「呪い」というと、ホラー映画に出てくるようなヤツや黒魔術など、何だかおどろおどろしいものを想像してしまいますが、
最近よく思うのは、私たちのまわりには実にいろいろな「呪い」がしかけられていて、私たちは誰しもが、その巧妙な「呪い」に足をすくわれているなぁ、ということです。
5月に職種変更をしたこともあって、
(詳しい経緯はコチラブラック企業に入っても、人生詰まない5つのポイント - (チェコ好き)の日記)
余計にいろいろ考えてしまうのかもしれません。
今回は、私が最近考えていたことの一部を、少し書いてみようかと思います。
★★★
自分がAタイプか、Bタイプか見極めよう
私は、世の中には2種類の人間がいると思っています。
Aタイプ=仕事に情熱を注いで邁進するタイプと、
Bタイプ=食べていくために、ぼーっと仕事するタイプ。もしくは、仕事をしないタイプ。
それで、自分がどちらのタイプなのか、社会人1年目~2年目くらいのうちに、ある程度見極めたほうがいいと思うのです。
ちなみに、大学生である内にこれを見極めようとするのはおすすめしません。なぜなら、大学生は何の根拠もなしに「自分はAタイプだ!」と思いこんでしまうから。実際に「学生」という身分を卒業して、就職するなり起業するなりニートになるなりしてみないと、自分がどちらのタイプなのかは見極められません。
さらにいうと、世の中の9割の人はBタイプです。本当の意味でAタイプの人なんて、ほんのちょっとしかいないと思う。
でも、誤解してはいけないことは、Aタイプ>Bタイプではない、ということです。性格というか、趣味嗜好の問題で、どちらかに優劣をつけることなんてできません。
むしろ、Aタイプの人よりBタイプの人の方がいい仕事をすることだってありうるでしょう。
「早く帰りた~い」「だるい……」「会社行きたくない」
なんて思っている人の方が、「日本の未来のために!」とがんばっている人よりものすごいパフォーマンスをしちゃうことだってあると思うわけです。
……なんていうふうに思ったのは、前職で働いていた2年間、3秒に1回くらい「働きたくない」と考えているくらい仕事が嫌いだったくせに、振り返ってみると、「あれはあれでけっこう楽しかったな」と感じる自分がいるからです。ま、もう一度やりたいとは思わないけれど。
「食べていくために、ぼーっと仕事する」ことは、地味ではあるけれどそれなりに楽しいし、ぼーっとやっているなりの醍醐味もあります。
なので、「ぼーっと仕事をしている」人は、「仕事は楽しくないといけない! 社会に貢献しないといけない!」みたいな呪いから、自分を解放してあげたほうが良いです。
男性は分散せよ、女性は特化せよ
以前書いた、プライベートを優先したらダメなんでしょうか - (チェコ好き)の日記というエントリのなかでも少し触れているのですが、
私たちの日本では、男性には男性の、女性には女性の呪いがかけられています。
私は女性なので、当然女性の“呪い”を意識してしまうことのほうが多いです。
女性にかけられている“呪い”とは、パーフェクトであれ、という呪いです。
キレイでいなければいけない。若くなくてはいけない。家庭的で、料理が上手くなければいけない。結婚していなくてはいけない。子供がいなくてはいけない。さらに、近年の経済状況の変化により、これに「経済的に自立し、男性と同等、あるいはそれ以上に稼がなければいけない」というプレッシャーが加わります。
そんなん、全部できるわけないやろが! と思ってしまいます。
一方、男性はというと、これはこれで大変です。男性にかけられている“呪い”とは、仕事で成功せよ、という呪いです。
男性は、料理ができなくてもいい。イケメンでなくてもいい。結婚していなくてもいい。でも、ただ1つ、仕事で成功していなくてはいけないのです。他がどんなに満たされていても、仕事で結果が出せていなければ、「イマイチな感じ」になってしまう。
私が男性だったら、仕事以外でも評価してくれよ……と、思っていたにちがいありません。
そろそろ、お互いの性別にかかっているこの“呪い”を解いていかないと、みんなしんどいのではないかと思うわけです。
女性は、仕事でバリバリ稼いでいるんだったら、他はどうだっていいではないですか。もしくは、子供を立派に産み育てていれば、変なぐるぐるパーマでスーパーの袋からネギを出していたっていいではないですか。
男性は、仕事以外の評価軸をもっと広げていったほうがいいと思う。年収が200万くらいでも、料理がすごく上手かったら別にいいではないですか。教育熱心で教養にあふれるパパだったら、無職でもいいではないですか。
男性は評価軸を分散させましょう。そして、女性は特化させましょう。
そうしたら、もう少しバランスが良くなる気がする。
ダメなロールモデルがあったらいいのに
こちらも以前のエントリで書いたことがある話題です。
老いと成功|finalvent氏『考える生き方』を読んで - (チェコ好き)の日記
世の中にいる、「ロールモデル」とよばれている人の大半は、皆「成功した人」なんですよね。
本当は、何が「成功」かなんて一概にはいえないし、「成功した人」として世間に認知されているあの人やこの人にも、ダメなところがいっぱいあるんじゃないかと思うんです。
ただ世の中ではとにかく、「成功した人」の「成功した側面」という、非常に限定的な部分にしかスポットライトを当てません。だから、私たちは無意識にそういうものを目指してしまう“呪い”にかかってしまっています。
「自分も成功したい! 成功しなければ!」といろいろ焦らせたほうが、経済効果があるので、きっとそういう構造になっているんだと思いますが、これもそろそろしんどいですよね。
「ダメだった人のロールモデル」っていうのがあったら、救われる人も多いと思うんですけどね。
★★★
ちなみに、今日の“呪い”という言葉は、私のオリジナルではなく、以下の本から拝借しました。
どちらも、今回私が書いたような“日常のモヤモヤ”を言葉にし、分析している本です。モヤモヤを考えてみたい方にはおすすめです。
- 作者: 津村記久子,深澤真紀
- 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店
- 発売日: 2013/03/28
- メディア: 単行本
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- 作者: 内田樹
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2011/11
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