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チェコ好きの日記

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笑撃的!? 人生を狂わすので見てはいけない、傑作チェコ映画5選

なぜか今頃、9月に書いたこちらのエントリへの訪問者がふえております。
ヤン・シュヴァンクマイエル 忙しいビジネスマンに、究極のシュルレアリスムを! - (チェコ好き)の日記

「ふえている」といっても微増ですが、このエントリは、私が今まで書いてきたブログエントリのなかで一番愛と熱がこもっているといっても過言ではないエントリなので、うれしいものです。訪問してくださった方、twitterでコメントしてくださった方、ありがとうございます。


そうなんです。チェコの映画は、マジで面白いんです。
どれくらい面白いかというと、軽く人生が狂うレベル。

実際、これらの映画にハマりすぎて、大学院に行って研究してしまい、就職先がなくなって、人生が狂った者がここにおります。

が、こうしてブログを書いている以上、どうしても下心ははたらくもので、「チェコ映画のこと書いても誰も読まないしなぁ」と、今までその話題をどこか避けて通ってきてしまっていた私でした。

でもやっぱり、せっかく(チェコ好き)の日記なんだもの、たまになら、チェコ映画についてウザいくらい熱く語っても、バチは当たらないですよね。
もうね、別にいいですよ、誰も読まなくても。

というわけで、今回は調子にのって、私が数ある面白すぎるチェコ映画から厳選した、傑作チェコ映画を5つ、紹介しちゃいます。

★★★

1・『ルナシー』 ヤン・シュヴァンクマイエル


Svankmajer's "Sileni" - YouTube

まず1作目に、私の神様、ヤン・シュヴァンクマイエルの作品を紹介します。私がシュヴァンクマイエルの作品として初めて見たのが、この『ルナシー』でした。そして、この作品を見終わったその瞬間、ものすごい鳥肌が立つとともに、宇宙からお告げが聞こえたのです。「卒論のテーマをコレにしなさい」、と。


……『ルナシー』とは、「狂気」という意味です。精神病に罹った主人公が精神病院に入院するのですが、病院にいた人々は患者はもちろん医者も看護師もみんな気が狂っていました、という話。ホンモノの「狂気」とは、病院のなかにあるのか、外にあるのか、私たちのこちら側にあるのか、あちら側にあるのか、どっちなんでしょうね。

ちなみに、人によって好き嫌いが分かれる……なんて生易しい映画ではありません。人によっては、吐き気をもよおし、見てしまったことを激しく後悔するかも。いきなりお肉が踊りだすので、動画閲覧注意です。

2・『ひなぎく』 ヴェラ・ヒティロヴァ


Daisies - YouTube

1作目はちょっとアクが強すぎましたので、2作目はかわいい女の子の映画にしましょう。監督のヴェラ・ヒティロヴァも、女性です。

60年代、ガールズムービーの金字塔『ひなぎく』。マリエという2人の女の子が、男の人を騙してお金をうばって逃走したり、お互いの体を鋏で切り刻んで遊んだり、食べ物をつまみ食いした上、ぐちゃぐちゃに踏んづけてファッションショーを開催したりします。コロコロと変わる場面展開は、まさにカオス。

2人の女の子がとってもかわいいので、ちょっとくらいお下品でも許せちゃいますね。

え? そんなことない?

3・『厳重に監視された列車』 イジー・メンツル


Closely Watched Trains - Trailer - YouTube

1作目にしろ、2作目にしろ、不真面目すぎたでしょうか? ちょっと品がなかったかもしれませんね。

ごめんなさい。3作目は、マジメな作品にしましょう。舞台は、第2次世界大戦中、ナチスドイツの統制下にあるチェコ。そこで働く、青年の物語です。イジー・メンツルの、『厳重に監視された列車』。

なぜちょいちょい、女性の胸の谷間がアップになるのかって? なぜちょいちょい、男女のそういうシーンがあるのかって? なぜ勤務中に、女の子のおしりにスタンプをおして遊んでいるのかって? なぜ主人公が童貞で、それについていちいち思い悩んでいるのかって? 

みなさんが気にしすぎなのではないでしょうか? 戦時中の鉄道で働く、とてもマジメな青年の物語ですよ。


4・『ファンタスティック・プラネット』 ルネ・ラルー


Fantastic Planet (1973) trailer - YouTube

こちらは、フランスとチェコスロヴァキアの合作。巨人族ドラーグに、ペットして飼われ、虫ケラのように扱われる、未来の人間たちを描いたSF映画です。

恐竜チックなかわいい子供が生まれた瞬間、豚みたいな奇妙な生物がそれをぱくっと食べちゃったり、冒頭から「そんな……」とフラフラしてしまう素敵なアニメーションです。イマジネーションのゆるす限り自由に描かれた架空の惑星、そしてそこに生きる動物たち。

監督のルネ・ラルーは、精神科病院の絵画アトリエで、芸術療法にたずさわっていたという経歴があります。この作品も、きっとあなたの心を癒してくれるはず。


5・『闇のバイブル 聖少女の詩』 ヤロミール・イレシュ


VALERIE & HER WEEK OF WONDERS Trailer ...

最後はこれです。邦題だとすごいタイトルがついていますが、原題は『ヴァレリエと不思議な1週間』です。ゴシック・ロリータ全開のフリフリ映画。

13歳で初潮をむかえたヴァレリエちゃんのもとに、悪魔がやってきます。それをきっかけに、彼女の村がだんだんとおかしなことになっていく……というストーリー。

ちょっとアレな場面もありますが、すべてのシーンが、そこに登場する人間も、お洋服も、小物も、まるで絵画のようです。

白い花の上に1滴垂れるその血液が、耽美の世界へと誘います。

そう、TANBI。タンビです。




★★★

いかがでしたでしょうか。

こうして並べてみると、何だかえげつない作品ばかりで、私の人間性が疑われてしまいそう。ちょっと心配です。


でもですね、覚えておいていただきたいのは、これらの作品を制作した、監督たちの経歴です。




ルネ・ラルーをのぞいた、シュヴァンクマイエル、ヒティロヴァ、メンツル、イレシュは全員、60年代のチェコスロヴァキアで作品を制作し、世界にその名を広めました。

60年代のチェコといえば、まだ社会主義統制下にあります。芸術作品での表現も、厳しい制限がありました。実際、これらの監督たちの作品は、当局から激しく非難され、なかにはやむを得ず、国外への亡命を余儀なくされた者もいます。

彼らは、現代の日本のような、自由な環境で作品を制作してきた人たちではないのです。



私が今回紹介したのは、ふざけた作品、エロい作品、えげつない作品ばかりです。

しかし、彼らはいわば、国を捨てる覚悟で、命を懸けて、全力で、マジメに「ふざけて」、作品を制作してきたのです。

だから、それがどんなに、他の人にはただのエロくてえげつない映画にしか見えなくても、

人間の自由を追求する精神と、あふれんばかりの生命力を、たくましさを、1人でも多くの人が理解してくれたらいいな、と願わない日はありません。


★★★

チェコのことになると、キーボードをたたく手にもつい力が……

まぁ、堅苦しいことは抜きしして、まずは気になった映画があったら実際に見て、楽しんでいただけると光栄です。

ヤン・シュヴァンクマイエル「ルナシー」 [DVD]

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