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チェコ好きの日記

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【カンボジア一人旅/4】トンレサップ湖に沿って、北上する

東南アジア

☆3.17 赤津君へ(プノンペン発)
 フィルム着きましたか? 同じような写真で使いものにならないと思っています。ここ、プノンペンの街は、いたる所に有刺鉄線あり、検問ありで、人びとの半数は迷彩服や軍服を着ていて、”戦争に慣れっこになった国へ来たんだなあ”という実感が湧いてきますが、街は、いたって平和そのもの。
 街のいたるところに、カンボジアが誇る、アンコールワットの写真、像、絵ハガキが見られます。全く、素晴らしい、神秘的な芸術だと思い、ここに落ち着くことができたら幸せだと思っています。

一ノ瀬泰造地雷を踏んだらサヨウナラ (講談社文庫)』 p36

★★★

旅行記の続きです。前回のエントリはこちら。
aniram-czech.hatenablog.com

キリング・フィールドとトゥール・スレン博物館を見た後は、翌日のバスのチケットを買いにバスターミナルへ向かいました。トゥクトゥクのおじちゃんに「シェムリアップ行きのチケットが買いたいんだよぅ。ここ、ここ」とかいって地図を見せて連れて行ってもらったわけですが、そしておじちゃんは確かにシェムリアップ行きのチケットが売っているバスターミナルへ連れてってくれたわけですが、「地球の歩き方」に載っていたソリア・トランスポート・カンパニーという会社のバスターミナルとはちがうターミナルへ連れてこられていたらしいということが後ほど判明しました。まあ結局目的地に着くことはできたので問題はなかったのですが、観光客向けではなくめっちゃ地元の人向けのバスだったようで、翌日地獄を見るハメに。

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★★★

さて、冒頭の引用文は、フリーカメラマンの一ノ瀬泰造さんが1972年、今から43年前に書いた文章です。ちなみに、一ノ瀬さんと鴨志田穣さん(西原理恵子さんの夫)を混同していたのは、きっと私だけじゃないはず*1

旅行をするとき、その土地に関する本をホテルで夜に読むのが、私は好きです。日本で事前に読んでいく本もあるけど、現地でも読む。上の文章を、私はプノンペンで宿泊したホテルで寝る前に読んでいたのですが、プノンペンにいながらプノンペンに関する文章を読むと、時間がすっと繋がったような不思議な感覚を覚えます。本の著者と、共犯者になったような感覚。一ノ瀬さんが見ているのは1972年のプノンペン、私が見ているのは2015年のプノンペン

43年の時を経たプノンペンの街は、有刺鉄線はあんまりありませんでした。つまり、ちょっとはあった。キリング・フィールドを囲むように張り巡らされた有刺鉄線と、その隙間を上手いこと見つけて物乞いしてくる子供たち。でも迷彩服を着ている人も、軍服を着ている人も私が見る限りではいなかったし、検問もなかったです。タイとの国境近く、プリア・ヴィヘア寺院の付近で銃撃戦があったりもしたらしいですが、街は、いたって平和そのもの、といって差し支えないのではないでしょうか。アンコールワットの写真、像、絵ハガキはやっぱり至るところで売っていますね。そこは、43年前と変わらないようです。

今は亡き一ノ瀬泰造さんに、勝手にレポートです。しかし、あなたがクメール・ルージュによる虐殺を見ずにこの世を去ったことは、はたして幸福だったのか、不幸だったのか。カンボジアに、ベトナム戦争をさらに上回る悲劇が訪れたことを、あなたは予測していたでしょうか。

この国をとても大切に思っていたあなたがそのことを知らなくて、ただのツーリストである私がそのことを知っているのは、なんだか不公平なような気がします。時間も歴史も歪んでいるように思います。とりあえず、なんか変です。

一ノ瀬泰造さんは、1973年11月、アンコールワットへ単独潜行したまま、消息を断ったそうです。

クメール・ルージュの軍隊がプノンペンに突入したのはその約1年半後、1975年4月のことです。

プノンペンからシェムリアップ

翌日、9:30発のバスに乗るために、ホテルからバスターミナルへ移動します。「徒歩でいけるっしょ」と普通に思うくらい近距離だったのですが、交通量が多すぎて怖かったので、昨日と同じトゥクトゥクのおじちゃんに送ってもらいました。

ターミナルに着いたはいいものの、旅行者らしき欧米人とかが全然いない。まわりの人がみんな英語ではなくクメール語をしゃべっているので、若干びびる私。その辺をウロウロしている犬に怯えながら、1人ぽつんとバスを待っておりました。


と、そこによく見ると、ベンチの奥のほうに縦書きの本を読んでいる人を発見しました。縦書き! 向こうの方も私に気付いたようで、どちらからともなく「日本の方ですか……?」と声をかけ、シェムリアップまでの道中をご一緒することになりました(バスに乗るだけだけど)。

彼は大阪在住の男性だったのですが、プノンペンでは軍の施設でロケットランチャーを撃って遊んでみたそうです。ロケットランチャーとは、歩兵が持ち歩くミサイルみたいなやつ。平和になったので観光客向けに体験できるよう解放しているようです。でも、1発4万円。動画を見せてもらいながら「私も撃ってみたいです〜」と気軽にいったら1発4万円。次にプノンペンに来ることがあったらやってみようかなと思ったけど、諦めるかもしれません。

バスは意外にも時間通りに来ました(5分遅れくらい)。が、私とその日本人男性以外は全員地元の方ばかりのバスで、エアコンという近代的設備が故障していたらしかったのがキツかったです。蒸し風呂のような暑さのなか、舗装されてない道を揺られること7時間。

こちらはまだプノンペン市内を走っているので入り口のドアが閉まってますが、最終的にここのドアを開けっ放しで走ってました。
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あと、繰り返しますが道が舗装されていません(尻が痛くなったのでとても根にもっている)。
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それと、結局わからないままだったのですが、田園風景のなかにちょくちょく現れるこんなかんじの建造物、正体は何だったのでしょうか。「田園風景のなかに突如現れる派手な建造物=ラブホ」という乏しい思考回路しかもっていない私なのですが、ラブホじゃないですよね。何なのでしょう。
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バスのなかで、私は窓の外を見たりiPhoneの地図で現在地を確かめたりしていたのですが、国道6号線トンレサップ湖に沿って北上するようなコースを走っていたようです。トンレサップ湖は、アジア最大の淡水湖。乾季の頃は東京都とちょうど同じくらい、雨季になるとメコン川から水が流れ込んできて、東京都の3倍くらいの大きさになるそうです。まさに「拡大縮小する湖」。私は船には乗らなかったのでわからないですが、湖のまわりには水上生活者の方が住んでいるそうです。

参考:椎名誠メコン・黄金水道をゆく (集英社文庫)

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途中、サービスエリア的なところで休憩をはさみつつ、後半はスコールでドロドロになった道を走りながら、17時頃シェムリアップに到着しました。日本人男性とはシェムリアップの市街地でお別れ。まじで土がドロドロなので、黒いスニーカーが黄土色になりました。

旅行記はまだまだまだ続きます。

*1:私だけ?