チェコ好きの日記

もしかしたら木曜日の22時に更新されるかもしれないブログ

映画

Amazonプライム会員が無料で観られる私の好きな映画10本+有料5本

リモートワーク生活が始まっており、今週の私の外出はといえば「近所のスーパー」「近所のタイ古式マッサージ」「税務署」の3箇所のみとなっている。税務署は確定申告ね。ひとり暮らしだし喋る相手もいなくて寂しいかなと思ったけど、私は元来、超根暗のオタ…

階級社会とスノッブ:『バーニング』と『納屋を焼く』

イ・チャンドンが村上春樹の『納屋を焼く』を映画化した『バーニング』を観てきたので、感想メモ。 ちなみにアップリンク吉祥寺で観たのですが、「伊良コーラ」なるクラフトコーラも美味しかったし、「ミニシアター・コンプレックス」というコンセプトも、ミ…

お気に入りの映画音楽でプレイリスト作った

Spotifyで私がたまに通勤電車の中とかで聴いているお気に入りの映画音楽のリストを作りました。でもIT企業に出入りしているわりにはクソほど情弱なのでちゃんと公開できているのかわかりません。「見られない!」とかあったら教えてください。あとめちゃ本名…

個人的なオールタイムベスト10の映画

「好きな映画を10本あげてくれ」といわれたらそのときどきで気分によって3〜4本入れ替わったりするのだけど、2019年1月時点だと私はこれらの映画が好きだ、と思うやつを10本まとめました。何のために? 自己満足のために……。なお、上位の作品は本当に好きな…

渦巻く嫉妬と『世紀の光』

前回の日記やTwitterなどで「私は『カメ止め』を評価しない!」みたいなことを散々いっているのだけど、これはまあ、バレているかと思うが嫉妬というか、マウンティングである。どういう類の嫉妬/マウンティングなのかというと……。 たとえば、合コンに行くと…

新海誠化していくこの世界

今年の一月、新海誠監督の『君の名は。』が地上波で放映されたことは記憶に新しい。 私は映画館で観た派だったのだけど、「文句つけてやらあ! 文句文句!」と喧嘩腰で臨んだところ、普通に感動しホロホロと泣いてしまった。「東京」をあんなにも美しく描い…

『万引き家族』の謎と(私の)解釈

是枝裕和監督の『万引き家族』を観てきた。第一印象として適切かどうかはわからないが、「なんだか〈謎〉の多い作品だなあ」と、まずは思った。もちろんこの〈謎〉は、是枝監督が意図的に残したものだろうと思う。 しかし、これを書く前にすでにいろいろな人…

思い出を愛しているの?

1. 「誰」を愛しているの? 数年前、恋人と一緒に見たとあるテレビ番組のことを、よく覚えている。 番組の特集は「認知症」で、画面に映っていた高齢のご夫婦は、旦那さんのほうがほぼ寝たきりで、おまけに認知症を患っていた。奥さんは、その介護をしている…

SNSが過剰に発達したディストピアを描いた『ザ・サークル』はあんまり面白くなかったけど面白くなさ故に考えたことがある

「コイツ、趣味悪いな!」と思われたら悲しいのだが、「ディストピアもの」が好きである。「ディストピアもの」なんてジャンルは正式にはないので私が勝手にそう呼んでいるだけだけど、未来/近未来/平行世界などに存在する魔境を舞台に描かれた物語には、昔…

30歳女が観る"デキちゃった"映画『イレイザーヘッド』

このブログを書いている人は現在30歳の女性であるが、しかし実際の中身はオッサン……ではなく、ガリガリに痩せている病的にナイーブな16歳の少年である。そう、ちょうどガス・ヴァン・サントの映画に出てくるみたいなね。毎日ストリートでスケボーしてるし。…

「婚活でパワースポット巡り」なぜダメなの?

「これ、別に当たってなくない……?」と感じることのほうが多いので、基本的に占いを信じていない。とはいえ、美容院とかで雑誌を渡されるとなんだかんだでブツブツ言いながら最後のほうのページを見ているし、またネットの占いも文句を言いつつけっこう見て…

天皇にパチンコ玉、奥崎謙三を追う『ゆきゆきて、神軍』

先日、渋谷アップリンクにて原一男監督の『ゆきゆきて、神軍』を鑑賞してきたので感想文を書く。実は初見だったのだけど、脳が沸騰するくらい面白かった。上映後には原監督と映画史研究家の春日太一さんのトークショーがあり、そこで原監督が「これ、30年前…

憧れのあの人に近づくために何をするか

ブルース・リー主演の『燃えよドラゴン』は、映画史上で唯一、五大大陸のすべてでヒットした作品なのだそうだ。イスラム教圏の人も、キリスト教圏の人も、仏教圏の人も、みんなブルース・リーが大好き。理由はもちろん、映画の中で「アチョー!」という意味…

最後でなんだかすっごく笑う イエジー・スコリモフスキ『イレブン・ミニッツ』

イエジー・スコリモフスキというポーランドの映画監督が作った『イレブン・ミニッツ』という映画を観ました。『イレブン・ミニッツ』は今後全国で公開していくようなので、劇場情報などの詳細は公式サイトで確認してみてください。スコリモフスキ(噛みそう…

青森で考えた『シン・ゴジラ』の感想

『シン・ゴジラ』を8月の上旬に観てもう1ヶ月以上経っているんですが、観た直後は正直「これ感想とか書かなくてもいい系のやつだな」と思ってしまいました。それは決して「つまらなかった」というわけじゃなくて、むしろクソつまらなかったらクソつまらなか…

