チェコ好きの日記

もしかしたら木曜日の22時に更新されるかもしれないブログ

2015-01-01から1年間の記事一覧

『クラブカルチャー!』/「意味」から「強度」へ、音韻から音圧へ

私は昔から音楽の話をするのが苦手で、理由の1つはたぶん、歴史がわからないからです。文学史は高校の世界史とか日本史でやるし、映画史は本を数冊読めば事足りるし、美術史もどっかから出てる「西洋美術史」と「日本美術史」ってタイトルがついている2冊を…

日本の「インターネット的」はテレクラから?

先日Kindl版が出た出た宮台真司の『世紀末の作法 終ワリナキ日常ヲ生キル知恵』を読み終わりました。本書は宮台真司が主に90年代に雑誌などに書いた文章をまとめたもので、全体から90年代のかおりがムンムンするのですが、2015年の今になって読むとまるで「…

アイディアは移動距離に比例しない/ユクスキュルのダニ

今回は、いつも以上にわけのわからない話をしようと思うので、お忙しい方は回れ右をおすすめします。しかも私自身あまり理解していないので、なんか解釈を誤っている可能性があります。 ユクスキュルのダニ ユクスキュル[1864-1944]という人はエストニア生ま…

恋とは、罪悪です/悪い芝居『キスインヘル』を観た感想

6/29(月)に、悪い芝居の『キスインヘル』というお芝居を観てきましたー。 悪い芝居vol.17『キスインヘル』 - 特設ページ というわけで今回は、こちらの『キスインヘル』の感想を書いておこうかと思います。ただなんか、ものすごいズレた感想文になる予感が、…

「退屈と消費と、恋愛と。」イベント後記

6/27(土)に、「退屈と消費と、恋愛と。」というトークイベントを神保町のEDITORYにて行ない、登壇者として参加しました。イベントのお知らせ|「退屈と消費と、恋愛と。〜あのブロガーたちのアタマのなか〜」をやります。 - (チェコ好き)の日記aniram-czech.…

寄稿記事のお知らせ、ずっと若いのは飽きる

ぼくらのクローゼットさんへの寄稿記事が公開されました。「おじさんとは何か」、というテーマで書いています。あなたは本当に「おじさん」? 数ある呼称の中から、理想の中年を選びとろう! - ぼくらのクローゼットwww.bokukuro.comぼくらのクローゼットさ…

ショッピングモールは嫌われ者?

批評系の人たちの間では、ショッピングモールという存在はひどく嫌われています。かくいう私もこの施設に対して、今まではあまり良い印象を持っていませんでした。便利だし、実際はなんだかんだいって利用しているんですけどね。ショッピングモールが一部の…

自分の欲望をしっかりと見極める、のは難しい

「それは、本当に自分の欲しいものなのか」もしくは「広告やSNSやまわりの環境によって、欲しいと思わされているだけなのか」。私はいろいろなところで、散々この2つをしっかりと見極めるべきだという話をしてきた気がするのですが、最近になって、これって…

「ポスト・インターネット」の時代と情報の濃度

「ポスト・インターネット」とは、「インターネットとリアルがもはや区別されない、シームレスとなった環境」*1のことだそうです。6月号の美術手帖の特集が「ポスト・インターネット」だったので、今回はこれの感想を書きます。美術手帖 2015年 06月号作者: …

イベントのお知らせ|「退屈と消費と、恋愛と。〜あのブロガーたちのアタマのなか〜」をやります。

本日は、イベントの告知エントリです。6/27(土)に、「隠居系男子」の鳥井弘文さん(@hirofumi21)、「My Favorite, Addict and Rhetoric Lovers Only」のファーさん(@fahrenheitize)と一緒に、トークイベントを行ないます。参加できるよ!という方は、以…

好きになる能力

最近、「好きになってもらう」より「好きになる」ほうが能力がいるし難しいよね〜、と思ったので、そのことについて書きます。だけど、能力がいるし難しいんだけど、「好きになってもらう」努力をしても空回りし続けるだけなので、「好きになる」能力を磨い…

廃墟のなかのルネ・マグリット@国立新美術館

国立新美術館でやっている、マグリット展に行ってきました。6月29日まで開催しているようなので、気になっている人はあと1ヶ月です。 http://magritte2015.jp/magritte2015.jp私はマグリット大好きなので、すぐ行こうすぐさま行こうと思っていたのに結局5月…

ほかのものは消えていい。なぜなら醜いから。

なんかどうかしてる小説っていうのは、とにかく冒頭とラストの破壊力がとんでもないものだと私は思っています。 大切なことは二つだけ。どんな流儀であれ、きれいな女の子相手の恋愛、そしてニューオ ーリンズの音楽、つまりデュ ーク・エリントンの音楽。 …

このブログを始めて、丸3年経ちましたが……

「石の上にも3年」といいますが、この諺は今回のエントリにまったく関係ないですが、それにしても未だに「3年」という月日はひとつの区切りとして機能していますよね。私がほとんど考えもせずに、安易なハンドルネームとブログ名を決め、テキトーに始めたブ…

私たちはどうしたら“イケてる人”になれるのか?

