チェコ好きの日記

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東アジア

渋谷のこと

渋谷にまつわる私のもっとも古い記憶は、高校二年生のときのもの。平日に学校をさぼって、友達と映画を観に行った。 私は神奈川県の片田舎の出身なので、渋谷までは、電車に乗って一時間くらいだった。近くもなく遠くもなく、学校をさぼって出かける距離とし…

1分間のために100万円

先日、初めて(初めて!)能の舞台を観に行ってきた。予約するときに、GINZA SIXの地下に能楽堂があることを初めて知りました。演目は『花筐』と『鉄輪』。前者は、お慕いしていた継体天皇が上洛するっていうんで別れなきゃいけなくなった照日ノ前が、悲しく…

天皇にパチンコ玉、奥崎謙三を追う『ゆきゆきて、神軍』

先日、渋谷アップリンクにて原一男監督の『ゆきゆきて、神軍』を鑑賞してきたので感想文を書く。実は初見だったのだけど、脳が沸騰するくらい面白かった。上映後には原監督と映画史研究家の春日太一さんのトークショーがあり、そこで原監督が「これ、30年前…

タラレバ娘、抗えない老い、後悔、そして『騎士団長殺し』

村上春樹の最新長編小説『騎士団長殺し』の感想を書く。物語の核心に触れないよう細心の注意を払うけど(つまり、まだ読んでない人が目にしても大丈夫なように書くけど)、とはいえ「何も知らない状態で『騎士団長殺し』を読みたいんだッ!」という人にはこ…

都市の孤独と、地方『移住女子』のモテ

灯台もと暮らし編集長、伊佐知美さんから著書『移住女子』をご恵贈いただき、週末に読んでいました。以下は、そんな『移住女子』の感想です。移住女子作者: 伊佐知美出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2017/01/27メディア: 単行本(ソフトカバー)この商品を含…

感想文:雨宮まみ『東京を生きる』

人の訃報に触れてその人の本を手にとってみるという行為は、咎められはしないもののあまり品の良い行ないだとは思えない。だけど、そういえばどんなことを書いていた人だったんだっけ、とAmazonで検索していたらどうにも止まらなくなってしまい、気が付いた…

青森で考えた『シン・ゴジラ』の感想

『シン・ゴジラ』を8月の上旬に観てもう1ヶ月以上経っているんですが、観た直後は正直「これ感想とか書かなくてもいい系のやつだな」と思ってしまいました。それは決して「つまらなかった」というわけじゃなくて、むしろクソつまらなかったらクソつまらなか…

もう一度読む、村上春樹『1973年のピンボール』感想文

村上春樹の『1973年のピンボール』を読んだのは高校生のときだったので、もう10年以上も前です。当時読んだ感想を覚えている限りで率直にいえば、この小説は正直何も面白くなかった。ただ私の読解力がなかったといえばそれまでですが、だってめちゃくちゃ読…

お正月読書:夏目漱石『行人』/いいたいこともいえないこんな世の中じゃ

あけましておめでとうございます。今年も当ブログをよろしくお願いいたします。昨年の下半期から、夏目漱石の小説をちょくちょく読んでいました。私は実は、本を1冊だけ読んで、その1冊だけで感想文を書くというのがどうも苦手です。同じ著者の本を何冊か読…

この復讐は失敗? 映画『ハウスメイド』の感想文

ちょっと今更感あるんですが、2010年のイム・サンスの映画『ハウスメイド』を観てみました。韓国映画史にのこる傑作、1960年のキム・ギヨン監督作品『下女』のリメイクだという話を聞いていたからです。ハウスメイド [DVD]出版社/メーカー: Happinet(SB)(D)…

綱島温泉と『つげ義春の温泉』ほか

先日、ちょっと時間が空いていたので*1、綱島温泉で開催されていたイベントに行ってきました。綱島に温泉があるなんて知らなかったです。リンク先などを読むと、どうやらサブカル好きにはたまらないディープスポットらしい。何より、下記の記事で会田誠がい…

東京の美術館の、大きな大きな問題点

私のなかでけっこう長くひっかかっていた問題があったのですが、「でもまぁ、これたいしたことじゃないのかな?」と思って、表立ってはあまり深く考えてこなかったんですね。でも先日とある本を読んでいたら、まさに私がひっかかっていたその問題が出てきて…

