チェコ好きの日記

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愛が暴走するカトリック系テーマパーク「ティエラ・サンタ」in ブエノスアイレス

4月にアルゼンチンとチリに行っていたことはすでに書いているけれど、今回はその中でも、ブエノスアイレスにあるカトリック系テーマパーク(という名称はたぶん存在しないが、そうとしか呼びようがないので)「ティエラ・サンタ」について個人的メモを兼ねて記録。ちなみに「ティエラ」はスペイン語で「地」、「サンタ」は「聖なる」なので、聖なる地……つまり英語でいうと「Holy land」です。Googleマップで見ると「Holy land」で出てくることがある。最初地図で見たとき「Holy landて!!!」と思ってしまいました。


こういうノリで、日本人的感覚からするとちょっとfunnyなテーマパークではあるのですが、かなり真面目に作られてもおり、決して現地の人は冗談でやってるわけじゃないというのはわかった。実際、テーマパーク内には各展示の側にかなりしっかりとした説明書きが並んでいました(全部スペイン語でまったく読めなかったが)。


日本に帰ってきてから敷地内でもらった英語パンフレットを読み直したのだけど、ここは、愛が溢れすぎるあまりちょっとfunnyになってしまっているが、キリスト教カトリックについて考える上でとてもinterestingな場所であるとも再認識しました*1


場所はここ。ブエノスアイレスの中心部からはちょっと外れている。バスで近くまで行き、あとはもうどれにどう乗ったらいいのかわかんなかったので、流しのタクシーをつかまえて行きました。ブエノスアイレスのバスは難しいんだよ……!



外国人観光客向けにはあまり作っておらず、あくまで現地の人用のテーマパークであるという印象(もしくはアルゼンチン以外のラテンアメリカの人用)。現地の人って具体的には誰が行くのかというと、幼稚園〜中学生くらいの集団を何組も見たので、おそらく社会見学的な何かに使われている施設と見た*2*3。ちなみにアルゼンチンは国民の74%がカトリック信者、その他はプロテスタントユダヤ教イスラム教など。


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(※入り口で見かけたブエノスアイレスのキッズたちと引率の先生。こういう集団を何組も見ました)

園内の地図(パンフレットより)


すみません小さくてわかりづらいですよね。別に大きくしてもわかりやすくはないんですが、ざっくりいうと、上の図でいう左側が入り口で、入るとすぐにあるのが旧約聖書の世界です。神が「光あれ」というところから始まり、アダムとイブが蛇にそそのかされてリンゴを食べちゃったり。そこから受胎告知のシーンがあり、このコーナーの最後にベツレヘムイエス・キリストが誕生します。そこから、門をくぐって本格的に新約聖書の世界に入る。


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(※動物の作りが細部までしっかりしているので、ガチ度が伝わる)

新約聖書コーナー

新約聖書コーナーも聖書の記述にたぶんわりと忠実に展示が進むのだけど、私は聖書については名場面しか知らないので、これが何のシーンなのかとかはあまりわからず。下の写真は、「イエスエルサレムに来た!」みたいな感じ???


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これはまじで何のシーンなのかわからず。スペイン語が読めれば……!

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あと、写真撮り忘れたのですがイスラム教のモスクとかもあった。他は、ユダヤ教徒にとっての聖地「嘆きの壁」など。このテーマパーク全体で、約2000年前のエルサレムの街並みを再現していたということだったらしい。実際にエルサレムにも行ったことがある身として、ちょっとニヤニヤしてしまいました。園内のレストランも、普通のピザ屋とかもあるんだけど、中東料理屋みたいなのもちゃんとあって「ヘェ〜」と思いました。

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これは私がエルサレムに行ったときに撮った本物の嘆きの壁。本物とはやはり大きさは全然ちがうけど……。

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そしてクライマックスへ。十字架を背負ってヴィア・ドロローサを歩くイエス・キリスト

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ゴルゴダの丘で磔にされてしまう。エリ・エリ・レマ・サバクタニ……

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(※ゴルゴダの丘は映画のセットみたいで本気でかっこいい作りでした)

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(※ちなみに現代のエルサレムには、ゴルゴダの丘には聖墳墓教会が建っています)


そして、ハーレルヤ〜の音楽とともに丘からニョキニョキ生えつつ復活!!!*4 ちなみに復活時間はパンフレットで詳細をチェック。だいたい1時間に1回復活しています。ここそもそも金土日と祝日しか営業してないんだけど、金曜日だけは午前から復活しています。土日祝日は午後のみ。復活は、見やすい場所にベンチとかもあるので、お弁当やお菓子を片手にもぐもぐしながら見るのもよいですね。

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まとめ

ここをそもそも私は何で知ったのかというと、TRANSITに載っていたのでした。あと今、検索してて思い出したけど、奇怪遺産にもあったな。

奇界遺産

奇界遺産

そういうわけで、日本人的感覚からすると「???」となるところが少なくないこのティエラ・サンタなのですが、改めて、カトリック圏の人々にとって宗教やキリスト教がどういった存在なのかを考える良い機会になったと思います。子供たちが多く訪れていたことを振り返ると、私たちが考えるよりもずっと、アルゼンチンの人々にとってキリスト教は生活に密着した、魂に刷り込まれたものなんだろうなあと。キリスト教という枠組みを越えて何かを思考することは困難なのではないかと思うほどに。


逆にいうと、非カトリック圏で生まれ育った日本人の私には、こういった枠組みの中で何かを思考することこそが困難なのではないかと痛感してしまいました。いくら聖書を読んでも、神学書を読んでも、私は本当の意味ではキリスト教を理解できないのではないかと。「1時間に1回復活するイエス様、不謹慎なのでは!?」と私たちは思うかもしれないけど、信仰心さえあれば神様はたぶんそんな細けぇことは気にしないし、「生活に密着した」ってそういうことだと私は思います。素朴な感じっていうの? まあただ、このラテンアメリカのノリを西洋圏のカトリックの人がどう思うのかは、ちょっと気になるところではあるな!


世界に様々な宗教がある中で、私にとってもっともinterestingなのはやっぱりキリスト教です。仏教でも神道でもイスラム教でもない、キリスト教の何が私をそんなに惹きつけるのかは自分でも未だにわかりません。教会建築が好きだからとか、西洋美術が好きだからとか、教会音楽が好きだからとか、それらしい理由は見つけられるんだけど。


気になった人はぜひ行ってみてね! といえるほど気軽には行けない場所ですが(南米は遠いからな!!!!)何かの機会でブエノスアイレスに行くことになった人は、ふらっと訪れてみて損する場所ではないことを私が保証します。

*1:現地にいるときも、同行の小池みきさんが聖書についての知識を持っており、かつ私がイスラエルエルサレムに行ったことがあったので、お互いの知識を交換しながらわりと真面目な話をしていた(『カラマーゾフの兄弟』の「大審問官」を、日本人である我々が本当の意味で腹の底から理解することはかなり難しいのでは?などなど)

*2:金曜日に行ったので、平日だったからかもしれません

*3:ちなみになんですが、入場料はアルゼンチンのインフレの煽りを受けてか、かなり値上がりしています。2019年4月時点で370ペソ

*4:上のTwitter埋め込みから動画も見てね。