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チェコ好きの日記

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【カンボジア一人旅/1】プノンペンの子供

私のコンプレックスは、「旅好き」を公言しているわりには東南アジアに行ったことがなくて、バックパッカー的な旅もしたことがないことでした。でも旅行者のすべてがバックパッカーじゃないんだぞ。あと私は西洋美術の勉強をしてたのでね、ヨーロッパのほうが面白いんだもん、とね……。今まで訪れたなかで最も心が動かされた街はローマです*1

しかし言い訳ばっかりしているわけにもいかないので、コンプレックスを解消する第一手段として、今年の旅先にはカンボジアを選びました。バックパッカーじゃないけどバックパックで行きました(道が悪いと思って)。というわけで、今回からしばらくはカンボジア旅行記が続きます。お時間のある方はよろしくお付き合いください。

ちなみに、日本にもどってきてまず感動したことは、「すごい、道が全部舗装されてる!」でした。

テーマパーク化する空港

今回はシンガポール航空で、シンガポールを経由して行くことにしたのですが、日本の出発地が羽田空港。私が羽田空港に最後に行ったのって実は高校生の修学旅行のときで、以降はすべて成田空港を使ってたんですよね。なので実に10年ぶりくらいの羽田だったのですが、いろいろ面白くなっててびっくりしました。

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そして途中の7時間くらいをすっ飛ばしてこちらはシンガポールの空港なんですが、この人工ジャングルと池のなかを泳ぐ鯉、羽田空港と通じるものがあるなあと思ってしまいました。空港のテーマパーク化とでもいいましょうか。
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遊ぶスペースがあったりとか。ちなみにお店が閉まっているのは、この写真を撮っているのが朝の5時くらいだからです。
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なんとなく思っただけなので根拠はまったくないんですが、今後こういうテーマパークっぽい空港って特にアジアで増えるんじゃないかなあと思いました。ていうか、もう実際にあったりするのだろうか。

ただひとつわかることは、空港がテーマパーク化することはありうることだけど、船やバスの発着所がテーマパーク化することはないってことです。それは広さとか予算とかの問題じゃなくて(それもあるけど)、もっと本質的な話として、飛行機での移動とバスや船での移動というのは、たぶん質がちがうものだからです。バスや船での移動は、雨が降ればそれがわかるし、通り過ぎていく町を目にすることができるけど、飛行機での移動というのはどこからどこへ行くときもそう変わらず、画一的です。たぶんその移動手段の発着所がテーマパーク的になることは、飛行機のような場合でしか成立しないと思うんですよね。

夜22時くらいの羽田空港発の飛行機に乗り、朝5時くらいにシンガポールに着いて、そこからカンボジアの首都・プノンペンまで行きます。現地時間の朝8時半くらいに到着しました。プノンペンは人口約150万人の、カンボジア最大の都市とのことです。

到着してからは、タクシーで予約していたホテルを目指します。空港から乗ると一律12ドル。カンボジアの通貨はリエルですが、ドルが普通に流通しております。旅行の途中で何度かリエルも手にすることになりましたが、リエルはカンボジアを出るとほぼ紙クズなので、なるべく早く使い切るようにしていました。

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ふと隣を見ると車(通常の乗用車サイズ)に9人くらい乗ってるし、バイクは3人乗り4人乗りが当たり前のようだったのですが、この国には道路交通法的なものはないんすかね……。「乗れるだけ乗っていい」ってことになってんの?

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こちらはタクシーに乗ってるときに撮った写真ではなくて、その後の観光でトゥクトゥクに乗ったときに撮ったやつですが、プノンペン、とにかく道が汚い。褐色の水たまりがそこらじゅうにあるし、ゴミも投げ捨てるのが慣習らしくみんなそのへんにポイポイ捨てるし(郷に入っては郷に従えが信条の私もここだけは郷に従いませんでしたが)、あとはこの後移動したシェムリアップも同じでしたが、ところどころ道が舗装されていないので砂埃がすごいですね。現地の人でもマスクをしている人がいっぱいいました。道が舗装されてるってすごいことなんすね……*2

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私が宿泊したホテルがセントラル・マーケットのすぐ近くにあったので、翌日のプノンペンシェムリアップ行きのバスのチケットを買うために後ほど歩いて行こうと思ってたのですが、治安的な意味じゃなくて交通安全的な意味で外がまじでおっかなかったので、ものすごい近距離だったにも関わらず観光の後にトゥクトゥクのおじちゃんに寄ってもらいました。現地の人も歩行者がほとんどいない。歩行者に冷たい街ですね、プノンペンは……。あんまりゆっくり見なかったのですが、他のエリアに行くとちがうのだろうか。

プノンペンという都市を「活気がある」とか「熱気がある」とかいう表現で形容するととても陳腐になってしまうので嫌なのですが、大音量でわけのわからない音楽が鳴っていたり、砂と得体の知れない液体を顔面に思いっきりくらったりしているうちに、神様に「お前の腐った根性をここで叩き直してやるからな!」といわれた気分になり、素直に「はい!」と思いました。根性腐っててすいませんでした……。

プノンペンの子供

話が前後しますが、空港からホテルに向かうまでの間でタクシーが停車しているとき、赤ちゃんを抱えた裸足の真っ黒な子供が窓をコツコツたたいて物乞いしてきたんですね。1人でタクシー乗ってるのなんて外国人くらいしかいないのか、道の向こう側にいても他のバイクや車をかき分けてすぐ寄ってくる。目がいいんだなあ。

びびってしまったのでそのときはなるべく目を合わさないようにしてたのですが、私は最終日まで窓をたたいてきた君のことを忘れなかったし、今もブログに書いています。

君の親はどこで何をしているの。君はどうやって1日を過ごしているの。本当は言葉を交わしてみたかったけど、タクシーはすぐに発車してしまったし、そもそも私に窓を開けてみる勇気はなかったのでした。

君が将来、文学や芸術に感動することはあるだろうか。もしかしたらないのかもしれない、と思うと気持ちが暗くなります。だとしたら、文学も芸術もくだらない、と思います。それでも、文学と芸術に関わって生きることは私にとって業のようなものなので、どんなに無力だとわかっていても、その力を信じるしかないのですが。

私はタクシーの窓を開けなかったけれど、隔てられていた君と私の間に本質的なちがいはなくて、ただ偶然、どこの国のどこに家に生まれたかという差でしかない。君は私だったかもしれないし、私が君だったのかもしれない。……みたいなことをつい考えてしまったのですが、いわゆるストリートチルドレンというやつ、実際に会ってみるとなかなか身に迫るものがありますね。あとはチルドレンじゃなくて大人ですが、両足のない人が物乞いしてたりして、なんとも形容しがたい気分になったりもしました。

暑さと街の衝撃にやられつつフラフラしてきたところで、ホテルに荷物を預け、さらなるインパクトを求めてこの後はキリング・フィールド、トゥール・スレン博物館に行きます。

次回へ続く。
aniram-czech.hatenablog.com

*1:チェコじゃないんですよね、これが。しかしプラハは美しい都市です。

*2:日本の道路によっぽど感銘を受けたらしい。