2012年、私が読んでよかったなぁと思う本の5位~1位を発表します!
10位~6位はこちら。
2012年 読んでよかった本ベスト10を発表します。(前編) - (チェコ好き)の日記
★★★
- 作者: 深沢七郎
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1964/07
- メディア: 文庫
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ブログ未紹介本です。学生時代、『楢山節考』の映画は見たことがあったのですが、
実は原作を読んでいなかったのでした。
本書は「姥捨て」の物語です。
村のしきたりで、自分の母親を山に捨てにいく青年の話が書かれています。
山へのぼる途中に出会う、死体、骸骨、そしてカラス。
これを読むと、いくら不景気でも、日本の先行きが見えなくても、
「昔はよかった」なんていえなくなります。
何の法整備もされず、人間というものがむき出しになった社会が、
いかにグロテスクで、おそろしいか。
「姥捨て」だけでなく、夫婦は子供を捨てる話を、まるでソファを捨ててくるかのように語りますし、
ほかにも、ある日突然知らない人のところへ嫁にいくことが決まったり、
食べ物を盗んだ者に対する仕打ちが惨すぎたり……。
この物語を読むと、
人間とは本来こういうものである、というグロテスクな真実を、知ってしまいます。
寒いお正月、ますます背筋が寒くなること間違いなしな作品です。
第4位 『A―マスコミが報道しなかったオウムの素顔』森達也
- 作者: 森達也
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2002/01
- メディア: 文庫
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こちらは以前、エントリを書いています。
どうしても気になるアレコレ オウム真理教について(前編) - (チェコ好き)の日記
どうしても気になるアレコレ オウム真理教について(後編) - (チェコ好き)の日記
カルト宗教にハマる人と、ハマらない人。
生活保護を受ける人と、受けない人。
起業する人と、しない人……。
これらの2者の間には、厚い壁があり、
両者が混ざり合ったり、行き来したりすることはない。
……そういった考えをお持ちの方がもしいたら、残念ですが、
私とあなたは、仲良くなれないでしょう。
別に私と仲良くなっても何の利益もないですけど(汗)
本書を読んでも、また、村上春樹の『約束された場所で』を読んでも、
私は、カルト宗教にハマる人とハマらない人のちがいが、よくわかりませんでした。
おそらく、両者を分けているものは、
「ふとした“きっかけ”」が、あったか、なかったか……くらいのことなのでしょう。
お正月、日本社会についてマジメに考えてみたい人にすごくおすすめです。
第3位 『月と六ペンス』 サマセット・モーム
- 作者: サマセット・モーム,William Somerset Maugham,中野好夫
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1959/09
- メディア: 文庫
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こちらは以前ブログで紹介した、「タヒチ本」です。
会社を辞めたいときに効く!? すっきりストレス解消法! その2 - (チェコ好き)の日記
総合では3位ですが、「小説」では、今年いちばん読んでよかったと思う本です。
画家のゴーギャンをモデルにしたストリックランドという男が、芸術に狂い、
周囲の人たちを傷つけられるだけ傷つけて、タヒチにわたってその生涯をとじる話。
芸術とは、美術館や映画館で鑑賞する「お行儀のよいもの」ではなく、
私たちのすぐ隣にあって、ときに残酷で、人を狂わせるもの。
でも、だからこそ美しく、ときに人を救うこともできる。
そんな、私の芸術観にマッチした作品で、タヒチやゴーギャンの絵画を思い描きながら読むと、
心の視界がぱっと開けます。
お正月、タヒチに旅行した気分になりたい人はこの本を読みましょう!
第2位 『銃・病原菌・鉄』 ジャレド・ダイアモンド
文庫 銃・病原菌・鉄 (上) 1万3000年にわたる人類史の謎 (草思社文庫)
- 作者: ジャレド・ダイアモンド,倉骨彰
- 出版社/メーカー: 草思社
- 発売日: 2012/02/02
- メディア: 文庫
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文庫 銃・病原菌・鉄 (下) 1万3000年にわたる人類史の謎 (草思社文庫)
- 作者: ジャレド・ダイアモンド,倉骨彰
- 出版社/メーカー: 草思社
- 発売日: 2012/02/02
- メディア: 文庫
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この本は、去年のお正月に読んだ本だったりします。
上下巻があり、ボリュームもなかなかでしたが、3日間家にひきこもって読むには(えっ)最適でした。
なぜ、アジアやアフリカでなく、ヨーロッパが、西洋文明が世界をリードするようになったのか?
そんな素朴な疑問を解決しようとする、画期的な本です。
ヨーロッパが世界をリードする……という構図は近年、徐々に崩れてきている感はありますが、
それでも私たちは未だ、エルメスやヴィトンに憧れ、
せっせと髪の毛を茶色に染め、肌を白く保とうとしています。
なぜ西洋が、これまでの歴史において、世界をリードしてきたのか。
それは、白人とよばれる人種が、民族的にすぐれていたから……ではもちろんなく、
ただ単に、西洋文明が生まれた大陸が、
「地理的に有利な条件をもっていた」からにすぎない、というのです。
ではその“有利な条件”って何なのよ? というのは、本書で確認してみてください。
人類史の謎にせまる、ロマンあふれるお正月を過ごしたい方におすすめです。
第1位 『ワーク・シフト』 リンダ・グラットン
ワーク・シフト ― 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉
- 作者: リンダ・グラットン,池村千秋
- 出版社/メーカー: プレジデント社
- 発売日: 2012/07/28
- メディア: 単行本
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1位には、やはりこの本を選びました。
『ワーク・シフト』 読み途中ですが…働き方について考えたい人へ。 - (チェコ好き)の日記
『ワーク・シフト』 読み終わりました。 - (チェコ好き)の日記
まだまだ『ワーク・シフト』 自分の未来を考える方法 - (チェコ好き)の日記
本の内容自体が衝撃的だったのはもちろんですが、この本を通じてさまざまな人と知り合うことができ、
私の世界をぐっとひろげてくれた本なのです。
私たちの働き方が、変わる。
その変化が、産業革命に匹敵するくらいのレベルなのか、
それとも、歴史のなかで見たらごくごく小さな変化なのか。
それは、後から振り返ってみないとわからないことです。
でも、前者だと思って未来を予見し、動いたほうが、
何となく楽しそうです。
自分の将来に関しては不安でいっぱいですが、
この本を読むと、ふしぎとわくわくしてきます。
新年をむかえるにあたって、2013年をどう動こうか真剣に検討してみる手引書になるはずです。
『ワーク・シフト』は、
いろいろな意味で、私の2012年を象徴してくれる本でした。おすすめ。
★★★
そういえば今日は、クリスマス・イブだったんですね。
日本にクリスマスがここまで定着したのは、直後に年末年始がひかえているからだと思います。
街で輝くイルミネーションは、イエス・キリストの生誕を祝っているわけではなく、
「今年も1年お疲れさま!」と、日本人の心を慰めているのでしょう。
何となく浮き足立つ12月です。
という、完全な余談で、何のオチもなく、このエントリは終わります(笑)