ウンベルト・エーコ『醜の歴史』に加えたい、ニッポンの至宝

ウンベルト・エーコの著作に、『醜の歴史』という本があります。西洋社会において何が「醜い」とされてきたのか、絵画や文学、ポスターなどからその概念の歴史を探るという、とても気持ち悪くて面白い本です。醜の歴史作者: ウンベルトエーコ,Umberto Eco,川…

ニッポンの美の概念 婆娑羅とヤンキー

私は地方公立中学の出身なんですが、公立中なので、クラスにはもちろん“ヤンキー”がいました。朝教室に行くと黒板にデカデカと「喧嘩上等」と書いてあったり、授業中に隣のクラスの子が鉄パイプを持って殴り込んできたり、校庭を原付で走り回った子が警察呼…

血が滴る傑作 ノーベル文学賞の莫言の小説を読んでみた。

ちょっと今更感がただよいますが、2012年、またしても村上春樹氏が逃したノーベル文学賞をかっさらった人物、莫言の小説を読んでみました。赤い高粱 (岩波現代文庫)作者: 莫言,井口晃出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2003/12/17メディア: ペーパーバック購…

今、大島渚について私がいえること

映画監督の、大島渚が亡くなりました。 http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130115/k10014817051000.html 当ブログで、映画監督の訃報についてふれるのは2度目です。若松孝二についても、亡くなったその日にエントリを書きました。 さよなら、若松孝二 - チ…

本好きにとっての隠れた穴場を発見です!

実は年末、こんなところに出かけていました。 ココチホテル沼津 【公式サイト】|ベストレート保証|TOP静岡県沼津市にある、「ココチホテル」というホテル。一見、普通のビジネスホテルなのですが、ホームページをよ~く、ご覧ください。リラックスタイプ、…

どうしても気になるアレコレ オウム真理教について(後編)

前回書いたエントリ→どうしても気になるアレコレ オウム真理教について(前編) - チェコ好きの日記の後編です。ドキュメンタリー作家の森達也氏が、オウム真理教の信者の方を取材した『A』という本についての所感です。「A」―マスコミが報道しなかったオウム…

どうしても気になるアレコレ オウム真理教について(前編)

前にもこのブログで書いているんですが、私、「宗教」にものすっごい興味があります。キリスト教、イスラム教、仏教、ユダヤ教とかはもちろん、怖れずにいうと、なかでも興味があるのがカルト宗教。ただ、「興味がある」というのは、その宗教の教祖や教義な…

さよなら、若松孝二

映画監督の経歴をよく見てみると、出身がピンク映画だったりすることが、意外に多いです。ピンク映画とはもちろん、エロい映画のことです。最近はその役割のほとんどをアダルトビデオが負っているため、「映画館でピンク映画を見る」という機会を、一般の人…

『芸術実行犯』 「わからない」神話はChim↑Pomが崩壊させる

岡本太郎の壁画に「原発」を付け足した「お騒がせ集団」「東京・渋谷駅に展示されている、故岡本太郎さんが原水爆をテーマに描いた巨大壁画≪明日の神話≫が何者かによっていたずらされていたことが警視庁などへの取材でわかった。骨組みだけの建物から黒い煙…

奈良美智:君や僕にちょっと似ている 私的鑑賞ポイント

横浜美術館で開催されている奈良美智展に行ってきました。こちらは9月23日まで。 会場は、女性やカップル、また夏休みということもあってか家族連れも多かったです。 奈良美智はポストカードやぬいぐるみ、ストラップなどのグッズが他の作家より売れるらしい…

『約束された場所で underground2』 村上春樹と考えるオウム真理教。(後編)

前回の続き。 『約束された場所で underground2』 村上春樹と考えるオウム真理教。(前編) - チェコ好きの日記自宅の本棚を整理していたら、村上春樹が行なったオウム真理教信者(あるいは元信者)へのインタビュー集が出てきました。 そして、久々に読み返し…

『約束された場所で underground2』 村上春樹と考えるオウム真理教。(前編)

突然ですが、私は<カルト宗教>にものすごい興味があります。もちろんカルト宗教の教義か何かに惹きつけられているというわけではなく (あの伊勢神宮に行っても「ふーーん」としか思わなかった超俗世の人間ですので!)、カルト宗教にはまってしまう人のメン…

愛すべき無駄『路上観察学入門』の感想

『ドラえもん』のアニメのなかには、のび太やジャイアンやスネ夫が集う「空き地」が出てきます。「空き地」には土管がおいてあって、ジャイアンに追われたのび太が土管のなかに隠れたりします。が、こんな光景はもう、少なくとも首都圏ではほとんど見られな…