チェコ好きの日記

もしかしたら木曜日の22時に更新されるかもしれないブログ

芸術系大学院卒がえらぶ! とりあえず観ておいたほうがいいベタな名作映画5選

 趣味が「映画鑑賞」という人は、老若男女問わずたくさんいます。
 
  そんな「趣味は映画鑑賞」の人なら、「これが王道でしょ!」みたいな作品って、だれでも思い当たるものがいくつかあると思うんですよね。ただ、その「王道」には年齢や性別や映画の趣味嗜好によって、大きなズレが生じます。「どんな映画を」「どれくらいの頻度で」「年間何本くらい観るか」というのは、同じ「趣味は映画鑑賞」の人でも、さまざまだからです。
 
では、大学と大学院で映画を6年も学んでしまった私にとっての「王道」とは何か? 
 
ちょっとそんなことを考えてみたくなったので、今回は私が思う「これが王道でしょ!」な映画を、5つ紹介してみようかと思います。
 
★★★

1 ジャン=リュック・ゴダール気狂いピエロ』(1968年)


「気狂いピエロ」予告編 - YouTube

気狂いピエロ [DVD]

気狂いピエロ [DVD]

 

 映画のありかたを大きく変え、革命をおこしたヌーヴェルヴァーグの旗手であるゴダール。1960年代から、今も現役で映画制作を続けている、言わずと知れた名監督です。

そんな彼のいちばんの代表作といえば、やはり1968年の『気狂いピエロ』。恋人同士の男女の逃亡劇です。

 フランス国旗を思い起こさせる赤・白・青の鮮やかな色彩に、ポップで愉快な軽さと、張りつめるような緊張感が共存する、何とも不思議な映画です。アンナ・カリーナがひたすらにかわいい映画でもあります。
 

2 アンドレイ・タルコフスキーノスタルジア』(1983年)


Nostalghia - English trailer - Tarkovsky - YouTube

ノスタルジア [DVD]

ノスタルジア [DVD]

 

 当ブログでもイチオシの映画、タルコフスキーの『ノスタルジア』。

主人公は、ロシアからイタリアへ、とある音楽家の伝記を書くために旅をしています。その音楽家は、帰れば殺されることがわかっているのに、郷愁にかられ故郷に帰り、自殺をとげていたことがわかります。監督であるタルコフスキーも、この映画を製作後、ロシアからイタリアに亡命しています。

夢のなかをただよっているかのような、悲しいくらい美しい映像が胸につまります。何回観てもいい映画だなぁと思うのですが、毎回どこかしらのシーンで寝ています……。

 

3 ルイス・ブニュエルサルバドール・ダリ『アンダルシアの犬』(1928年


Luis Buñuel: Un Chien andalou (1928) - YouTube

アンダルシアの犬 [DVD]

アンダルシアの犬 [DVD]

 

 ブニュエルは『昼顔』という超有名映画も捨てがたいのですが、「王道」と考えるならば私が選ぶのは『アンダルシアの犬』。画家のダリを共同製作している、シュルレアリスムの傑作と評される実験的なショート・フィルムです。

手のひらからアリが出てきたり、女性の眼球がカミソリで切られたり、何というか、何ともはやな映画。シュールです。「夢」がテーマの映画ですが、本当に夢に出てきそうなのでびびります。

 

4 フェデリコ・フェリーニ『8 1/2』(1963年)


Blu-ray『8 1/2(はっかにぶんのいち)』30秒CM - YouTube

8 1/2 普及版 [DVD]

8 1/2 普及版 [DVD]

 

 フェリーニの映画を観ていると、女性の高笑いがひびく、愉快で猥雑なイタリアへの夢がふくらみます。

『8 1/2』では、映画の構想を練るために、映画監督の主人公が温泉地へやってきます。主人公は、自ずと監督であるフェリーニ自身と重なります。

 作品中の、「人生は祭りだ 共に生きよう」というセリフは、あまりにも有名。

登場人物たちが環になって、歌って踊って消えていくラストシーンは、どんな人の人生も、祝福してくれます。私も一緒に踊りたい!

 

5 ジム・ジャームッシュ『ダウン・バイ・ロー』(1986年)


DOWN BY LAW - Trailer ( 1986 ) - YouTube

ダウン・バイ・ロー [DVD]

ダウン・バイ・ロー [DVD]

 

 ニューヨークを代表する映画監督、ジム・ジャームッシュ。あまりにもかっこよく、あまりにもセンスの良すぎる彼の映画は、観るだけでレベルアップした気分になれること間違いなし!?

冒頭からそのかっこよさにぶっ倒れそうになる『ダウン・バイ・ロー』は、3人の男の脱獄劇。

コーヒーと、タバコと、音楽と、『ダウン・バイ・ロー』は、たぶん最高の組み合わせ。非喫煙者で嫌煙家の私も、タバコの地位を認めざるを得ない、悔しいくらいかっこよしな映画です。

 

★★★

以上の5つが、私にとっての「これが王道でしょ!」なんですが、どうでしょうか。

 

よく意味がわからなくても、映画を観ながらウトウト寝てしまっても、“いい映画”って後からじんわり来るものです。高級グルメと同じで、最初は味なんてわからなくても、舌が肥えてくると「やっぱこれだよね」ってなる映画を選んだつもりです。

 

最近は外に出るにも寒くて気がすすまないので、おうちでぬくぬく温まりながら、こんな「王道」映画を味わってみてはいかがでしょうか。