タダ券をもらったので、
先日横浜美術館で開催されている『横山大観展』に行ってきました。
横山大観展 ― 良き師、良き友
が、私は西洋美術脳なので、日本・東洋美術については、いまいちその魅力をよくわかっていないんじゃないかと我ながら思っているわけです。
なのでこの『横山大観展』も、掛け軸とかその他もろもろの有名な絵を見ても、正直「ふ〜ん、そうなの……」という感じでした。
ただ1つ、「屏風」というジャンルをのぞいては。
屏風カッコイイ!
上記の画像は、現在横浜美術館で見ることができる横山大観の『寒山拾得図』です。ネット上の画像だともちろん真っ平らなんですが、実際には「屏風」なので、ギザギザに折った状態で展示されています。
※こういう感じ
ギザギザなので、「屏風」って2次元の絵だけれど、実は“立体”なんですよ。
もともとそれなりのデカさがある作品だということもあるけれど、空間を切り取っているのでめちゃダイナミック。ど迫力だし、金箔ギラギラだし、まじでカッコイイです。
金一色の部分も、光の当たり方で微妙なグラデーションが生まれ、見る位置を変えると絵も表情を変えます。
ギラギラとはちょっとちがうけれど、こちらの『秋色』もすごかった。色が鮮やかすぎて、めまいがするくらいです。
横山大観 『秋色』
★★★
そんな感じで横山大観展にて「屏風」のカッコよさに目覚めた私は、自宅にもどって本やネットから画像をあさること数時間。
金箔ギラギラもカッコいいですが、墨で一色、さっと描かれた屏風にも凄味があります。
長谷川等伯『松林図屏風』
能阿弥 『花鳥図屏風』
黒の濃淡だけでここまでの世界観を表現できるって、もう驚きです。
でも、屏風で傑作といったら、私にとってはやっぱりこれしかないかもしれない。
曾我蕭白の『群仙図屏風』。
蕭白のこの屏風は、何というかだいぶ“きちゃってる”感じです。描かれているのは「仙人」なので、みな普通の人間ではありません。仙人さまたちは子供(?)と遊んだり女性に耳掃除をしてもらったりしているわけですが、全員気がふれています。牧歌的で平和そうな情景なのに、描かれているものはどぎつくて変態的。
こっちの部分が特に好き。
曾我蕭白は近年になってようやく国内で再評価が始まったところで、それまでは日本美術界においてただの江戸の二流画家と見なされていたようです。概説書でもわずか1〜2行に簡単に書かれて終わりだったんだとか。そのせいか、たくさんの作品が海外に流出してしまっており、めぼしいものの多くはボストンにあるようです。
いつか生で見てみたい作品ばかりなので、次に日本に来たときはチャンスを逃さないようにしたいもの。
★★★
横山大観の話をがんばってしようと思ったら、曾我蕭白になってしまった……
あ、キワモノな日本美術がお好きな方は、辻惟雄先生の『奇想の系譜』という本が面白いのでおすすめです。
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