チェコ好きの日記

もしかしたら木曜日の22時に更新されるかもしれないブログ

りっすんに寄稿しました/具体的なエピソードを書くときは2年空ける

お知らせがずるずると遅くなったけど、「りっすん」に寄稿した記事が公開されています。このご時世だとやりたくてもできないけど、人数多い飲み会が苦手な人やっぱりけっこういるよな〜と、Twitterの反応など見ていて思いました。すでに読んでくれた方、ありがとうございます!


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ところで、私は文章を書くときに、「フェイク」を入れる確率がかな〜り高い類の書き手である。もちろんエピソードそのものを捏造するわけではないんだけど、たとえば「恋人」を「友達」と書いたり「母親」を「知人」と書いたり「友達」を「知り合いの知り合い」って書いたり、あとはいろんな人のエピソードを混ぜたり情報を入れ替えたりしていることがある。ブログや寄稿で公開する文章は大意が伝わればいいと思っているので嘘をついているとは思ってないんだけど(「母親=知人」って別に嘘じゃないし)、なぜそんなことをするのかといえば、やっぱり「自分のまわりの人のことを書く」ことに強い抵抗があるからなのだった。強い抵抗というか、強すぎる抵抗というか。あんまり自分のプライベートをさらけ出すのもどうかと思うけど、それにしたって私は書かなすぎかもしれない。


今回の寄稿に限っていえば、いわゆる「フェイク」はないのだけど、私にとって「夜の仕事」の話がやっと時効になって表に出せるようになったな〜という気がする。自分のまわりの人のことを書くのが苦手というか、リアルタイムで身辺雑記を書くのが苦手なのかもしれない。旅行記だけはほぼリアルタイムで書けるんだけど、それはまあ非日常だからだろうな。というわけで私の時効の話、まだ読んでいない方がいたらぜひ読んでください!



しかし、自分の身辺雑記をリアルタイムでは書かない私も、他人の身辺雑記を読むのは好きで、ここ1ヶ月くらい流水りんこさんのマンガにどハマりしずっと読んでいた。もうこれでほぼ全作読破したんじゃないか。しかも、全作読破した上でさらに2周目とか3周目とかを読んでいるので、ハマりかたがえぐい気がする。ただ「これが推しなの、絶対みんなに読んでほしいの超おすすめなのキラキラ!」という類のイタリアンや創作料理的なものではなくて、どちらかというと納豆ごはん的というか、「毎日とにかくずっと読める。深い感動はないがとにかくずっと飽きない」みたいなマンガ。いやもちろん私の感想ですよ! これがイタリアンで創作料理だという人ももちろんいるでしょう。でも私にとっては、同じ話を毎日読んでもぜんぜん飽きないという、すっごい不思議な空気感のマンガなんだよなー。上の『インド夫婦茶碗』はインド人のサッシーさんと結婚した流水さんの子育てエッセイなんだけど、全24巻あるの2周読みました。ちなみにいちばん好きなのは、流水さんのバックパッカー時代を描いた『インドな日々』全4巻で、これたぶん5周くらいしたな。朝起きてまず読む。夜寝る前にとりあえず読む。聖書か!? なんかのお祈りなのか!? という読み方をしている。子供って同じ絵本をずっと読んでて「なんで飽きないんだ??」と思ったりすることがあるけど、そういう感じで何周も読んでいますね。流水さんのマンガを朝晩読むと来世で聖人になれる宗教に入っているとかいうわけではないです。



自分のバックパッカー時代を描いた『インドな日々』はともかく、『インド夫婦茶碗』はサッシーさんと結婚して息子さんと娘さんが生まれて、その子供たちが成人するまで全部書いてあるのですよ。24巻もあるので。ただ、子供が赤ちゃんや小学生の頃はともかく、中学生高校生となると自我が育ってくるので「お母さん、家族のことをマンガに描くのはやめてよ!」と言われたりする。そこらへんも含めて面白い。そして「そりゃそうだよな、うん、子供のことはもう描かないよ」となって、そこから自分たち夫婦の老いについての描写が多くなるのも面白い。


私はあんまり「さらけ出すエッセイ」は好きではないほうなんだけど、流水さんのマンガを納豆ごはんのごとくすいすいと読むことができたのは、距離感の取り方が絶妙だったからではないか。あとがきを参照すると、『インド夫婦茶碗』は、実際のできごとよりも2年遅れくらいで描いていたらしいのです。つまり、マンガで子供が小2ならリアルタイムでは小4。マンガの中でサッシーさんが救急車で運ばれたり娘さんが大怪我したりしても、2年前のできごと。リアルタイムで描いてればそりゃあキツかっただろうなと思う。私は今後も身辺雑記はあまり書かないと思うけど、年月が経って時効になったらいろいろなことが書きやすくなるというのは、わかるなあ。書きやすくなるというか、どこらへんに配慮して書くとまわりを傷つけないかコントロールできるようになるというか。そういう距離感の工夫があったからこそ、24巻まで続いたんじゃないかなあとも思う。


「私だけの納豆ごはんだから流水さんのマンガについてはブログに書かないもん」とか思っていたのだけど、やっぱりもっともっと世に広まるべきだという気もしてきたのでなんかまた書こうかな!?(私に広げられるのかという疑問はともかく……)。いやでも、自分のおすすめのオシャレイタリアンについて書くことはあっても毎日食べてる納豆ごはんのことって書きにくいよな。ちなみに流水さんの旦那さんであるサッシーさんは練馬で「ケララバワン」という南インド料理の店をやっているので、私はここも行ったよ。

くそ、ただの大ファンかよ。すみません、ただの大ファンでした。海外解禁の日がやってきたら、絶対バラナシ行ってガンガーからのぼる朝日を拝んでやるからな〜!

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真ん中のものは唐揚げじゃないです。マライティッカだよ

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