チェコ好きの日記

もしかしたら木曜日の22時に更新されるかもしれないブログ

好きになる能力

最近、「好きになってもらう」より「好きになる」ほうが能力がいるし難しいよね〜、と思ったので、そのことについて書きます。だけど、能力がいるし難しいんだけど、「好きになってもらう」努力をしても空回りし続けるだけなので、「好きになる」能力を磨いたほうが急がば回れで話は早いしかえってラク、とも思います。

ちなみに、これは恋愛とかにも応用できるかもしれないけど、それよりはもっと一般的な人間関係についての話です。友人とか職場の人とか。

正しいやり方で好きになれば、好きになってもらうのは簡単

「簡単」というとちょっといい過ぎかもしれませんが、人間には「返報性の法則」ってやつがありますので、自分に好意を向けてきた人間に対して、基本的には悪い感情は抱かないと思うんですよね。だから、「この人に自分を気に入って欲しい」と思ったら、まずは自分が「私はあなたを気に入ってます」といってしまう。これだけで第一段階は突破というか、あとは適当にコトが運ぶもんだと私の雑な頭は理解しております。

ただもちろん、本当にこれだけで済むならだれも苦労しないわなという話で、第二段階を突破するためには、その先にある「正しい(と、私が考えた)やり方」が必要になります。そして、この「正しいやり方」は付け焼刃でどうにかすることは難しく、日頃の鍛錬が欠かせません。これを書いている私も当然ながら十分に習得しているとはいい難い状況なので、いわば備忘録的にここに記しているわけですが。

それで、その「正しいやり方」というのは何なのかというと、私は「相手を正しく理解すること」だと思うんですね。「正しく」とはどういうことかというと、相手が明示していない前後の文脈や背景、相手の裏にある思想を読み取ることです。そして、この前後の文脈や背景を無視して、ただ単純に「私はあなたを気に入ってます」といい続けると、良くて関係が硬直状態のまま発展しないか、悪いとちょっと気持ち悪がられてしまいます。この「相手が明示していない前後の文脈や背景を読み取る」ことが、付け焼刃でどうにかすることは難しく日頃の鍛錬が欠かせない、と私は考えているわけです。

具体例をあげると、たとえばケーキがすごく好きな知り合いがいたとして、その人と近しい関係になりたいと思ったら、まずは「私はあなたを気に入ってます」と口に出していっちゃうのがいいと思うんですけど、相手は「どうしてあなたは私を気に入ってるの?」と考えるわけです(口には出さないけど)。そこで、「私もケーキが好きだからです!」と元気良く答えると、その場はまあまあ雰囲気良く終わると思うんですけど、そこからの発展を望めるかはケースバイケースというか、上手くいくかどうかはちょっとわかりません。

重要なのは、「相手が明示していない前後の文脈や背景を読み取る」ことです。ケーキはケーキでも、チーズケーキなのかチョコレートケーキなのかタルトなのか、そもそもケーキを食べるのが好きなのか、ケーキのデザインが好きなのか、とか。近しい関係になりたい知り合いを、ただ「ケーキが好きな人」という雑な認識で終わらせるのではなく、相手のちょっとした言動とか、裏にある思想を読み取って、「チョコレートケーキのデザインが好きな人」となるまで、解像度を高めていく。そこで、「どうしてあなたは私を気に入ってるの?」と聞かれたときに(まあ、直接聞かれることはないんですが)「私もチョコレートケーキのデザインが好きだからです!」と答えると、「おお、友よ!」という展開になるんじゃないかなー、と私は思いました。「チョコレートケーキのデザインが好き」にまで解像度を高めた上で自分を「気に入ってる」といってくる人を、嫌いになる人はそうそういません。むしろ好きになっちゃう。そういうことだと思います。

では、「相手が明示していない前後の文脈や背景を読み取る」ために日頃どのような鍛錬をすれば良いのかというと、これがまた抽象的かつ迷宮入りしそうな話になるんですが、もちろん「相手の言動を逐一観察する」とかではないと私は思います。それをやったらちょっと気持ち悪いし、逆に観察しすぎることによって文脈を読みちがえることにもつながります。むしろ、「相手が明示していない前後の文脈や背景を読み取る」ためには目の前の相手からいったん離れて、自分の文脈を整えること、自分の背景を理解すること、自分の思想をかためること、これが第一歩であると私は考えます。

自分の文脈を整え、思想をかためておくと、相手の文脈や思想も読み取りやすいです(たぶん)。相手がはっきりと口に出していなくても、「あ、これってチョコレートケーキの話?」とピンと来るし、「食べるほうの話じゃなくてデザインのことをいいたいわけねこの人は!」ということも、雰囲気でわかったりします(たぶん)。

自分の文脈を整えること、自分の背景を理解すること、自分の思想をかためること、それもうちょっと具体的にいうとなんなの、という話になると、「仕事を頑張る」とか「いっぱい本を読む」とか「好奇心の赴くまま旅行する」とかそういうのになると思うんですが、ようは「やることやってる人は素敵だ」という話に回収されてしまいそうですねこれ。まあそれはそうなんですけど、いやもうちょっと複雑な話をしたかったのだ私は……。

★★★

ちなみに、「相手を粗い解像度でいったん理解しておく」ことは、必ずしも悪いことであるとは限りません。とにかくその場を良い雰囲気に、あたたかい空気にしておきたいと思うなら、ある意味で細かいことは抜きにして、「ケーキの人ねあなたは! 私もケーキ好き!」とやることで丸くおさまることもあります。細かいことは後でやればよろしい、ともいえます。私はかえってこの「相手を粗い解像度でいったん理解しておく」ことのほうが苦手で、その場を良い雰囲気にできなかったりするんですよね。こっちのほうの能力を高めることも、人によっては必要ですね。


何はともあれ、2015年ももう半分まで来てしまいました。みなさんの人間関係を考える上での、ヒントになれば幸いです。