イタリアの山奥にひっそりと佇む、「スカンノ」という小さな村がある。
イタリアの山奥にあるガイドブックにほぼ載らない小さな村、スカンノ。
— チェコ好き (@aniram_czech) 2018年4月8日
写真家のアンリ・カルティエ=ブレッソンやマリオ・ジャコメッリがここを訪れて有名な作品を遺してるので、来てみたかった。
この村で教会の鐘の音を聞くと、「あれ、わたし夢を見てるのかな?」と思います。あまり現実感がない pic.twitter.com/8LbjIELZLA
しかし、山奥だけにあまり知られていないのか、ガイドブックに載ることもほぼなくインターネット上の情報も壊滅状態。つまり、行き方も帰り方もよくわからない謎の地なのである。もちろんまったく情報がないというわけでもないのだが、詳細は不明で頼りないものばかりだ。ここへ個人旅行をする日本人は、どうやらあまりいないらしい。
スカンノとは?
そんなスカンノ、私はどこで知ったのかというと、まずは写真家のアンリ・カルティエ=ブレッソンが好きなので、彼が訪れた地として多少聞き覚えがあった。また、下の号の雑誌「TRANSIT」にも、スカンノのページが少しだけある。とても美しい写真が載っているので、この村に興味を持った人はぜひ「TRANSIT」も見てほしい。私はこのアンリ・カルティエ=ブレッソンと「TRANSIT」のダブルパンチ で、スカンノに行く決心をした。
TRANSIT(トランジット)17号 美しきイタリアへ時空旅行 (講談社 Mook(J))
- 作者: ユーフォリアファクトリー
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2012/06/22
- メディア: ムック
- 購入: 3人 クリック: 12回
- この商品を含むブログ (3件) を見る
(※「TRANSIT」p159より引用。かっこいい)
上の写真のように、スカンノでは女性は伝統的な黒い衣服に身を包んでいる......と言いたいところだが、 山奥とはいえさすがに現代化されているので、こういう衣服はごくたまにしか着ないみたいだ。私も、この黒い服の女性が町中を歩いているところを見たいな〜と思っていたのだが、残念ながら叶わなかった......。
行き方!
で、前置きはこれくらいにしてさっそく行き方について解説したいのだが、申し訳ない、よくわからない。というのも、私は行きはナポリからドライバーを雇って車で行っちゃったのである。この方法、金はかかるが確実である。しかも、道中好きなところで車を止めて写真撮影をさせてもらえたりするので、けっこう楽しい。私が雇ったドライバーさんは「俺もスカンノなんて初めて行くよ〜」とか言っていた。
山奥にやっとたどり着いたのですが道中、雪が凄まじく残っていたり野生の鹿が車の前を横切っていったりしました。運転手さんも「ファンタスティック!」と言いながら車を降りて自撮りしていた
— チェコ好き (@aniram_czech) 2018年4月6日
この山を降りられるかが今回の旅最大の難所だったのですが普通になんとかなりそうです。行けばわかる pic.twitter.com/sBS8p04dSc
道中、まだ春先だったからか雪が大量に残っていたのだけど、しかしこの時期にこの残り方となると、真冬はどれだけ雪深いのだろう。鉄道駅もなく周囲の村から断絶されているので、スカンノはまさに陸の孤島である。真冬のスカンノも訪れてみたいが、あまりの寒さと孤立と寂寥とした町並みに絶望して鬱になりそうだ。
余談だが、途中ドライバーさんと二人で車の外に出て雪を踏みまくって遊んでいたら、小川? 用水路? みたいなところの雪を踏み抜いてしまい、危うく流されそうになった。ドライバーさんに抱き上げてもらい助かった。はしゃぎすぎは禁物である。
帰り方その1 まずは「スルモナ」 に行こう!