イケてる人とダサい人、どちらでありたいかと問われたら、よほどひねた回答をするのでなければ、ほとんどの人は前者でありたい、と答えると思うんですよね。しかし問題はここからで、では“イケてる人”とはどのような人なのか、という話になります。何におい…

過去の記憶とアンドレイ・タルコフスキー

翌日のダルさがハンパないのでそんなにしょっちゅう行きたくはないですが、オールナイトで映画を観るのが好きです。オールナイト上映といえば、池袋新文芸坐。先日こちらの新文芸坐さんで、『私たちのアンドレイ・タルコフスキー』なる特集上映が行なわれて…

寄稿記事の告知、所謂「ヤリ捨て」について思うこと、その他裏話【追記あり】

「ぼくらのクローゼット」さんに寄稿させてもらった記事が公開中です。男性だけが気づいていない「女性の時代」の本当の意味 - ぼくらのクローゼットwww.bokukuro.com「これからは女性の時代!」みたいな言葉を聞くようになって久しいですが、これは何も生物…

フィッツジェラルド『ベイビー・パーティー』についてのノート

スコット・フィッツジェラルドの著作を着々と開拓している私。とりあえず日本語で読めるものを完全制覇しようと思い、地味にいろいろ買い集めています。いつか完全制覇をするその日の前に、印象に残った短編小説の感想をメモしておきます。『冬の夢』に収録…

お父さんお母さんのための「ニコニコ超会議2015」入門

私のなかの何かが「『ニコニコ超会議2015』に行ってみたい!」と雄叫びをあげていたので、先日実際に行ってきてみました。目当ては「超言論エリア」で開催されていた岡田育さん・金田淳子さん・二村ヒトシさんによる「オトコのカラダチャンネル」で、会場に…

文章を書く人に必要な3つの能力

「事件は会議室で起きてるんじゃない! 現場で起きてるんだ!」 とは、かの有名映画の名台詞ですが、この台詞がここまで広く知られるようになったのって、やっぱり我々のような働く日本人の気持ちを代弁していたからだと思います。私自身も、仕事をしながら…

セックス&ドラッグ、陰謀とパラノイア『インヒアレント・ヴァイス』

「サリンジャーは隠れる。ピンチョンは逃げる」。 と、どこかの批評家がいっていたらしいですが、実は正体はあのJ・D・サリンジャーなんじゃないか? なんて噂が(冗談まじりにしろ)立ったこともある謎の作家、トマス・ピンチョンの『LAヴァイス』が映画化…

消費じゃない「上質な暮らし」と、解釈じゃない批評

先日読んだこちらの記事が話題になっているようだったので、少しばかり私見をメモしておこうかと思います。【第61回】ネタ化される「上質な暮らし」と盲信する「サードウェーブ系男子」 | すべてのニュースは賞味期限切れである | おぐらりゅうじ/速水健朗 |…

ハッピーエンドか、地獄の始まりか『ザ・ゲーム』感想文

どうしてお前がそれを読むんだ、という前提については省きますが、『ザ・ゲーム 退屈な人生を変える究極のナンパバイブル』という本を読みました。アメリカのPUA(ピックアップアーティスト、ナンパを常習的に行なっている人たちのこと)たちのコミュニティ…

映画ファンに贈る アレクセイ・ゲルマン『神々のたそがれ』

アレクセイ・ゲルマンに比べればタランティーノはただのディズニー映画だ。 ウンベルト・エーコ(哲学者、小説家) この映画は強烈な竜巻のごとく、全ての映画を粉砕する威力がある。 ユーリ・ノルシュテイン(映画監督) ウンベルト・エーコとユーリ・ノル…

霊感と大学

今回のエントリは、タイトルに「新社会人の方々へ」みたいな一言を足そうかどうか迷ったのですけど、その一言があるせいで変な期待や誤読をされたり、間違った人が読みにきてしまうといけないと思ったので、外しました。だけど内容としては、「学校と職場は…

岡崎京子の描いた”ガールズ”はどこへ消えたのか?

どこで読んだだれの文章なのか忘れましたが、「岡崎京子の漫画に出てくる女の子っていうのは、男と恋愛するのが好きなんじゃなくて、男と恋愛した話を女同士でするのが好きなんだよね」ということをいっていた人がいて、なんて的確な岡崎京子評なんだ! と思…

『アメリカン・スナイパー』は何についての映画だったのか?

私のなかで開始20分以内で寝る映画としてすこぶる評判が悪かったクリント・イーストウッドなのですが(好きな方ごめんなさい)、この度『アメリカン・スナイパー』が話題になっているようだったので、観に行ってきてみました。映画『アメリカン・スナイパー…

アラフォーは「断面の世代」? 束芋と吉田修一『悪人』

「束芋(たばいも)」は1975年生まれの現代美術家ですが、彼女が2009年に横浜美術館にて開催したのが、「束芋 断面の世代」という展覧会です。束芋は自分と同年代の人たち(現時点においてアラフォーの方々ですね)のことを「断面の世代」と呼んだわけですが…

『オトコのカラダはキモチいい』は腐女子のための本ではなくて

発売するやいなや早々に重版が決定したとのことで話題になっている、『オトコのカラダはキモチいい』という本を読みました。AV監督の二村ヒトシさん・文筆家の岡田育さん・腐女子文化の研究者である金田淳子さんの3名による共著です。オトコのカラダはキモチ…

脳内の地図を描きかえること、世界を描きかえること

突然ですが、今、紙とペンを取り出すことはできますか。アナログな紙とペンでなくとも、ある程度自由に「図」が描けるものであったら、なんでもいいんですけど。紙とペンの用意ができたらですね、それで地図を描いてください。あなたの自宅から、最寄り駅ま…