからさらにボートで10分、ロンボク島という島に行った。
呑気に海を眺めていたら残念ながら雨が降ってきてしまい(雨季だからしょうがない)、宿に戻る。読書でもしようかなと思ったけど少し体を動かしたい気分だったので、雨がうつ宿のプールを一人で独占して、すいすい泳いでいた。
翌日は、ロンボク島の空港からいっきにジャワ島へ、ジャカルタへ飛ぶ予定になっていた。なぜジャカルタに行こうと思ったのかというと、私はアホなので、ジャカルタからボロブドゥール遺跡に行けるもんだと思っていたからである。ボロブドゥール遺跡を見るためには、ジョグ・ジャカルタというところに行かなければならない。が、私はジョグ・ジャカルタってジャカルタの郊外かなんかなんだろうと思っていて、ロンボクからジャカルタ行きの航空券、そしてジャカルタの宿、さらにジャカルタから羽田空港行きの航空券も買ってしまっていた。出発する3日前くらいに「もしかして、ジャカルタとジョグ・ジャカルタってめっちゃ離れてます?」ということに気付いたのだが、そのときはもう、遅かった……。強行採決スケジュールも考えたが、かなり無理があったので諦め、ボロブドゥール遺跡はまた次の機会に行くことにする。
ロンボク島からジャカルタに行くまでにけっこう時間があったので、宿から徒歩で行ける、バツ・ボロング寺院というヒンドゥー教のお寺を訪ねてみる。ロンボク島はイスラム教の島なのだけど、やはりバリ島に近いからかヒンドゥー教の寺院もあることにはある。
受付のおばちゃんに喜捨をして門をくぐると、そこはアジア人も欧米人も観光客は一人もおらず、現地の人ばかりだった。名所というほどでもないし、外国人でここまで来る人は稀なのかもしれない。おじちゃんたちがくつろぎ、子供たちがはしゃぎまわり、おばちゃんたちが熱心にお供えの手入れをしたりしていた。
観光客だらけの名所も、私は歴史や美術(建築)をすごい調べるので、たとえスタンプラリーと揶揄されようとけっこう好きだ。だけど、ガイドブックに載らない、地元の人だけがのんびり集まる場所に一人でふらりと訪れてみるというのも、なかなかいいもんだなあと思った。というか、なんだかぽつんとした気分になるのが似合う場所だったので、一人で来れて良かったなあと思った。
バリ・ヒンドゥーの世界は、どうしてこうも色鮮やかなのだろう。人々が着ている服と、花や果物がまったく同じ色調である。どうしてこんな眼が覚めるような色使いをするのだろう。
神様に向かって祈りを捧げる人々を見つめながら、もしかしたらバリ・ヒンドゥーの世界では、人も花も果物も価値が等しいのかもしれない、などと思った。人は花より優れているわけじゃないし、人は果物より賢いわけじゃないのだ。全部、神様へのお供え物という点では一緒なのかもしれない。
色が美しいのは正義だ。私は陰気な性格なので、霧の中に消えてしまいそうな東欧の憂鬱さも好きだけど、色彩豊かなものを目にしていると、「生きねば!!!」という気分になってくる。
次回へ続く(たぶん最後)