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イギリスを旅するならこれを読め!な、5冊

ある国を旅行で訪れるとき、ガイドブックすら用意せずに、何の先入観ももたずに身1つで出かけていってしまう……
なんていう、沢木耕太郎のようなワイルドな旅もいいですが。

私はやっぱり、事前にできる限り下調べをして、その国に関連する歴史、文学、社会、経済、芸術などの本を読んで、イメージをふくらませて行ったほうが、旅を2倍、3倍と楽しめる気がします。もちろん、このあたりは個人の性格というか好みの問題だと思うので、どちらがいい・悪いという話ではないです。

ただ、沢木耕太郎的なワイルドな旅をお好みの方も、旅行に行く「前」ではなく「後」になら、旅を振り返る意味もこめて、その国に関連する様々な本を読んでみる価値はあるのではないでしょうか。本を読むことで、自分が旅した国の文化、社会、人々、芸術、食事を、より深く理解することができますから。

また、しばらく海外を旅する予定なんてない……という方も、もし「いつか行ってみたい!」と思っている国があるのなら、その国に関する本を数冊読んでみると、ちょっとした旅行気分を味わえるかもしれません。そして、ますます「行ってみたい!」気持ちに拍車がかかるはず。
何にせよ、知らない国について新しい知識を得るというのは、けっこう楽しいことです。


私は先月、イギリスのロンドンを中心に旅をしましたが、旅行「前」に5冊、「後」に5冊、合計10冊の本を読みました。本を読んで得た天気や地下鉄に関する知識は、リアルに実用的な意味で役に立ちましたし、文学や美術の本で知ったイギリスの“空気”は、美術館の見学やイギリスの何気ない風景を、より味わい深いものにしてくれました。

今回は、そんな10冊のなかから、近いうちにイギリスを訪れる予定のある方、また当分予定はないけれどいつかイギリスに行ってみたいと思っている方に特に読んでほしい、おすすめの5冊を、ランキング形式でピックアップします。

ピンと来た本があったら、ぜひ手にとってみて下さい!

★★★

1位 「イギリス社会」入門―日本人に伝えたい本当の英国 コリン・ジョイス

「イギリス社会」入門―日本人に伝えたい本当の英国 (NHK出版新書 354)

「イギリス社会」入門―日本人に伝えたい本当の英国 (NHK出版新書 354)

今回の旅行において、いちばん「役に立った!」と胸をはっていえる、万人におすすめできる本がこの、『「イギリス社会」入門』です。旅行記の間でも、すでに何回か紹介しています。

イギリスの変わりやすい天候のこと、紅茶のこと、パブのこと、イギリス人の性格やふるまい方、イギリスの歴史に関する豆知識など、ガイドブックにはのっていないけど旅行前に知っておくと便利なちょっとしたことがたくさんつまっていて、まさに「かゆいところに手が届く」本です。

ロンドンの地下鉄がしょっちゅう止まることや、パブのルールなどは、事前に知っておいたことで旅行中ずいぶんと助けられました。著者のブリティッシュ・ジョーク(?)がスパイスとなって、イギリスに関するあれこれを楽しく知ることができます。


2位 日の名残り カズオ・イシグロ

日の名残り (ハヤカワepi文庫)

日の名残り (ハヤカワepi文庫)

こちらは小説なので、実用的な意味では役に立たないし、“万人におすすめできる”というかんじではないかもしれません。なので2位としておきましたが、イギリスの文化や精神、自然の美しさをより深く味わうためには、必読の書だと思われます。
また個人的には、旅行ということを抜きにしても、現時点で今年読んだなかで最も感動した小説です。

主人公のスティーブンスは、アメリカ人の実業家が住むイギリスの大きなお屋敷で、執事を務める中年男性です。主人がアメリカへ一時帰国することをきっかけに、彼も休暇を得て、イギリスの田舎へドライブの旅へ出ます。そして旅をきっかけに、自身の人生を振り返るのですが……

ラストは、涙なしには読めません。翻訳もすばらしく、「いい小説」ってこういうのをいうんだろうな、と思わせられます。

第二次世界大戦後、国際社会でリーダーシップをとる余裕がなくなったイギリスの倦怠感、停滞感、過去への郷愁、そして未来への希望。イギリスの歴史と人生をともにした主人公の回想をだどっていくうちに、心にずっしりと、あたたかい何かが残ります。


3位 たけしの大英博物館見聞録 ビートたけし

たけしの大英博物館見聞録 (とんぼの本)

たけしの大英博物館見聞録 (とんぼの本)


大英博物館について書かれた本はこれ以外にも何冊か読んだのですが、「人におすすめ」という観点で考えると、これがいちばん楽しく、わかりやすく、写真も多かったので選びました。

ビートたけしさんが大英博物館を貸し切って(何て贅沢な……)、冗談を交えながら展示品を紹介していくのですが、ジョークのなかにもたけしさんならではの鋭い視点がピリッと入っていて、いろいろなことを考えさせられます。大英博物館の歴史、イギリスの歴史、そして展示品を造りだしてきた古代文明について。

大英博物館のコレクションは膨大なので、「何を見るか」、写真を眺めながら目星をつけていくのもいいですね。


4位 イギリス美術 高橋裕子

イギリス美術 (岩波新書)

イギリス美術 (岩波新書)


「西洋美術」というと、真っ先に思いつくのはイタリアやフランスで生まれた絵画で、「イギリス美術」といわれてもクエスチョンマークがとんでしまう人がほとんどだと思います。

この本には、そんな「イギリス美術」を代表する画家であるターナーや、デザイナーのウィリアム・モリス、そしてイギリスで多く制作されてきた肖像画や風景画について、発展してきたその歴史や解説が書かれています。

国の規模のわりに、イギリスの美術が他の西洋諸国の美術に比べてちょっと「地味」であることは否定できません。しかし、なぜイギリスの美術は「地味」なのか、「地味」ならではの味わい方があるのではないのか……など、イギリス美術の楽しみ方を本書では学ぶことができます。


5位 TRANSIT 美しきイギリス最終案内

TRANSIT(トランジット)10号?永久保存 美しきイギリス最終案内 (講談社MOOK)

TRANSIT(トランジット)10号?永久保存 美しきイギリス最終案内 (講談社MOOK)


こちらは本ではなく雑誌ですが、イギリスのいろいろ魅力がつまった、読み応えのある1冊になっています。

イギリスの階級社会について、パブについて、写真家のマーティン・パーについて、「鉄の女」サッチャーについて、切り裂きジャックネッシーなどのオカルトな歴史についてなど、とにかくイギリスのことなら何でもつめこんであります。

写真も、きれいだけどひとクセもふたクセもあるものが載っていて、ちょっとディープなイギリスを知ることができます。

★★★

旅行から帰ってきて1か月近く経っている現在ですが、まだ旅の興奮が冷めないのは、こうしてブログに旅行記を書いたり、帰国後もイギリスに関連するたくさんの本を読んでいるからです。

シェイクスピアワーズワースディケンズなどの英文学も、この旅行をきっかけに集中的に読み始めました。

旅行を2倍も3倍も楽しくしてくれる“関連本”、ぜひ探してみて下さいね!