2016年上半期に映画館で観た映画のまとめ/『オマールの壁』など

2016年が半分終わってしまいました。自分用メモも兼ねて私が上半期に映画館で観た映画をまとめます。映画館で観た映画なので、DVDなどでの視聴は含んでいません。全部面白かったので、公開が終わってしまったものもありますが、まだやっているやつもあるので…

森達也『FAKE』 佐村河内さんと新垣さん

ユーロスペースで連日満員御礼、ドキュメンタリー映画としては異例のヒットをとばしているらしい森達也監督の『FAKE』を観に行きました。15年ぶりの新作だそうです。森達也監督は、オウム真理教信者のドキュメンタリー映画(本もある)『A』や『A2』、低身長…

正義も悪も区別なし/メキシコ麻薬戦争のドキュメンタリー『カルテル・ランド』

先日、TBSの『クレイジージャーニー』で犯罪ジャーナリストの丸山ゴンザレスさんによるメキシコ潜入取材の様子が放映されていましたね。そのへんの道路に拷問を受けた(と思われる)死体がフツーに転がってるという、ちょっとありえない映像でしたが、そうい…

自爆テロって、どんな人がやるんだろう? 『パラダイス・ナウ』

先日4月16日から、『オマールの壁』という映画が渋谷アップリンク等で公開されています。『オマールの壁』ってどんな映画? という人は、よろしければ以下をご覧ください。aniram-czech.hatenablog.comそれで、『オマールの壁』と同じハニ・アブ=アサド監督…

よくある三角関係の話……にならなかった話、『オマールの壁』

男の子二人と、女の子が一人いるんですよ。三人は幼馴染なんですが、男の子二人がそろって一人の女の子が好きなわけです。まあ、よくある話ですね。だけどこの一人の女の子もちょっといけないところがあって、二人の気持ちを知っていながらどっちつかずの態…

観光客と旅行者/『シェルタリング・スカイ』

「観光客? ”旅行者”よ」 「どう違う?」 「着いてすぐ帰ることを考えるのが”観光客”」 「”旅行者”は帰国しないこともある」 「”旅行者”は帰国しないこともある」。ポール・ボウルズの原作『シェルタリング・スカイ』を、ベルナルド・ベルトルッチが映画化し…

『パッション』とカラヴァッジョの絵画の世界、イエスの最期の12時間

10年くらい前にメル・ギブソンの『パッション』を観たんですが、最近思うところあってこの映画をもう一度観たのです。10年前といえば私はまだホヤホヤの大学生なので、聖書のこととかあんまりよくわかってなかったんですよね。まあ今だってたいした知識を持…

過去の記憶とアンドレイ・タルコフスキー

翌日のダルさがハンパないのでそんなにしょっちゅう行きたくはないですが、オールナイトで映画を観るのが好きです。オールナイト上映といえば、池袋新文芸坐。先日こちらの新文芸坐さんで、『私たちのアンドレイ・タルコフスキー』なる特集上映が行なわれて…

セックス&ドラッグ、陰謀とパラノイア『インヒアレント・ヴァイス』

「サリンジャーは隠れる。ピンチョンは逃げる」。 と、どこかの批評家がいっていたらしいですが、実は正体はあのJ・D・サリンジャーなんじゃないか? なんて噂が(冗談まじりにしろ)立ったこともある謎の作家、トマス・ピンチョンの『LAヴァイス』が映画化…

映画ファンに贈る アレクセイ・ゲルマン『神々のたそがれ』

アレクセイ・ゲルマンに比べればタランティーノはただのディズニー映画だ。 ウンベルト・エーコ(哲学者、小説家) この映画は強烈な竜巻のごとく、全ての映画を粉砕する威力がある。 ユーリ・ノルシュテイン(映画監督) ウンベルト・エーコとユーリ・ノル…

『アメリカン・スナイパー』は何についての映画だったのか?

私のなかで開始20分以内で寝る映画としてすこぶる評判が悪かったクリント・イーストウッドなのですが(好きな方ごめんなさい)、この度『アメリカン・スナイパー』が話題になっているようだったので、観に行ってきてみました。映画『アメリカン・スナイパー…

ここで蔵出ししておきたいすごく良かったわけじゃない「ふつうに良かった映画」を4つ

はてなブログの今週のお題が「ふつうに良かった映画」とのことで、つまりこれは良作とも駄作ともいえない、でもどちらかというと良作よりの、そんな微妙なラインの映画を紹介しろという、なかなか難しい注文をしているわけですね。良作と駄作はよくよく覚え…

3Dのルールを破れ ゴダール『さらば、愛の言葉よ』感想文

「想像力を欠く者はリアリティに逃げ込む」とゴダールは言う。 彼自身の想像力は完全無欠だ。 ーーウエスト・フランス ★★★今となってはすっかりお馴染みとなった映画の3D上映ですが、そういえば私が初めて観た3D映画って、ティム・バートンの『アリス・イン…

この復讐は失敗? 映画『ハウスメイド』の感想文

ちょっと今更感あるんですが、2010年のイム・サンスの映画『ハウスメイド』を観てみました。韓国映画史にのこる傑作、1960年のキム・ギヨン監督作品『下女』のリメイクだという話を聞いていたからです。ハウスメイド [DVD]出版社/メーカー: Happinet(SB)(D)…

『ベイマックス』感想 人工知能が映画作ったらこんな感じかも

『ベイマックス』を観てきました。なぜかというと、いろいろなところで話題になっているのを見かけ、私も話に入りたかったからです。『ベイマックス』を見て日本のクリエイティブは完全に死んだと思った 『ベイマックス』を見て日本のクリエイティブは完全に…