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チェコ好きの日記

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ここで蔵出ししておきたいすごく良かったわけじゃない「ふつうに良かった映画」を4つ

映画

はてなブログ今週のお題が「ふつうに良かった映画」とのことで、つまりこれは良作とも駄作ともいえない、でもどちらかというと良作よりの、そんな微妙なラインの映画を紹介しろという、なかなか難しい注文をしているわけですね。良作と駄作はよくよく覚えているものですが、「微妙なライン」の映画って、私はどうしても記憶からこぼれ落ちてしまいがちです。

でも、せっかく観たわけですから、記憶から消えてしまってはもったいない。もっとも、私はこうしてブログに書かずとも映画を観た後は鑑賞ノートに記録する習慣があるので*1、まったくさっぱり忘れてしまうということはあんまりないのですが、「自分だけがわかるかたち」で文章を残しておくのと、「人に見せるかたち」で文章を残しておくのではやっぱりけっこうな隔たりがあって、もちろんあとになって読み返したときにわかりやすいのは後者なわけです。

というわけで、「微妙なラインだけどこれは”人に見せるかたち”で感想を残しておきたいな」と私が思った、「ふつうに良かった映画」を4つほど記憶の底からほじくり返してみましたので、次の週末などにぜひお役立てください。

1・『キャリー』 ブライアン・デ・パルマ

ビビりな私はホラー映画が苦手でほとんど観ていないのですが、ブライアン・デ・パルマの『キャリー』はあまり怖くなかったというか、けっこう楽しんで観ることができた映画でした。一般的には「名作」に入る映画なのかもしれませんが、ホラーというだけで減点になる私の特殊な計算式により、本作は自分のなかでは「ふつうに良かった映画」となっています。超能力をもったいじめられっ子のキャリーが、いじめっ子や母親に反撃を加えるためにまわりのものをどんどん破壊していく話です。

映画中いちばんの見せ場は、キャリーがダンスパーティーに出向くところだと思うのですが、アメリカのいじめっていうのはまたすごいですね……。「これいじめる方が逆に罰ゲームなんじゃないの」って思うようないじめ方をしますね。豚を殺してその血を集めるのと、集められた豚の血を頭の上からかけられるの、どっちも嫌ですけどもどっちが嫌かといわれると、私はギリギリ前者のほうが嫌です。

狂信的なキリスト教徒であるキャリーのお母さんの頭のイカれっぷりも大変よろしく、楽しい週末が過ごせそうな作品です。

2・『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』 吉田大八

これは完全に「サトエリのボディを楽しむ映画」として私のなかで認識されていますが、なんか観てると全体的に「これ撮るの大変だっただろう」と同情してしまうところがある作品です。サトエリ演じる主人公は女優を目指しているんですけど、一向に芽が出なくて、田舎にもどってきて妹や兄に当たり散らしたり自分の体を利用して力ずくでうまいこと話を進めようとするという、そういう物語ですね。

「承認欲求」という言葉がありますが、膨れ上がった自意識のもと「絶対に女優になる」と豪語するサトエリはまさしく歪んだ承認欲求のカタマリであり、ナルシシズムをこじらせた人間がいったいどういう末路をたどるのか、みたいな話題に興味がある方はきっと観て楽しいと思います。

3・『オペレッタ 狸御殿』 鈴木清順

鈴木清順といえば私はベタといわれようとなんといわれようと大正浪漫三部作をとにかく推している人間なので、『夢二』とかを大絶賛しているんですけど、同じ鈴木清順で「……?」と思ってしまったのがこちらの『オペレッタ狸御殿』。清順のやりたかったことはなんとなくわかったけれど、ちょっと詰め込みすぎたんじゃないかと思ってしまったわけですね。

『夢二』とか『陽炎座』を観ていると、過剰に盛り込むことで演出する部分と無駄をそぎ落とすことで残る余韻、そのバランスがものすごく完成されているなと私は思うのですが、まあ他の人の話を聞いてみたいところではあります。ちなみに、『オペレッタ狸御殿』のストーリーを説明するのは難しいので、しません。

4・『キャタピラー』 若松孝二

キャタピラー [DVD]

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このエントリは本作『キャタピラー』の感想を書きたいがために無理やりひねり出した感があるのですが、この作品、数年前に観てあまりきちんと感想を書いてなかったんですよね。というわけで、今書きます。

こちらの映画は江戸川乱歩の『芋虫』が原案になっているということなんですけども、江戸川乱歩のやつが四肢を失った「夫」自身に感情移入させる作りになっているのに対して、本作はその夫の世話をする「妻」、寺島しのぶに感情移入する作りになっているところが明確に異なるとかんじました。で、私は江戸川乱歩のほうが好きなので、必然的に本作に対してマイナスの評価を下しているのだと思います。マイナスといっても、「ふつうに良かった映画」に十分収まるのですが。ちょっとラストは納得いかなかったような記憶があります。

まあしかし、改めて観てみると本当に胸くそ悪い話ではあります。こういう人間のエグい部分をがつがつ引っ張ってくる若松孝二とか、深沢七郎の小説とか、週末にたっぷり吸収してがっつり落ち込んで欲しいと、私は親しい人に対してかんじます。

★★★

2月も今週で終わりなわけで、もうすぐ春ですが、つい最近観たと錯覚していたこれらの映画たちも、気が付いたら実際に観たのは数年前、はるか昔のことになっていました。当時からブログというものをやっていれば良かったなあと思ったりもするのですが、何もしないでいると記憶というのはどんどん失われていきます。

書き残したり写真に撮ったりするのは、過ぎていく時間に対してできる最後の抵抗です。ちょっと予定があってばたばたしていたのですが、「書く」という行為を今後もしっかりやっていこうと思ったのでした。おわり。

*1:ただし1年に3本くらい漏れることがあり、2008年の『片腕マシンガール』がそれに該当していたことが先日判明しました