「結局よくわからないのかよ!」と言われてしまいそうだが、帰り方はバッチリなので、つまり行きはこれの逆をやればいいことになる。以下に記すことは旅行前の私が見たらヨダレものの情報である。
まずは、スカンノから各都市へのプルマン(長距離バス)の時刻表がこれ。しかし......。
時刻表通りにプルマンが来ることはあまりないらしい。というかこの時刻表、どこをどう見ればいいのか結局よくわからなかった。とりあえず確かなこととしては、公共交通機関を利用してスカンノへ行くには「ローマ」から「スルモナ」を経由して行くのがベストだ。帰りも同様に、「スルモナ」を経由して「ローマ」にたどり着くことになる。
ただし先に述べたように、その「スルモナ」行きのプルマンがいつ来るのかよくわからない。私は宿のオーナーに「10:10......かな?」と言われたので10時にバス停に行ったのだが、結局来なくて、4時間(!)も待った。途中、周囲にいた人に「あの、スルモナ行きのプルマンは何時に来るんですか?」と聞いてまわったのだが、みなさん答えがバラバラで「どうなってんだ!?」 と思った。この村の人々は英語がほぼ通じない。意思疎通が上手くいかなかったのは私がイタリア語ができなかったからかもしれないけど......。
結局、多数決でいちばん回答者が多かった「14時」だろうという結論に私の中でなり、実際本当に14時にプルマンが来たのでよかったのだが、多数決ってなんだ。とりあえずスカンノを訪れてみたい人に忠告したいのは、「プルマンの時間はよくわからないので村の人に、それもなるべくたくさんの村の人に聞きましょう」である。時間に余裕を持たせて旅の予定を組むことを おすすめする。繰り返すが、私はプルマンを4時間待ったからね!!!
なお、プルマンのバス停はここ。ちょうど村の中心部というか、広場になっているところの坂を少し上がる。広場にはツーリストインフォメーションもあるのでわかりやすいと思う。まあ、ツーリストインフォメーションあんまり開いてないけど。もし開いていたら、ここの人にプルマンの時間を聞くのがいちばん確実だろう。
帰り方その2 スルモナで乗り換え、ローマへ!
村の人に聞きまくってプルマンの時刻のアタリをつけたら、乗り込んでまずはスルモナというこれまた小さな村を目指すことになる。所要時間は1.5時間くらいだ。そしてこちらの、裏にガソリンスタンドみたいなのがあるうっかりすると通り過ぎてしまいそうなバス停で一度降車。ローマ行きのプルマンを待つべし。
私はちょうど「ボクもスカンノからローマに行くヨ〜」という親切なインド人(仕事でイタリアに長く滞在中とのこと) と一緒になったので、彼にくっついて行くことでこの乗換えのバス停がわかったのだ が、一人だったらわからなかったかもしれない。完全に一人の人は、運転手さんに「ローマに乗り換えるバス停で降ろして」とか一言伝えておいたほうがいいかも。ありがとうインド人。「ボク英語とイタリア語しゃべれるけどたまに混ざっちゃっうんだよね、だからイタリングリッシュ〜〜」と自分で爆笑していたインド人本当にありがとう。
ローマ行きと表示が出ているプルマンに無事乗り換えられたら、あとはローマを目指すだけ。所要時間はこれまた1.5 時間くらい。スルモナからのプルマンはローマのTiburtina駅のバスターミナルに到着する。Tiburtina駅はとても大きな駅なので、ここからテルミニ駅に出たり何でもできる。行きは、たぶんTiburtina駅のバスターミナルまで行って「スルモナ経由スカンノ行きのプルマンに乗りたいんですけど!」とか周りの人に聞いたら教えてくれるのではないだろうか(他力本願)。
まとめ
というわけで、実際に行ったし帰ってこられたからいいものの、結局なんだったのかよくわからない。確実なのは「ローマ→スルモナ→スカン ノ」という経路であること、 あとは「時刻は時刻表ではな く周りの人に聞きまくるほうが良い」ということである。 基本的に、まあ日本と比べたらどこでもそうかもしれないが、イタリアの公共交通機関はテキトーだし気分で運行しているのでよくわからない……!
だから「必ず余裕を持った予定を組んでおくこと」。スカンノから帰ってそのままローマの空港から別の都市へ......みたいなスケジュールにすると、たぶん死ぬ。
決して行きやすい場所ではないが、スカンノの美しい町並みとのんびりした人々の様子は苦労して見に行く甲斐があるものだと思った。あ、あと、市長? が「ローマからスカンノへはプルマンで1時間でーす!」とか言ってるサイトが調べたら出てくるんだけど、1時間は絶対に嘘である。スルモナを経由したら3〜4時間はかかるし、Googleマップでも直線距離で2時間かかると出てきた。
スカンノの情報はインターネット上にほとんどないので、おそらくこのエントリはしばらくすると検索1位に表示されるだろう。「スカンノ」で検索する奴なんているのか? という問題は別にしても。