チェコ好きの日記

もしかしたら木曜日の22時に更新されるかもしれないブログ

どのへん?

みなさん、西洋美術に関心はおありですか?

【NO】の方→そうですか……このエントリで関心を持っていただければ幸いです。
【YES】の方→どのへん?




常日頃ってほどでもないですが私が気になっていること。
それは、「みんな西洋美術は“どのへん”が好きなんだ?」ということ。

ちなみに私は、

このへん

★★★

西洋美術に関心があるに【YES】と答えてくれた方なら、きっと「好きな絵画」があったり「好きな画家」がいらっしゃるのではないかと思います。
でも、それを「美術史」という枠のなかで捉えられているか、というと、必ずしもそうじゃない方もいるかもしれません。

5月頃、私は国立新美術館でやっていた『エルミタージュ美術館展』と、森美術館でやっていた『イ・ブル展』を、1日で両方おとずれたのですが→エルミタージュ展に行ってきた! - (チェコ好き)の日記、そのとき、(わかっちゃいましたが) 改めて「おお!?」と思ったのです。

エルミタージュ展は人・人・人でごった返しているのに、イ・ブル展は誰も(3人くらいしか)いない!

この2つの美術館間は歩いて数分、どちらも六本木にあるわけで、立地は関係ありません。
現代アートのイ・ブル展よりも、伝統的な西洋美術であるエルミタージュ展のほうが人気があったということです。

なぜこのように来場者数に大きな差が出るのかというと、おそらく伝統的な西洋美術のほうが、現代アートよりも「わかる」、と多くの人が思っているからでしょう。

この、芸術が「わかる」という言い方。これ、非常に難しい問題だなぁと私は大学時代から思っています。なぜなら、芸術を「わかる」「わからない」という二分法で考えてしまうと、鑑賞する人はその本質を見失ってしまうからです。
この話は、長くなるので別の機会にしますが。

話を戻しまして、伝統的な西洋美術と現代アート。「わかる」「わからない」という言葉はあまり使いたくないのですが、あえてこの言葉を使うならば、どちらが「わかりやすい」かというと、実は圧倒的に現代アートのほうがわかりやすいはずなのです。なぜかというと、私たちは現代人だからです。 現代アートが生まれる、“現代”の感性や感覚をいちばん理解しているのは、いうまでもなく“現代人”です。

では西洋美術はというと、こちらは鑑賞するにあたって、それなりの教養が必要になります。
なぜなら、私たちは西洋人でもなければ、西洋美術が生まれたその時代に生きていたわけでもないからです。そもそも、近代以前の西洋美術は貴族がお金を出して芸術家を囲い込むことによって成り立っていたので、庶民が楽しむにはなかなか難しいものが多いのです。

「それなりの教養」には、世界史の知識だったり、キリスト教やギリシャ神話の知識だったりがあると思うのですが、その柱となるのはもちろん「美術史」です。
感性や感覚で見るのも否定はしませんが、一般的な教養を身に付けてから見たほうが、圧倒的に面白いです。

でも、イチから美術史の本を読んだりするのもダルイと思うので、もし「どのへん?」と聞かれて「あれ、どのへんだ?」と思ってしまった方がいたら、自分の好きな絵や作家だけでいいので、美術史のどのあたりに位置している人なのかを確認してみてほしいです。

そして、その作品が描かれた「時代」に注目し、ヨコのつながりなんかを見ていくと、けっこうおもしろいことがわかってきます。「アタシってやっぱりそうだったのね……!」みたいな。

★★★

無理やり「教養」とか「美術史」の話にくっつけましたが、純粋にみんながどのへんが好きなのか知りたいです。
そば派かうどん派か、醤油派か味噌派かという話です。

ちなみに私はマニエリスム象徴主義、そして専門分野であるダダ・シュルレアリスムがお好み。
西洋美術を詳しく知りたい方はこちらの本がおすすめです。

カラー版 西洋美術史

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名画の言い分 数百年の時を超えて、今、解き明かされる「秘められたメッセージ」

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