チェコ好きの日記

もしかしたら木曜日の22時に更新されるかもしれないブログ

AMの連載でとり上げた本のまとめ(No.21〜30)おすすめ優先度付き

AMの連載でとりあげた本をブログにまとめている。めちゃくちゃ溜まってしまっているので、ここで30冊目までをまとめておきたい!

aniram-czech.hatenablog.com

第21回 「他人の目は気にしなくていい」…だけど他人に愛されたい。どうしたら?

国境のない生き方: 私をつくった本と旅 (小学館新書)

国境のない生き方: 私をつくった本と旅 (小学館新書)

おすすめ優先度 ★★★★☆

ヤマザキマリさんのこのエッセイに出てくる、「人間に愛されることも大事だけれど、地球に愛される人になりなさい」という言葉が私はすごく好きで、救われている。ただ、ピンとこない人には全然ピンと来ず、「はあ?」って感じなんだろうとも思う。私はもともと「他人に愛されたい」という要求があまりないのですっと入ったのだけど、このあたりの話をもっと読みたいと思ってくれる人がもしいたら、noteも合わせて目を通してみてほしい。

第22回 恋に溺れられるのは、依存する女ではなく、信念のある強い女であること

生きて行く私 (角川文庫)

生きて行く私 (角川文庫)

おすすめ優先度 ★★★★☆

宇野千代の自叙伝である。宇野千代岡本かの子向田邦子、2019年は気骨のある女性の本をたくさん読んだなあ。宇野千代は若い頃に散々浮気をしたあとで、晩年は自分が夫の浮気で捨てられてしまうので、一部の人は「因果応報」だと彼女を馬鹿にもするのだろう。でも宇野千代は、そのことを後悔していないという。そのとき本当に好きなものを、興味があるものを、人間でもその他の対象でも、一心に追い続ける。何よりこの自叙伝を書いたのが85歳だから、実にパワフルな人だったんだなあと思う。宇野千代の言葉「わたし、あなたが好きよと言って、真っ直ぐに、ぴたっとその人の眼を見て言ってごらんなさい。いやだと言って、断るものはありませんから 」の破壊力がすごい。

第23回 意味はなくただそこに「好き」がある。南米で考えた「不倫」について

不倫と南米―世界の旅〈3〉 (幻冬舎文庫)

不倫と南米―世界の旅〈3〉 (幻冬舎文庫)

おすすめ優先度 ★★★★★

2019年にアルゼンチンに行ったので、前にも読んでたんだけどアルゼンチン関連として再読した吉本ばななの小説。私は吉本ばななについては
チエちゃんと私 (文春文庫)』がいちばん好きで、この『不倫と南米』は2番目くらいに好き。特に好きな話は、イグアスの滝が出てくる短編だ。不倫相手と一緒に雨が降るのを見つめている描写がとても美しい。

第24回 イケてるやつほど地元を出ない?出自や世代について話したくなる『私がオバサンになったよ』

おすすめ優先度 ★★☆☆☆

ジェーン・スーさんがさまざまな人と対談している本で、さらっと読める。スーさんは東京出身なんだそうだが、東京出身の人が書く「東京」よりも、雨宮まみさんなど地方出身者が書く「東京」のほうが、東京の本質をよく捉えているしドラマチックに感じることが多い。私は神奈川県の出身なので、東京出身ではなく地方出身者というほどでもない非常につまらん人間であり、東京出身者にも地方出身者にも両方コンプレックスを感じるというとてもアンビバレントな存在である。

第25回 あなたは「衝動買い」しますか?私たちがお金を払っている“本当のもの”

しあわせのねだん (新潮文庫)

しあわせのねだん (新潮文庫)

  • 作者:角田 光代
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2009/03/02
  • メディア: 文庫
おすすめ優先度 ★★★☆☆

角田光代さんの買い物エッセイ。特に印象的だったのは、あとがき(たぶん)にあった、「貯金ばかりが多くて自分の好きなものの話が何もできない中年男性」のこと。あんまり自己啓発っぽいことは言いたくないのだけど、若いうちはあまりケチらずお金を使ったほうがいいと私は思う。……という話を、noteにも書きました。

第26回 20代前半からの婚活もアリだが、その先長いのが人生だ。向田邦子の短編エッセイ

男どき女どき (新潮文庫)

男どき女どき (新潮文庫)

  • 作者:向田 邦子
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1985/05/28
  • メディア: 文庫
おすすめ優先度 ★★★★☆

Dybe!のコラムでも書いたし、2019年は向田邦子ネタをちょっと使いすぎたな感がある。向田邦子は、小説はもちろん美意識のある暮らし方や料理や器など、憧れ要素が多いですよね。旅が好きだったことにも親近感がわく。

第27回 好きな人に「ネトスト」したことある?SNS時代特有のストーカーの実態

ストーカーとの七〇〇日戦争

ストーカーとの七〇〇日戦争

おすすめ優先度 ★★★☆☆

内澤旬子さんのこのエッセイは、現在の状況に法律が追いついていないことの代表例みたいな話だった。不謹慎な言い方かもしれないけど、この本は何よりもまず面白い。一気に読める。

第28回 顔面偏差値もセックスの好き嫌いも関係ない。私は私の欲望に正直になっていい

きりこについて (角川文庫)

きりこについて (角川文庫)

おすすめ優先度 ★★★☆☆

2019年はルッキズムについてよく考えていた年でもあった。私の中での結論は、おそらく多くの人は「逆では?」って言うと思うんだけど、仕事には容姿が少なからず影響する。が、恋愛には実はあまり影響しない。なぜなら、私の解釈では、美しい容姿とは「入り口」だからだ。仕事の入り口は常に広げてあることが望ましいが、恋愛においては基本的に決まったパートナー数人としか関係を築けない(ポリアモリーの場合などにおいてもである)。つまり、入り口が無関係とまでは言わないが、その後の関係性の構築や満足感において恋愛に容姿はあまり関係ないというのが私の結論である。

第29回 あの谷川俊太郎も「ひとり暮らし」!むなしくなったら思い出して

ひとり暮らし (新潮文庫)

ひとり暮らし (新潮文庫)

  • 作者:谷川 俊太郎
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2010/01/28
  • メディア: 文庫
おすすめ優先度 ★★★★☆

このエッセイに登場する、「人間の基本単位はひとり」という谷川俊太郎の思想が私はとても好き。もちろん2人以上で暮らす楽しさや喜びはあるだろうが、暮らしや生き方を一時的ではなく永久に「2人以上セット」で考え続けることは、あまり望ましくないのではないかと私は思っているのだった。

第30回 高望みしない「普通」なんて生き方は、逆に自分を追い詰める

新編 普通をだれも教えてくれない (ちくま学芸文庫)

新編 普通をだれも教えてくれない (ちくま学芸文庫)

おすすめ優先度 ★★★☆☆

「普通」という言葉は現在、多くの場合においてちょっと息苦しい使われ方をしているように思う(そんなの"普通”じゃないよ、など)。今使われている「普通」という言葉が「だれでも持っているもの」「どこにでも普遍的にあるもの」というニュアンスを持っている以上、それを手にできなかったときに、おそらくすごく苦しい思いをする。とはいえ、やっぱり多くの人は王道ルートにのって人生を歩んだほうが生きやすいのかなあ。

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こちらの連載が書籍化されたやつも、引き続きよろしくお願いします。私はそろそろ2020年の旅行計画を立てます。