今週分は軽い日記。
2019.6.7 現代アメリカ政治とメディア
- 作者: 前嶋和弘,山脇岳志,津山恵子,奥山俊宏,金成隆一,宮地ゆう,五十嵐大介
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2019/04/19
- メディア: 単行本
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先月から読んでいる『現代アメリカ政治とメディア』をまだ読んでいる。なぜ2016年の大統領選挙でトランプが勝利したのか、断片的にはいろいろな記事を読んで知っていたことだけど、改めてデータとしてまとまっていると面白い。アメリカのメディアの状況が細かくわかり、日本と比べたりできるので興味深い1冊だと思う。
あちこちでちょこちょこ小出しに書いているが、私は一時期「夜のお仕事」をやっていた。そこで、普段ならまず会うことはない「ネトウヨ」のおじさんと出会ったことが、わりと良い(良い?)体験というか、印象的な出来事として記憶されている。彼はトランプの支持者でもあり、私に「メディアを信じるな」と言った。私はライター以外にメディアに関わる仕事をしているので、信頼に足るメディアとは何か、彼らがなぜ中立的な情報を「フェイク」と思うのか、どのような鬱憤が溜まっているのか、韓国を批判することで何を得ているのか、生身の「ネトウヨ」に会ったことでものすごく考えるようになった。このことは、いつかまとまった文章として書く機会を作りたい。そうしたら、夜のお仕事とメディアのお仕事とライター業がコラボレーションできる(!)。
2019.6.8 ゾディアック
実は観てなかった映画4
— チェコ好き (@aniram_czech) 2019年6月9日
デヴィッド・フィンチャーの『ゾディアック』。2019年現在も未解決の実際にあった連続殺人事件がもとになっている。
もとの事件が未解決なのでラストもあんまりすっきりしないんだけど、そこはフィンチャー的でもあると思うし、私はむしろ好き。ドライで淡々としている。 pic.twitter.com/Lvf50bbKHd
デヴィッド・フィンチャーの『ゾディアック』を観る。『ゾディアック』は殺人シーンがなかなか残虐であり、手足を縛られた状態でナイフで滅多刺しにされるシーンで「あーあーあー痛い痛い痛い!!!」と思って3時間くらいトラウマになった。滅多刺しにされて泣き叫ぶ恋人を、同じく手足が縛られた状態で男は黙って見ているのである。
が、私のトラウマ映画といえば岩井俊二の『ヴァンパイア』だ。死体愛好家の殺人犯が殺した女とセックスするシーンがあるのだけど、これを上回る作品にはいまだに出会えていない。いや、出会わなくていいんだけど。
- 発売日: 2014/06/20
- メディア: Prime Video
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2019.6.9 経験が邪魔をする
今、また小説を書いている。秋の文フリで出す予定のものだ。文フリについては、今年2月のコミティア同様「創作メルティングポッド」で1冊本を作る予定なのだけど、近くなったらまたお知らせしようと思う。特に編集者が待っているわけでもない文章を書くのはすごく孤独な作業なので、小説を書き続けていられるのはこのサークルのメンバーのおかげだ。
ところで、コミティアの短編のテーマが「百合」だったので、私はノンケの女性同士でありながら惹かれあってしまう奇妙な女友達の関係を書いた。一方、今回は男女の恋愛を書きたいと思っていたのだけど、これがどうも筆が進まない。そこで、設定の一部を変更し、またも「女同士」を描くことにしたら、自分でも驚くくらい物語がすらすらと進んでしまった。
この現象がなんなのか上手く説明できない。たぶんだけど、男女の恋愛を書くときは、経験が逆に邪魔をしているというか、「こんなセリフ気持ち悪いんじゃないか」などという自己検閲が無意識に働いている気がする。あと単純に、女性は服装についてもメイクについても描写がしやすいのかもしれない。「この子はきっとイブ・サンローランのリップを使っている」「この子はきっとSUQQUのアイシャドウを使っている」とか、そういうディティールを決めると人物がくっきり浮かび上がってくるので、物語が動かしやすくなる。男性についても、これを決めるとキャラが立つ、みたいな何かが見つかるといいのかもしれない。女性はメイクを決めるとキャラが決まる。
2019.6.10 歯医者と整骨院
この日は休みだったので、歯医者と整骨院に行った。整骨院では体のどこが歪んでいるのかを詳しく教えてもらい、結果「筋トレをしろ」と言われた。筋トレと英語学習は私が何度もちゃんとやろうと思い何度も継続に失敗している二大巨頭である。「明日から頑張る」をまじで2年間くらいずっと思っている気がする。
2019.6.11 またも吉本ばなな
写真家さんにインタビューをする。この原稿は全体公開はされないので多くの人にはお見せできないが、インタビューは「口下手な私が根掘り葉掘り聞くことを許される時間」という感じでわりと好きだ。
インタビューの詳細はどうせお見せできないので書かないが、途中でまた吉本ばななの話をしてしまった(私が)。宗教なのか、スピリチュアルなのか、フロイトユング的な無意識の何かなのか、恋愛なのか、そういう微妙なバランスの上で成り立っていたところが吉本ばななの魅力だったのに、ある時期から吉本ばななは一気に"スピ"に移行してしまった。そして私はそのことにものすごい反発を覚えた。何が彼女をそうさせたのか、それによって彼女の文学から何が損なわれたのか、私はいろんな人と繰り返しこのことを話している。おしゃべりしていると燃えるテーマなのである。
そういえば、三宅香帆さんも寄稿している「ユリイカ」の吉本ばなな特集をまだ読んでいないことを思い出し、この日、ポチった。
ユリイカ 2019年2月号 特集=吉本ばなな ―『キッチン』『TUGUMI』『デッドエンドの思い出』から「どくだみちゃんとふしばな」まで―
- 作者: 吉本ばなな,角田光代,チェ・ヒョンヨン,羽海野チカ,木全純治
- 出版社/メーカー: 青土社
- 発売日: 2019/01/28
- メディア: ムック
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2019.6.12 流言のメディア史
- 作者: 佐藤卓己
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2019/03/21
- メディア: 新書
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小説を書いているときに「嘘だから真実が書けるんだよ」という言葉を思い出す。対して、エッセイやコラムを書いているときに思い出すのは「真実だから嘘が混ざるんだよ」という言葉だ。これはまあメディアの話のようでメディアの話ではないんだけど、嘘と真実は白黒はっきり分けられるものではない。善と悪も白黒はっきり分けられるものではない。「あちら」と「こちら」も、境界線は曖昧だ。生と死だって曖昧だ。私はどちらかに振り切りたくなるのをぐっとこらえて、この灰色の世界を生きていきたいと思う。
自分が「そっち側」にいくことはない、と固く信じている人がわりといるんだなあ。
— チェコ好き (@aniram_czech) 2019年5月31日
私は、病気じゃないのも、仕事があるのも、家族や友人に恵まれているのも、自分自身の努力もあるけどわりと偶然の産物だと思っている。だから、それらをすべて失った状態の自分を、けっこう容易に想像できるけど。