チェコ好きの日記

もしかしたら木曜日の22時に更新されるかもしれないブログ

本が出ました/寄稿のお知らせ/目標から逆算する生き方が苦手(雑記)

お知らせしていたとおり、本が出ました〜。Twitterを見てくれている人にはとっくにお知らせ済ですが、そういえばブログは「ゲラの下読みをしてください」と言ったきりだった。


イトイ圭さんのかわいいイラストが目印です。黄色×ピンクなので、あらやだちょっと派手じゃないかしらと思っていたけど、本屋さんで陳列されているところを見てみたらわりと馴染んでいて、別にそんなことはなかった。素敵な装丁にしていただいてありがたい限りです。



それと同時に、DIGITALISTの連載も最終回が公開されている。間がめちゃくちゃ空いてしまったので、第1回と第2回のリンクも貼っておきます……。


project.nikkeibp.co.jp

第1回:「旅」とはいったい何なのか?──「世界の七不思議」から聖地巡礼まで - DIGITALIST|デジタリスト
第2回:
旅で教養は身につきますか?──哲学者たちが旅した18世紀のヨーロッパ - DIGITALIST|デジタリスト


あとSmartNewsのオウンドメディア「スマQ」でも、インタビューした記事が公開されている。マクルーハンの関連書籍について聞いてきました。私もこれを機に『メディア論』などを読んでみたりした。


q.smartnews.com

メディア論―人間の拡張の諸相

メディア論―人間の拡張の諸相


目標から逆算する生き方が苦手

お知らせもそこそこに、ここからは雑記である。


私は以前、アフリカの少数民族とかの写真を撮っているヨシダナギさんのトークイベントに行ったことがある。そのとき会場から、「ヨシダさんは、結婚やキャリアについて、どのように考えていますか?」という質問が出た(録音していたわけではないので正確ではない)。


ヨシダさんのその質問への回答が、なんと「考えたことありません。心がアフリカ人なので、良くも悪くも明日より先のことは考えられなくて」だったんですよね。もしかしたら質問した当の女性は拍子抜けしてしまっていたかもしれないが、私はヨシダさんの回答を聞いて「いや、そうだよな、それでいいよな」と思ったのでした。


これは今を生きる女性全員に推奨できる思想なんかでは全然ないのだけど、目標から逆算して生きなくても別にいいよなと、私はその場で思ったのです。「何歳までにこれをやる、結婚する、子供を産む」とかってやってると、それを達成できなかったときにしんどくなってしまうから。今日したいこと、明日したいこと、あとはせめて1ヶ月先にしたいことくらいまでを考えて、あとは行き当たりばったりでいいじゃねえかと。まあ、私も32歳とはいえまだまだ若い部類に入るのでこんな呑気なことを言っていられるのかもしれないが、私も「この先のキャリアプラン」などを聞かれた際には、堂々と「わかんないです」と言おうと思った。これから先もずっと、本を読んで、映画を観て、旅をして、文章を書いているとは思うけど、それ以外のことはわかんないです。


だけど、この考え方が向かない人がいることも当然、知っている。人は1人では生きることができなくて、精神的にも物理的にも何かしら外部に依存しているものだけど、私は幸か不幸か依存先を「生きている人間以外」にすることができたほうの人間だ。誰にも認めてもらえなくても、誰にも愛されなくても、読書や映画鑑賞をすれば登場人物と心を通わせられるし、南米に行ってイグアスの滝でも見ればその水しぶきやひらひら舞う蝶によって孤独を癒すことができる。こう書くとなんだかポエミーだけど、ようは「オタク気質」なのである。生きている人間、隣にいてくれる誰かと心を通わせられなくても、コンテンツがあれば生きられる。そして、「とにかく生きている人間と心を通わせたい、認められたい、愛されたい」と思っている人には信じ難いだろうが、私みたいなタイプの人間は決してマイノリティではなく、探せばけっこうそのへんにゴロゴロいる。さらにいうと、この性質はおそらく人生のかなり早い段階で決まってしまう先天的なもので、オタク気質の人間がそれを脱することはできないし、その逆もまた然りだ。


私は、やっぱり自分と同じタイプ、「依存先を人間以外にすることも可」な人への情報発信がいちばんやりやすい。「先のことなんか考えなくてもいいじゃん」と言えるのは、単純にバカだからってのもあるが、先のことなど考えなくても(金がかかるので旅はともかく)読書ができなくなったり文章を書けなくなったりすることはまあ確かにそんなにないからだ。本なんて図書館に行けばタダだし、青空文庫ダウンロードすればいいし、ブログやnoteは無料で書ける。極論、恋人にも友達にも全員去られて生活保護になっても、たぶんいちばん大切な心の潤いは失わずに済むと思う(それなりに絶望はするだろうが)。だから先のこと、本当にあんまり考えなくても大丈夫だと思っている。


でも、生きている人間に認められたい、愛されたいと思う人は、確かにそんなわけにはいかないよな。仕事で認められたいだろうし、結婚しないと不安だろうし、子供も欲しいだろうなと思う。そうすると、やっぱり目標から逆算する生き方をしたほうがいいんだろう。それが悪いとは全然思わない。こういうの、まじで、持って生まれた性質だから。あと、私みたいなタイプは有事の際(天変地異で大切な人がごっそり死んだとか、それこそ強制収容所にブッ込まれたとか)にめちゃくちゃ強いが、平常時はただのフラフラしてるアホなので、普通は生きている人間に依存するタイプの人のほうが強いのは言うまでもない。


自分と同じタイプへの情報発信だけしててもいいのかもしれないけど、なんとなく、自分と違うタイプの人がラクになる文章も書けるようになったらいいなと思っている。今はまだ、全然できてないけど。

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イグアスの滝