「私は日本人が嫌いです。だけどこのホテルに日本人いなかったら私は家へ帰ります。そしてご飯は食べません」
と、ここで覚えた日本語で話すのがいます。
「きれいネ」と言うと、嬉しそうな顔をして、
「信じられないワー、信じられないワー」
他から女を拾ってきた翌日。その娘、思いきり僕をにらんで、
「あなた悪い! 私これです」といって、鬼の角をつくる。思い出したらきりがないくらい、可愛い女が多いけど、まずはインドの女が最高に可愛かったので。
こちらは、プノンペンに入る前に一ノ瀬さんがバンコクで立ち寄った日本人向けのパンパンハウスの描写ですが、ホテルで読んでいたら思わず笑ってしまいました。「あなた悪い! 私これです」って何だ、かわいいな。
私も気に入らないことがあったときに男の人にやろうかな、と思ったのですが、アラサーがやったらキツイかもしれないので、思いとどまっておきます。でもかわいいなあ。
★★★
旅行記の続きです。プノンペンから7時間ほど、エアコンなしのボロバスに乗って(暑すぎて死ぬかと思った)、カンボジアで最も有名な観光地であるアンコール・ワットがある、シェムリアップに着きました。前回のエントリはこちら。
aniram-czech.hatenablog.com
到着したホテルで日記を書いたりお金の計算をしたりしていたのですが、何だか予想外にお金を使いすぎている。なぜだ*1。よくわからないけどお金がないことが判明したので(計算は合っていたのでスられたわけではない)、この日から緊縮財政を強いることになってしまったのでした……。
気を取り直して、翌日の朝はとりあえずアンコール・ワットを見ようと思って、ホテルの外に出ていろんなトゥクトゥクと交渉します。アンコール遺跡をめぐるには大回りコースと小回りコースというのがありまして、それぞれ見学可能な遺跡が異なってきます。私は1日目を小回りコース、2日目を大回りコース、そして3日目には郊外の遺跡をめぐることにしたのでした。
交渉の結果、シェムリアップでは、おじちゃんというよりは兄ちゃんというかんじのトゥクトゥクドライバーにお世話になることに。1日目の小回りコース、「20$ね」といわれたのですが、「金がないから15$にしよう」といったら負けてくれました。でも交渉上手な方はもっと安くできると思います。私は値切るの下手です。
3日間世話になった兄ちゃん
はい! というわけでアンコール・ワット!
アンコール・ワットをはじめとした観光地で得たすごいどうでもいい気付きとしては、中国人が自撮り棒めっちゃ持ってると思いました。君ら、遺跡見てないだろ。自分しか見てないだろ。
まあそれは冗談にしても、自撮り棒で撮影するのって日本人と韓国人と中国人がメインで、他の国の人はあんまりやってないように見えました。自撮り自体は世界各国の人がやっていると思うんですが、自撮り棒っていかにもこの東アジアの国々の産物ってかんじが私にはします。もともとは日本の発明なんでしたっけ? こういう細かいこと考えるの得意ですよね、日本は。
アンコール・ワットは12世紀前半、スリヤヴァルマン2世の治下において、ヒンドゥー教の影響を受けて建造された寺院だといわれています。第一回廊には、インドの叙事詩『マハーバーラタ』と『ラーマーヤナ』が描かれています。正直どのレリーフがどの物語を表しているのかサッパリではあったのですが(詳しく知りたい方はガイドをつけよう)、「乳海攪拌」という話は面白いなと思いました。
こちらのレリーフは「乳海攪拌」ではないのですが(ちがうのかよ)、こちらの神話はヒンドゥー教の天地創造の物語らしい。ヴィシュヌ神が綱引きをしながら海中をかき回し、1000年ほど攪拌して、そのなかからヴィシュヌ神の妻や、不老不死の妙薬「アムリタ」が生まれたといわれているようです。
四方八方、柱という柱に凝った装飾が施されていて、端的に申し上げて「狂ってる」と思いました。あのね、現代建築はこんなことしないですよ。だってなんか、こんなに飾り付けるの意味がわからないもん。「そこ、装飾いります?」ってところにまで彫刻が施してあって、狂ってるけど見ていたらだんだん楽しくなってきました。超暑かったけど。
アンコール・ワットの見学を終えたら、次はまたトゥクトゥクに乗って、アンコール・トムのほうへ。南大門から入り、まずはバイヨンという遺跡から見ます。
バイヨンで有名なのは、上記の写真、ほほ笑みをたたえた観世音菩薩のモチーフ。ここで「あれ?」と思うのは、アンコール・ワットやその周囲のアンコール遺跡って、結局ヒンドゥー教なの仏教なのどっちなの? ということだと思うんですが、正解は「混ざってる」とのこと。アンコール王朝の王が信仰する宗教が、ヒンドゥー教になったり大乗仏教になったりまたヒンドゥー教にもどったりしたらしいです。
しかしバイヨン、かっこいいのはいいんだけど、周囲をぐるっと池(水たまり?)が囲んでいるので、方向感覚が狂いますね。出口の場所を間違えたみたいで、トゥクトゥクの兄ちゃんを探すのにめっちゃ苦労しました。
遺跡巡りは続きます。次はパブーオン。パブーオンとは、隠し子、という意味らしいです。
伝説によると、昔むかしそのまた昔、シャム(現在のタイ)の王様がカンボジアの王様に、王子である自分の息子をちょいと頼むよといって預けたんだそうです。ところが、廷臣たちは「シャムの王子がカンボジアを奪いに来た!」と大騒ぎ。カンボジアの王様は、シャムの王子を殺してしまいます。
怒ったシャムの王様は、カンボジアに大軍を進攻させます。そのとき、カンボジア王妃はシャムの軍に自分の息子を殺されないように、このパブーオンに王子をそっと隠したのだとか。
中心部にたどり着くまでのながーい道のりを歩いていると、ここに我が子をひっそりと隠した王妃の気持ちも理解できるような気がしてきます。なんだか見つからなそうです、ここなら。
今回はこのへんで。次回に続きます。
参考文献
TRANSIT(トランジット)23号 美しき水と密林の奥―ベトナム・カンボジア・ラオス― (講談社 Mook(J))
- 作者: ユーフォリアファクトリー
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2013/12/16
- メディア: ムック
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*1:たぶん、物価安いと思ってナメていたら意外に観光客価格だった、というあたりが原因かと